IT企業に入るには

IT企業に入るには?転職でIT企業に入る4つの方法を人事プロが解説

悩めるビジネスパーソン

IT 業界、IT系職種ともに未経験ですが、IT企業に転職したいです。
新卒でIT系に入っておかないと、IT企業への転職はできないのでしょうか?
転職でIT企業に入るにはどうしたらよいか、教えてください。

 

今回のテーマは「転職でIT企業に入るにはどうしたらよいか」である。

結論から申し上げると「IT業界未経験・IT系職種未経験からでも、転職でIT企業に入ることはできる。その方法は大きく分けて4つあるので、本文中で解説していく」という内容になっている。

 

齋藤
なお、筆者はIT企業において人事執行役員をやっていたことがあります。
実務経験をもとに、実際に良くあるパターンを記載していきます。

 

初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。

筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。

  • 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
  • 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
  • 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
  • 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験

 

この記事を読むことでIT企業に入るにはどうしたらいいかが分かり、 実際に(希望に応じて)IT企業に転職することができるようになるだろう。

 

結論

まず本記事の結論を記載しておく。

項目のみ記載しているため、詳細は本文中で確認していただきたい。

 

IT企業に入る方法は大きく分けて以下の4つである。

  1. 同じ職種で転職する
  2. 自社のIT関連部門に異動してから転職する
  3. 独学でプログラミングを学ぶ・資格を取ってから転職する
  4. IT企業を得意とする転職サイト・転職エージェントを使う

 

入るべきIT企業の見分け方は、以下のようになっている。

  1. 平均年収を調べる
  2. OpenWorkの口コミを見る
  3. IR資料を読む
  4. 優秀な転職エージェントと知り合う

 

【前提】IT業界未経験・IT系職種未経験からの転職

まず、本記事の前提をいくつか書いておく。

本記事の想定読者は以下の通りである。

  • 新卒の就職ではなく、転職でIT企業に入りたい方
  • IT業界およびIT企業未経験の方
  • IT系職種(SE・プログラマー・Webマーケター等)未経験の方

 

筆者はITの専門家ではなく人事や転職の専門家であるため、IT企業で今後求められるプログラミング言語は何か、等の話題については触れていない。

あくまでIT企業に転職するための方法論について、深掘りしてお伝えしていく。

 

【参考】IT業界に入るメリット・デメリット

参考までに、IT業界に入るメリットとデメリットを挙げておく。

必要のない方は、本項目は読み飛ばしてほしい。

 

IT業界に入るメリット

筆者の経験上、IT業界(IT企業)に入るメリットは以下の通りである。

  1. 実力主義で風通しが良い企業が多い
  2. 基幹産業かつ成長産業である
  3. どの分野でも使えるスキルが身に付き、ハブ・キャリアとして扱われる
  4. 時間や働き方の自由度が高い場合が多い

 

メリットについて、分かりにくいもののみ補足しておく。

 

キャリアアップの裏技!職歴ロンダリングの教科書」等で解説した概念に、ハブ・キャリアというものがある。

ハブキャリアとは、これを通ることで、様々な業種や職種に転職しやすくなるという特別なキャリアのことであり、IT企業はこのハブ・キャリアに該当する。

 

齋藤
IT・デジタル関連の整備・推進を求められていない業種は、ほぼ存在しないためです。

 

また、「テレワーク出来る仕事を会社・業種・職種別に人事プロが徹底解説」にも書いた通り、IT企業はテレワーク(リモートワーク)を採用している率がダントツで高い。

場所だけでなく、時間についても裁量労働やフレックスタイムの採用等、積極的に推進している会社が多い。

 

IT業界に入るデメリット

IT業界(IT企業)に入るデメリットは、以下の通りである。

  1. 組織的には未成熟の企業が多い
  2. 給与や福利厚生は良くない中小規模の企業が多い
  3. 実態は派遣業という会社が多い

 

IT業界には(ベンチャーという名の)若い企業や中小企業が多いため組織的に未成熟であり、人事異動や評価等がルールやプロセスではなく上層部の志向や気分次第で決まることも多い。

このあたりの弊害については、以下の記事を参考にしてほしい。

>>大企業から中小企業・ベンチャー企業への転職で戸惑いがちなことと成功のポイント

 

また、IT企業はGAFAやMicrosoft、メガベンチャー等の一部を除き、あまり規模が大きくない会社が多い。

よって、給与や福利厚生は大企業と比べて高くない。

 

最後にここは重要なのだが、IT企業といっても自社でWebサービスを開発・運営しているGAFAMやメガベンチャーのような企業は意外に少ない

IT系寄りの職種を派遣する、単なる派遣業で成り立っている企業が日本には特に多いので、気をつけることである。

 

齋藤
例えば以下の記事をご覧になっていただくと分かりますが、派遣業の会社は全くおすすめできません。

>>アウトソーシングテクノロジーを辞めたい方の教科書|退職理由や後悔、市場価値や転職方向性まで

 

【対策】IT企業に入る4つの方法

ここからは、IT企業の人事執行役員であった筆者が見てきた実例から、IT企業に入る方法について解説していく。

IT企業に入る方法は大きく分けて以下の4つである。

  1. 同じ職種で転職する
  2. 自社のIT関連部門に異動してから転職する
  3. 独学でプログラミングを学ぶ・資格を取ってから転職する
  4. IT企業を得意とする転職サイト・転職エージェントを使う

 

上記について、それぞれ解説していく。

 

同じ職種で転職する

まず、IT企業に転職するためには、自分が現在就いている職種で転職するというのが基本である。

例えば筆者であれば専門性は人事なので、IT企業に人事職で入ることは容易である。

 

異業種転職の教科書」という記事に書いた通り、異業種転職は全ての転職のうち半数以上を占める。

同じ職種で、違う業種に転職することは当たり前なのである。

 

よって、IT企業にも存在する職種に就いている方は、今と同じ職種でIT企業に転職することができる。

 

齋藤
電機エンジニアや組立工等の方は、この方法は使えません。
また、ITエンジニア等、IT企業にしか存在しない職種に就きたい方もこの方法は使えません。

 

自社のIT関連部門に異動してから転職する

30代での未経験職種の転職で絶対におさえておきたいことを人事プロが解説」等の記事にも書いているが、未経験職種での転職は非常にリスクが高い

こういった際に検討したい手段が一つあり、それは人事異動である。

 

自社に社内公募制度キャリア希望を面談で聞く制度等があれば、まずはその利用を考えるべきである。

社内異動であれば、最初は役立たずであっても、ある程度の育成の期間を見込んでもらえることが多い。

 

逆に、転職でIT企業に入る場合には、基本的には即戦力を求められる

 

齋藤
ちなみにこれはIT企業に限らず、転職全般に当てはまります。

 

現在、IT・デジタル人材はどの企業でも不足している。IT・デジタル人材を未経験からでも育てたいというニーズは強い。

年齢やコンピテンシーにもよるが、少なくとも「IT系の仕事をやりたい」という希望が強いのであれば、それは会社にとっても望ましいことである。

 

齋藤
日本の会社員はあまりやらない人が多いのですが、まずは上司や人事に相談してみることが重要です。

 

独学でプログラミングを学ぶ・資格を取ってから転職する

筆者はあまりおすすめしない方法であるが、独学でプログラミングを学んだり、資格を取ったりしてから転職するという方法もある。

 

一般的に取得して効果があるとされている資格は、以下の通りである。筆者の勤めていたIT企業でも取っていた人間は多かった。

  • ITパスポート
  • 基本情報技術者試験
  • 応用情報技術者試験

 

この他に、独学でプログラミングを学ぶ方法や、プログラミングスクールを出て転職するという方法もある。

スクールによっては、就職先をほぼ確実に斡旋してくれるところもある。

 

ただし、スクールで学んだ程度で転職できる会社はあまり質が良くないことが多いので、筆者としてはお勧めはしない。

いわゆるIT系の人材派遣業でこき使われることも多いし、最悪のケースではブラック企業に入ってしまうことになる。

 

IT企業を得意とする転職サイト・転職エージェントを使う

IT企業に転職したい場合に、おすすめ出来る転職サイト・転職エージェントは以下で紹介している。(IT企業の多くはベンチャー企業やそれに近い組織風土である)

>>ベンチャー転職におすすめの転職サイト・エージェント厳選3つ+α

 

なお、上記の記事を読んでいただくと分かるのだが、筆者は以下の2つの理由から、ベンチャー転職専門の転職サイト・転職エージェントはあまりおすすめしていない。

  • 転職サイト(例:リクナビNEXT)の中に、IT企業を得意とする転職エージェントが大量に入りこんでおり、重複すること
  • IT企業を得意とする転職エージェントは、いわゆるIT土方(派遣・請負要員)を集めている企業が多く、中にはブラック企業も含まれること

 

上記の記事内で挙げた転職サイト・転職エージェントの中では、ビズリーチが最もおすすめである。

IT企業には中小規模の企業、つまりベンチャー企業が多いが、ビズリーチには、ベンチャー企業やベンチャー専門の転職エージェントが多数参加しているからである。

>>ビズリーチの評判・口コミを人事プロが解説

 

入るべきIT企業の見分け方

最後に、入社すべきIT企業の見分け方について簡単に触れておく。

入るべきIT企業の見分け方は、以下のようになっている。

  1. 平均年収を調べる
  2. OpenWorkの口コミを見る
  3. IR資料を読む
  4. 優秀な転職エージェントと知り合う

 

上記の見分け方について、それぞれ簡単に解説していく。

 

平均年収を調べる

既に述べた通り、IT企業には福利厚生が少なく平均年収も低い中小規模の企業が多い。

 

特にIT企業の名を冠した、IT寄り人材の派遣会社では給料は総じて低くなっている。

そういった会社を避けるためにも、平均年収はきちんと調べておこう。

 

OpenWorkの口コミを見る

IT企業には自由闊達で風通しの良い会社も多いが、それとは全く真逆のトップダウンで体育会系の企業風土を持つ会社も多い。

以下の記事に書いた通り、体育会系の会社やトップダウンの会社では、離職率が異常なことになっているケースがある。

>>人がどんどん辞めていく会社にありがちな「7つの社風」とは

 

企業風土として「ヤバい」会社を避けるためには、OpenWork(旧・Vorkers)等の転職口コミサイトを見ておくことが有効である。

 

重要なのは組織風土の項目と、退職理由の項目である。

この二つの項目を眺めておけば、どういった会社なのかが大体分かってくる。

 

IR資料(公式サイトの投資家向けページ)を読む

IT系の派遣会社を避けたいのであれば、IR資料をきちんと見ておくということも重要である。

 

画期的なWebサービスや量子コンピューター等について取り組んでいると謳う会社は多いが、実態は単なる派遣業というものも多い。

こういった会社はうまく自社のブランディングをしていることが多いが、さすがにIR資料で事業実態を完全に隠すことは難しい。

 

優秀な転職エージェントと知り合う

優秀かつ信頼できる転職エージェントであれば、どのIT企業がまともなのか、逆にそうでないのかを知っている。

IT業界に限らず、優秀な転職エージェントと知り合うことは、成功する転職活動の第一歩である。

 

優秀な転職エージェントと知り合う方法については、以下の記事に記載したので必要に応じて参考にしてほしい。

>>転職エージェントの選び方の教科書|出会い方、絞り込み方、付き合い方まで

 

まとめ

IT企業は現在の基幹産業であり、今後も伸びていく業界だと考えられる。

ただし、IT企業にはベンチャー企業と謳った「中小規模のIT人材派遣業」を営む企業も多いため、入社する企業はよくよく吟味すべきである。

 

転職サイトや転職エージェントは無数にあるが、それらを紹介するランキングやおすすめサイトの信憑性は低く、どのサイトに登録すべきか悩む方は多い。

迷ったら、年代でも性別でもなく、シンプルに年収で決めるのがおすすめである。

  • リクナビNEXT年収800万円未満の場合。日本最大級の公開求人を掲載、エージェントも豊富
  • JACリクルートメント 年収800万円以上の場合。大手および外資系を中心に、日本最大級の非公開求人を保持

 

人材企業の最大手リクルートが運営するリクナビNEXTは、年収が800万を超えるまでは万能の転職サイトだと言える。(それ以上の年収帯では案件が減る)

掲載求人が豊富なだけではなく、リクナビNEXTには多数の転職エージェントが参加しているため、網羅的に求人を探すことが出来る。

 

JACリクルートメントは、筆者が最も信頼している転職エージェントである。転職エージェントとしては日本最大の売上高を誇り、求人の多さ、エージェントの質ともにダントツである。

ただしJACはハイクラス・ミドルクラス向けのため、そのスペックをフル活用するには年収800万円程度が必要だ。

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