日清医療食品で総合職(スーパーバイザー)をしています。
日清医療食品では、古い日本企業の組織風土を感じることがあり、同僚がかなり入れ替わります。
高齢化社会で組織は拡大しているのですが人が足りず、休日出勤も多く、私自身、辞めたいという思いが日に日に強まっています。
日清医療食品を辞めることを検討する際に、どのようなことを考えたらよいでしょうか?
プロの観点から、教えていただけるとありがたいです。
本記事では、医療・福祉施設への食事サービス提供の分野で最大手である「日清医療食品」について扱う。
「日清医療食品を辞めたい方の教科書」と題して、元・日清医療食品社員の退職理由や辞めた後の後悔、市場価値までを記載していく。
初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。
筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。
- 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
- 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
- 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
- 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験
この記事を読むことで、日清医療食品を本当に辞めても良いのかの決断が容易になり、退職後のキャリアが明確化することを約束する。
【前提】日清医療食品とは?
日清医療食品は、顧客が病院や福祉施設のBtoB企業であり、一般的な知名度が高いとは言えない。
よって念のため、概要について最初に引用しておく。
日清医療食品株式会社(にっしんいりょうしょくひん)は、東京都千代田区に本社を置く、病院、医療施設および福祉施設などに対し、食事サービスを行う企業。日清食品とは一切関係はなく、ワタキューセイモア株式会社(京都府綴喜郡井手町)の子会社である。
出典:フリー百科事典 ウィキペディア(Wikipedia)「日清医療食品」
リクナビ2023の数値によれば、従業員数は約5万名、売上高は約2,600億円である。
- 従業員数 49,593名(2021年6月)
- 売上高 2,570億円(2021年3月)
特に従業員数でみると、国内屈指の巨大企業と言える。
【辞めたい人は多いか】日清医療食品の職場としての魅力は全般的に低く、辞めたい人は多い
まず、日清医療食品を辞めたいのは自分だけなのか、即ち、日清医療食品を辞めたい人は多いのかどうかについて記載する。
結論から言えば、辞めたい人はかなり多いことは間違いない。
そう言い切れる根拠は色々とあるのだが、リクナビ2023に一目瞭然のデータがある。
2021年の時点で、2018年4月入社の新卒入社者の在職率(定着率)が、54.5%なのである。
ちなみに、2019年から2021年までの2年では、3割が辞めていました。
その他、口コミやデータから分かることを記載する。
- Openwork(旧Vorkers)のデータでは、平均残業時間が35.3h、有給消化率も26.5%と、労働環境は良くない。食品業界平均より大きく劣る
- Openwork(旧Vorkers)のデータでは、「待遇」「社員の士気」「風通しの良さ」「社員の相互尊重」「人材の長期育成」「法令順守意識」「人事評価の適正感」全項目で平均以下(5段階で3に満たない)
- 栄養士、管理栄養士、調理師が多いため、女性比率は高く、8割程度。ただし人手不足のため、子持ちで正社員は難しいという声が多数
- 実際に、「日清医療食品 辞めたい」の検索数が多い(月あたりで数千回も検索されている)
上記より、「労働環境としては良いところなし」と言える。
ただし、日清医療食品は(食品業界の中の)食事サービス委託企業の中では著しく悪いわけではないということを付記しておく。
ただ、食事サービス委託業者の中でも残業時間はかなり長いほうですね。
労働集約型の食事サービス委託業者の中でも、さらに労働集約で(社員の頑張りにより)対応しがちな企業と言えるだろう。
OpenWork(元・Vorkers)から見る日清医療食品の退職理由
各企業の退職者による口コミ情報サイトであるOpenWork(元・Vorkers)には、現時点で183件の日清医療食品の退職理由が記載されていた。
ここからサンプル抽出して分析してみると、多い順に以下の退職理由となった。
- 長時間労働
- 給与面の不満
- 転勤への不満
- キャリアアップのため
- その他
上記の退職理由だけを見ると至極普通のランキングなのだが、実は異常なところがある。
それは、挙げられた退職理由の7~8割が①の長時間労働に集中しており、②以降は全て「その他」でまとめても良いくらい少ないという点である。
「長時間労働」といっても内容は多種多様であり、中には完全に労働法違反なものも散見される。ご紹介しよう。
- 長時間労働がきつい
- 労働集約型の事業に限界を感じる
- 勤務体制(シフト)についていけない
- 休みの日に連絡が来るので、家族に申し訳なくなった
- シフトのヘルプ・穴埋めを正社員がしなければならず、休みがない
- サービス残業が月間100時間以上あった
- タイムカードがなく、申告制なのだが、申告しづらいようにしている
一言でまとめると、「ほとんどの人が、長時間労働やそれに付随する不満で辞める会社」だと言えるだろう。
日清医療食品を辞めたら後悔するか
日清医療食品を辞めたいという方の中には「辞めたら後悔するのか?」が気になる方もいるだろう。
結論から言えば、「後悔しない可能性が非常に高い」である。
その根拠は以下の2つである。
- 「人がどんどん辞めていく会社にありがちな7つの社風」のうち、ほぼすべての要素が当てはまる
- 日清医療食品と同じ業態である「食事サービス委託」は、残業が少ない会社も多い
②について補足する。
日清医療食品で働く方の中には、「自分は調理師だから、大企業にいるとなると食事サービス委託企業しかない」と思っている方がいるかもしれない。
しかし、ここで知っておいてほしいのは、同じ食事サービス委託業者に転職するとしても、労働環境は改善する可能性が高いということだ。
給与は高いとは言えませんが、労働時間だけで言えば平均値はおそらく月あたり15時間~20時間程度であり、割とホワイトな業界です。
元・日清医療食品社員の市場価値
さて、次は元・日清医療食品社員の市場価値についてである。
実は市場価値というものは、現在の在籍会社だけで判定するのは難しい。
「【ミイダス診断は嘘】転職の市場価値はエージェントの求人で判断すべき理由」にも記載したが、本当の市場価値は、転職エージェントに登録し、エージェントが持ってくる求人で判断するしかない。
とはいえ、目安としての市場価値を考えておこう。
日清医療食品の平均年収はOpenworkで379万円である。最大手企業なのにもかかわらず、日本人の平均年収430万円(2021年9月、国税庁調べ)より低い。
ここで注意すべきは、そもそも日清医療食品は食事サービス委託企業の中でも恵まれた、最大手企業であるということだ。
つまり、他の食事サービス委託企業の年収は、(基本的には)もっと低い。経験を活かし同業種転職をしても、年収が上がる見込みは小さいかもしれない。
よって、業種まで考えた際には「元・日清医療食品社員の市場価値は高くない」と結論付けざるを得ない。
しかしながら、これは悪いことばかりではない。
日清医療食品が5万人を抱える大企業であること、さらに日清医療食品の残業が食事サービス委託企業の中で特に多いことを考えると、この場合に待遇や労働環境を改善することは比較的容易であると考える。
つまり、以下の方向性である。
- 総合職の方:大企業の営業経験や管理経験を生かして同じ職種で転職することで、日本の平均年収か、それ以上へのアップが見込める
- 調理師、管理栄養士、栄養士などの方:同じ業種(食事サービス委託業者)の他社に転職することで労働時間を減らせる(もちろんそれ以外も可)
日清医療食品社員の方が選ぶべき転職エージェント・転職サイト
希望する進路によって、選ぶべき転職エージェントや転職サイトは異なる。
よって、通常、当サイトでは「転職エージェントの選び方の教科書|出会い方、絞り込み方、付き合い方まで」を読んでもらい、自分に合った転職エージェントを見つけてもらうのが良いと考えている。
ただし、今回は(あまり転職エージェントを使わない)栄養士の方や調理師の方もいらっしゃるかと思う。
さらに、総合職であっても転職エージェントが活発に動き始める年収(600万円くらい)に満たない方もいるだろう。
この場合のおすすめは、一にも二にもリクナビNEXTである。
リクナビNEXTは、日本最大の求人掲載型サイトである。こちらで、同職種や同業種で年収を上げる、または労働時間を減らせる求人を探すのがよいだろう。
まとめ
日清医療食品を辞めたいという方は多く、実際に辞めている。
労働時間の過酷さで辞める方が多いが、同業他社には比較的ホワイトな会社が多いので、転職すると状況を変えられるかと思う。
未来の自分のために、「今」行動することをお勧めする。