人が辞めていく会社

人がどんどん辞めていく会社にありがちな「7つの社風」とは

悩めるビジネスパーソン

齋藤さんと同じく、企業で人事をしている者です。早速ですが、ご相談です。
現在私が勤めている会社は入れ替わりが激しく、人がどんどん辞めていきます
社長から人事に「離職率を下げろ」と指示が来ているのですが、働き方改革も福利厚生施策もあまり効果がありませんでした。
私としては、小手先の話ではなく、社風自体が原因なのではないかと睨んでいるのですが、どう思われますでしょうか?
人がどんどん辞めていく企業に共通する社風や組織文化等があれば、教えてください。人が辞めていく会社の末路も知りたいです。

 

今回は、「人がどんどん辞めていく企業に共通する社風や組織文化」がテーマである。

筆者は日系大企業、ベンチャー企業、外資系企業、コンサルティングファームと渡り歩いてきて、「人がどんどん辞めていく企業」には共通点があると痛感している。

 

齋藤
人がどんどん辞めていく会社の共通点の中には「当たり前」なものもありますが、再確認の意味でも記載しておきたいと思います。
後述しますが、人が辞めていく会社の末路は悲惨なものとなります。

 

初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。

筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。

  • 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
  • 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
  • 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
  • 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験

 

この記事を読むことで、人がどんどん辞めていく企業を見抜くことができるようになり、転職での失敗を避けることが出来るようになる。

 

結論

まず、結論から申し上げよう。

以下の7つが、人がどんどん辞めていく会社にありがちな社風である。

  1. 体育会系
  2. 同族経営・オーナー企業
  3. トップダウン
  4. 長時間労働
  5. 年功序列の処遇
  6. 公私が曖昧
  7. パラシュート人事の多用

 

これらの社風は相互に重複しやすいが、必ず重複しているというわけでもないので、本記事では別々のものとして紹介していく。

 

齋藤
例えば、同族経営の多くが「トップダウン」です。ただし、全てではありません。
体育会系の多くも「トップダウン」ですが、ベンチャーには体育会系のノリとボトムアップを両立している会社も多いです。

 

「7つの社風」で人が辞めやすい、とする根拠は以下の4つである。

 

人が辞めていく会社の末路は悲惨である。

後述するが、人が辞めていく会社の多くのケースでは若手、有能、女性から辞めていく。本来エンゲージメントが高く、成果を出すメインの層から抜けていくことで、業務遂行が滞るレベルの組織崩壊が起きることもある。

 

齋藤
筆者自身の経験で言えば、人が辞め過ぎたことが原因の組織崩壊により、取締役会による突然の社長更迭(当然、人事役員も更迭)に至ったこともありました。

 

「7つの社風」の特徴、辞める理由、辞めやすいタイプについて

ここからは、7つの社風の特徴を簡単に紹介し、「その社風で人が辞めるのはなぜなのか」、そして「その社風でどんな人が辞めるのか」について書いていきたいと思う。

 

体育会系

まず、体育会系の社風を持つ企業は人が辞めやすい。

その理由は、一言で言うと「体育会系独特の考え方や精神論、同調圧力、ノリ」だろう。

 

より具体的にかみ砕くと、以下のような特徴がある。

  • 上の言うことは絶対
  • 声が大きい人間が出世する
  • 和を乱すのは悪いこと
  • 気合で頑張ることが偉いこと

 

この社風は、合う人は合うのだが、合わない人は全く合わない。

よって、合わない人がどんどん辞めていく。

 

齋藤
他の社風のうち、「トップダウン」「長時間労働」「公私が曖昧」等と重複している率も高いです。

 

この社風に合わない人、即ち辞めやすい人は以下のような人である。

  • クリティカルシンキングが得意な人(批判的・合理的思考の人)
  • 独創的な考え方をする人や、周囲と異なる行動をとる人
  • 効率的な働き方が好きな人
  • 群れるのが好きではない人
  • 「上が絶対」の中では発言力が弱い若手

 

自分の頭で考える人間や、皆と同じことをしない人間発言力が弱い若手が合わないので、「出来る人から辞めていく」「転職できる人から辞めていく」ように見えることも多い。

 

なお、社員が思考停止していたほうが好都合な「ブラック企業」の社風は、その多くが体育会系的なものである。

 

齋藤
体育会系ならブラック企業とは言えませんが、ブラック企業なら体育会系(の特徴がある)とは言えます。

 

同族経営・オーナー企業

創業者やその子孫が社長をしている会社、つまり同族経営(やオーナー企業)の会社も人がどんどん辞めていくことが多い。

この社風で人が辞めていく理由は、以下である。

  • 一代でオーナーになった創業者には、パワフルすぎて付いていくのが大変な人間が多い
  • 上層部が「会社は自分たちのもの」と思っており、独裁的な体制になり易い
  • 能力でなく同族であるかどうかで判断されるため、人事や処遇に不公平感がある
  • 「トップダウン」の社風とも重なりやすい

 

一方で、同族経営では、創業者やその家族のお気に入りになれれば「実力以上の地位につける」部分もある。

そう考えていくと、この社風で辞めやすい人は以下のような人である。

  • 能力主義・実力主義が正しいと思っている人
  • 社長や取締役まで出世したい人
  • 正義感が強く、社内政治が苦手な人
  • 社長やその取り巻きと合わない人

 

寝技や忖度、根回しが得意ではないものの、プレイヤーとしての仕事は抜群に出来る、というタイプは合わないだろう。

この社風でも「出来る人からどんどん辞めていく」ことになりそうである。

 

トップダウン

オーナー企業や体育会系と重なりがちだが、トップダウンの社風も人が辞めやすい。

この社風で人が辞めていく理由は、以下である。

  • トップの好き嫌いで全てが決まるため、トップを尊敬できており、かつトップに尊重されている状態でないと辛い
  • トップに反論できる人がいないため、トップの指示が「的外れ」「無茶ぶり」であった際の現場の徒労感が大きい
  • 「命令されてやる」という仕事の仕方となり、自分の声が反映されず、社員のモチベーションが湧きにくい
  • 特に「長時間労働」「体育会系」の特徴も併せ持つことが多い

 

トップダウンの社風は、トップが非常に優秀である場合には機能するし、トップと相性がよければ居心地もよく、素晴らしい会社となる可能性もある。

しかし、逆にそれらの条件が失われると途端に地獄になるのがトップダウンの企業である。

 

トップダウンの社風で辞めやすい人は以下のような人である。

  • 自発的な人
  • 承認欲求が強い人
  • トップやその取り巻きと合わない人

 

トップダウンは、やる気のある人間にはあまり合わない。

自分で提案して手柄を上げて認められる、つまりスポットライトが当たることも少ないので、承認欲求が強い人も合わないだろう。

 

実際には、「やる気のある人からどんどん辞めていく」とまで急激ではなく、「だんだん社員のやる気がなくなっていく」ケースが多い。

 

齋藤
実は「誰かに指示を出してもらうほうがラク」という方は多いのですが、そういう方には合っているでしょう。

 

長時間労働

いうまでもないが、長時間労働の企業ではどんどん人が辞めていく。

 

ここまで解説した3つの社風には「合う人」もいたが、長時間労働は純粋に(誰にとっても)ネガティブである。

よって、辞めていく理由の説明は、特に必要ないだろう。

 

長時間労働の社風ではどんな人も辞めやすくなるが、特に辞めやすい人は以下のような人である。

  • 育児や介護等、プライベートに時間を割く必要がある人
  • 近い将来に出産等のライフイベントがあり得ると思っている女性
  • ワークライフバランスの考え方が浸透している大企業や外資系企業の出身者
  • みなし残業制や裁量労働制で働いている人(残業代が出ない人)

 

長時間労働が横行している企業では、上記の1つ目と2つ目の理由により、女性が辞めやすい

 

齋藤
女性比率は、会社がホワイトかどうかという意味で、男性にとっても重要な指標です。

 

年功序列の処遇

年功序列の会社は、これまでに述べたものよりは「どんどん辞めていく」という感じがしない社風かもしれない。

それは正しい。ある「特定の層」しか辞めないからだ。

 

ある特定の層とは、「①年功序列より実力主義の方が自分が将来にわたって受ける恩恵が大きい」と考えている「②若手」である。

この2つの条件を両方満たす人間は、素直に考えると若手のエースである。

 

年功序列では、若手のエースやそれに(年齢的・能力的に)近い人間だけがどんどん辞めていくが、他の人はそうでもない(しがみついている)という会社になり易い。

 

齋藤
7つの社風のうち「年功序列」だけが該当する会社は、むしろ「若手」「エース」以外の社員の退職率は低いです。

 

公私が曖昧

体育会系と重なる部分もあるが、「公私が曖昧」というのも辞めていく人が多い社風である。

 

これはつまり、会社のイベントによってプライベートの時間が潰されるということである。

程度の差はあるが、以下のようなものだ。

  • 会社や部署での飲み会が多い
  • 職場にプライベートでも仲良くしなければならない雰囲気がある
  • 会社のイベントが多く、休日に会社のイベントの準備をする必要がある

 

この社風で人が辞めていく理由は、以下である。

  • ワークライフバランスの考え方の浸透(仕事とプライベートを分けて考えている世代が職場の主力に)
  • 「公私が曖昧な家族的経営の企業」が減り、悪い意味で「今どき珍しい特性」になってきた
  • 「同僚と仕事以外でまで顔を合わせたくない」人が増加した、またはそう言いやすくなった

 

長時間労働で辞めやすい人と重複するが、この社風で辞めやすい人は以下のような人である。

  • 育児や介護等、プライベートに時間を割く必要がある人
  • 近い将来に出産等のライフイベントがあり得ると思っている女性
  • ワークライフバランスの考え方が浸透している大企業や外資系企業の出身者
  • 社交的ではない人
  • 若手(の多く)

 

パラシュート人事の多用

最後は「パラシュート人事の多用」である。

これをやっている会社は、どんどん人が辞めていくケースが顕著に多かった。

 

齋藤
パラシュート人事とは、中途で採用した社員をいきなり要職に据えることです。

 

つまり、他社から役員やマネージャーを採用してくるのが日常化している会社である。

 

なぜこれが「どんどん人が辞めていく」ことにつながるのか分からない方もいるだろう。

この社風で人が辞めていく理由は、以下である。

  • 役員やマネージャーとして入社した中途入社者と、元からいた社員(中途入社者の部下)間で軋轢が生じやすい
  • 役員やマネージャーでさえ「いなくなったら採ればいい」という風土により、人材の入れ替えに抵抗がなくなり、部下を大切に扱わない上司が多くなる
  • 役員やマネージャーの採用での補充が多いので、社員の内部昇進の道が少なくなり、既存社員のモチベーションが低くなる

 

この風土のもとでは、「部下を大切に扱わない上司が多くなる」「内部昇進が少ないため元々いる社員のモチベーションが低くなる」ことにより、全体的に人が辞めていく。

しかしながら、その中でも特に辞めやすい属性を一つだけ言えば、以下のような人である。

  • 役員やマネージャーとして入社した中途入社者自身と、その部下

 

自分が役員やマネージャーとして転職する際には、自分のようなパラシュート人事は多いのかどうか、確認すると良い。

パラシュート人事ばかりで成り立っている会社は外資系だけでなく日系でも結構あり、離職率が異常値になっていることが多く、危険である。

 

まとめ

転職する際は、以下の社風がないか、また、自分がその社風で辞めやすい人間ではないかをチェックしておくと良い。

  1. 体育会系
  2. 同族経営・オーナー企業
  3. トップダウン
  4. 長時間労働
  5. 年功序列の処遇
  6. 公私が曖昧
  7. パラシュート人事の多用

 

上記の中には「パラシュート人事の多用」等、自分では調べても分からないものがあると思う。

 

そこは転職エージェントの出番である。

有能な転職エージェントであれば、自分が担当している企業が上記①~⑦に当てはまるのかどうかについて、全て答えられるはずだ。

 

転職活動の成否は良い転職エージェントを見つけられるかどうかで決まる部分も多い。

自信のない方は、ぜひ「転職エージェントの選び方の教科書|出会い方、絞り込み方、付き合い方まで」を参考にしてほしい。

 

転職サイトや転職エージェントは無数にあるが、それらを紹介するランキングやおすすめサイトの信憑性は低く、どのサイトに登録すべきか悩む方は多い。

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