ベンチャー企業 転職

ベンチャー企業への転職の教科書|気を付けるべき点と成功のポイント

悩めるビジネスパーソン
現在、大企業で管理系の業務をしているのですが、まったくやりがいがありません。
既に妻子もいる身ですが、30代前半で「燃え尽きたサラリーマン」にはなりたくなく、転職を考えています。
今回の転職で得たいのは、やりがいです。なので、ベンチャー企業への転職を考えています。
ベンチャー企業への転職で失敗しないため、気を付けるべき点や成功のポイントを教えて頂けますか。
ベンチャーに強いエージェント等もあれば知りたいです。

 

今回のテーマは、「ベンチャー企業への転職」である。

筆者は、上場から数年経った「元ベンチャー企業」で執行役員をしていたことがあり、社員にはベンチャー企業からの転職者が非常に多かった。

 

さらに、大手日系企業でベンチャーからの転職者を雇った経験や、ベンチャー企業のCHRO(最高人事責任者)のオファーを多数受けた経験を持つ。

ベンチャー専門の転職エージェント、例えば「for Startups, Inc.」のエージェントとも話す機会があり、この話題には通暁している。

 

上記の経験を踏まえ、今回は「ベンチャー企業への転職の教科書」と題し、失敗しないために気を付けるべき点と成功のポイントについて記載していく。

 

齋藤
今回の記事は、主に大企業からベンチャー企業に転職をお考えの方向けに記載しています。

 

【最重要】ベンチャー企業=中小企業。何をメリットとして得たいのか明確にすべし

まず、最も重要な前提を申し上げよう。

ベンチャー企業とは、中小企業である。中小企業に、「ベンチャー」「スタートアップ」という格好良い呼び名を付けただけに過ぎない。

 

齋藤
いきなり水を差すようなことを言って申し訳ありません。ここから、「ベンチャーはやめとけ」と言わんばかりの記述が少し続きます。
しかしながら、この点を理解せずにベンチャー企業に転職するのは、本当に危険です。

 

そもそも、ベンチャー企業に明確な定義はない。中小企業との違いを無理やり挙げるとしたら、

 

  • 新しいサービスを出そうとしている(ことが多い)
  • メンバーが若い(ことが多い)
  • 会社自体が設立されて間もない(ことが多い)

 

くらいなものである。

 

ここで、一般的に言われるベンチャー企業のメリット・デメリットを記載しておこう。

 

  • メリット:出世が早い、ストックオプションがもらえる、優秀な仲間がいる、やりがいがある、オシャレなオフィスや珍しい福利厚生がある、裁量が大きい、若い人が多く活気がある
  • デメリット:忙しい、給与が低い(福利厚生が少ない)、専門性が付きにくい

 

上記のうち、ベンチャー転職のデメリットについては、基本的に全て真実である。

死ぬほど忙しいし、給与は中小企業並みのところが多いし、何でもやるので専門家にはなりにくい。

 

さらに、上記で挙げたベンチャー転職のメリットの多くは、以下の通り「条件付き」のものが多いのである。

 

  1. 出世が早い →本当でも嘘でもある
  2. ストックオプションがもらえる →人による
  3. 優秀な仲間がいる →経営陣だけのことが多い
  4. やりがいがある →大きく人による
  5. オシャレなオフィスや珍しい福利厚生がある →本当だけどすぐ飽きる
  6. 裁量が大きい →本当
  7. 若い人が多く活気がある →本当

 

①~④について、補足しよう。

 

①の出世が早いという点については、タイトル(マネージャーとか執行役員とか)で言えば本当である。

確かにベンチャー企業では、大企業より早くマネージャーになれる可能性が高い。

 

しかしながら、ベンチャーのマネージャーは600万程度の年収、部長クラスでも800万程度の年収にとどまることが多い。

対して、大企業では主任クラスで700~800万程度は出る。(筆者がソニーの統括課長だった時の年収は1,400~1,500万程度であった)

 

齋藤
あまり良い言い方ではないのですが、一言でいうとベンチャーのタイトルはインフレ(水増し)されたものなのです。

 

②のストックオプションの恩恵に預かれるかどうかは、役職と加入時期次第だ。

さらに、たとえストックオプションをもらえたとしても、ベンチャー企業が失敗する確率は93%とも言われていることを忘れてはならない。

 

スタートアップの成功は7%しかなく、DropboxやAirbnbなどのように大化けする確率は0.3%ほどしかない

出典:起業家養成スクール「Yコンビネーター」の創業者 ポール・グレアム

 

ある程度成功したベンチャーになったとしても、上場できなければストックオプションは紙くずである。

ベンチャーが成功し、かつ上場する確率は、かなり低い。

 

③の優秀な仲間も、幻想であることが多い。

 

確かに、入社前に面接で会うマネージャー陣、特に経営陣は優秀かつ魅力的な人物であることが多い。「社長の魅力」でベンチャーにジョインする人も多いだろう。

しかしながら、(ポジションにもよるが)入社してもその人たちと働くわけではない。

 

当然だが、ベンチャーの社員の多くは「普通の社員」である。

多くが「大企業には入れなかった」社員で構成されているのがベンチャーの現実であり、雑務をアルバイトや業務請負の方にお願いしているところも多い。

 

齋藤
優秀な人と働きたいのが目的であれば、Googleやマイクロソフト、マッキンゼーやBCG、三菱商事など、誰もが知る超人気企業に行った方が良いでしょう。

 

④のやりがいがあるかどうか、これも問題である。

忙しくて薄給、これは普通に考えればブラック企業である。しかも、ベンチャーには(大企業だったらスタッフやアシスタントがやってくれる)雑務が蔓延している。

 

この環境にやりがいを感じられるかどうかは、大きく「人による」と言っていいだろう。

サービスへの愛、ビジネス構築の修行、ストックオプション、世の中のため、何でもいいのだが「自分の信じる目的のため」に熱狂できるかがカギである。

 

ベンチャーに行くなら、これ以上ないほど明確な「欲しいもの(目的)」を持っていなければならない

 

大企業(例えばトヨタ)から中小企業(例えば車のシャシーの製造会社)に転職するのは、キャリア的に考えれば「なんでそんなことしたの?」という意思決定である。

その意思決定を、「ベンチャー」という言葉でごまかされたまま下してはいけない

 

車体には興味がなく、世界一のシャシーを作るのが夢なのか。トヨタでは歯車に過ぎないが、シャシー会社では役員待遇なのか。

シャシー会社は上場を目指しており、ストックオプションに賭けるのか。大組織ではなく、少人数で夢を語りながらワイワイ働きたいのか。

 

繰り返すが、目的は何でもいい。

何でもいいのだが、それがこれ以上ないほど明確でなければ、きっと後悔する。

 

齋藤
ここまで、ベンチャーの悪い点ばかりを並べ立ててきました。
しかし、「光速で出世し、ポジションも給与も高く、会社を動かす裁量を持ち、ストックオプションで億万長者、若い仲間と楽しくやっている」という、大企業に勤めていたら一生得られない処遇を得られる可能性があるのもまた、ベンチャーなのです。

 

【失敗を避ける】ベンチャー企業への転職で戸惑いがちなこと

ここまで読んでなお「ベンチャー企業に転職したい」という方は、明確な目的をお持ちであろう。

だとすれば、あとは失敗を避け、成功のポイントをおさえるだけである。

 

まずは、失敗しがちなポイントからいこう。

大企業からの転職者が、ベンチャーに転職して戸惑いがちなことは以下である。

 

齋藤
「ベンチャー企業=中小企業」であるため、大企業から中小企業への転職で戸惑いがちなことと成功のポイントから引用・改変しています。
中小企業やベンチャー企業について詳しく知りたい方は、私の体験から書いた上記の記事も合わせてどうぞ。

 

  • 大企業が民主主義の大都市だとしたら、ベンチャー企業は独裁体制の村社会
  • 村社会なので、固定カースト制が敷かれがち(スクールカーストに近い)
  • イマイチな古株と優秀な転職者の間にストックオプション格差がある
  • 大手では見られないヤバい社員がいることがある
  • 育成やローテーションの概念がなく、キャリア構築が難しい
  • 独裁者たちの意向により、部署や事業が消え去りがち
  • キャパの限界まで何でもやらされがち
  • 評価が本当に「人間的な好き嫌いの評価」になりがち
  • 尖った人事制度や独裁者たちの意向により、年収が過度に上下しがち

 

まとめると、創業者たちの意向が強く働き、人間関係で動く側面が大きく、何もないのですべては自分次第、ということである。

そういった点に強く戸惑ってしまうと、ベンチャーになじめず、いわゆる「転職失敗」のような状態になってしまう。

 

齋藤
この項で挙げた要素について、本来は「それぞれのベンチャーによる」が正しいです。
ただし、自身やベンチャー出身者の話から、ある程度多くのベンチャーに当てはまるであろうものを記載しました。

 

【中小企業共通】ベンチャー企業への転職での成功のポイント7つ

前項の「戸惑いがちなこと」を踏まえ、ベンチャー企業への転職を成功させるポイントについて解説する。

 

ここでは、以前に別の記事で書いた「中小企業への転職の成功のポイント」を再掲しておく。

何度も言うが「ベンチャー企業=中小企業」であるため、以下のポイントがそのままベンチャー企業への転職にも当てはまる。

 

  1. なるべく多くの偉い人(できれば社長)に会って、懸念がない場合にのみ転職する
  2. 前任者が何をしているか、どうなったのか質問し、懸念がない場合にのみ転職する
  3. ゆっくり活躍するつもりで、「村社会に溶け込むイエスマン時間」を計算に入れる
  4. 中小企業あるあるを事前に知っておき、心の余裕を持つ
  5. ある程度「短期キャリア」になる覚悟を持つ
  6. いったん転職先のやり方を全て「是」とする
  7. 人間関係には最大限気を付け、裏のボスを見極める

 

ベンチャー企業も、中小企業と同じ「村社会」であり、1人~数人の独裁者(ボス猿)により治められている。

 

中小企業のおじさん社長やおばさん取締役とは異なり、ベンチャーの社長や役員らは若くて気さくに見えることが多い。

ただし、実際にそうかどうかは分からない。よく見極めよう。

 

それぞれの項目の詳しい解説を知りたい場合は、「大企業から中小企業への転職で戸惑いがちなことと成功のポイント」を参照してほしい。

 

【ベンチャー特有】ベンチャー企業への転職での成功のポイント3つ

「ベンチャー企業への転職で戸惑いがちなこと」のまとめとして、以下のように書いた。

まとめると、創業者たちの意向が強く働き、人間関係で動く側面が大きく、何もないのですべては自分次第、ということである。

 

これらが、ベンチャーに転職する際に失敗する原因である。

逆に言えば、これらをすべて潰せば成功する。つまり、

 

  1. 上司とうまくやること
  2. 人間関係を構築すること
  3. 能動的に動くこと

 

ということになる。

この3つはどの会社であっても大事なことではあるが、ベンチャーでは特に重要だ。

 

【1】上司とうまくやること

半沢直樹ではないが、大企業では上司に逆らうのは意外と簡単である。

 

齋藤
私を含め、ソニーではよく上司に逆らう人が多かったです(笑)

 

しかし、ベンチャーや外資系では、これは命とりだ。

クビまで行く例は少ないが、その後、鳴かず飛ばずになる可能性は高い。

 

自分の持てるすべての力を使い、上司に気に入られよう。

成果主義と言われる外資系企業こそ、最も「おべっか(お世辞)」が盛んな場所だと知っておいてほしい。

 

【2】人間関係を構築すること

人間関係の構築は、どの組織でも重要である。

ただし、村社会であり人間関係で仕事が進むことも多いベンチャー企業では、これが特に重要である。

 

最初の一か月は、人間関係を構築することに費やしてもよいくらいである。

 

【3】能動的に動くこと

何もないベンチャーでは、唯一の資産は人材だ。

あなたが能動的に動かなければ何も生まれない。最悪、あなたの給与分の利益すら生まれず、会社が倒産する。

 

齋藤
大企業では「何もしないおじさん、おばさん」にも生存権が認められていますが、ベンチャーでは異なります。

 

また、キャリア構築についても、能動的に動くことが求められる。

上司と仲良くし、能動的に仕事をし、キャリア構築に必要な経験を自ら取りに行くことが重要だ。

 

【おすすめ有】ベンチャー企業に転職するための4つのルート

最後である。

これからベンチャー企業への転職を考えている方向けに、転職するための4つのルートをご紹介しよう。

 

  1. 【おすすめしない】ベンチャー転職専門の転職エージェントに紹介してもらう
  2. 【おすすめ】大手転職サイトに登録し、様々な転職エージェントと知り合う
  3. 【おすすめ】転職SNSに登録し、様々な転職エージェントと知り合う
  4. 【可能ならおすすめ】リファラル採用(知り合いの紹介による採用)を探す

 

それぞれ簡単に解説しよう。

 

【1】【おすすめしない】ベンチャー転職専門の転職エージェントに紹介してもらう

最も分かりやすいのが、ベンチャー転職専門の転職エージェントを使う方法だ。

例を挙げると、「for Startups, Inc.」「キープレイヤーズ」「BNGパートナーズ」などが有名である。

 

これらの会社は確かに多くのベンチャー企業と付き合いがあり、自分が知らないベンチャー企業を知るのには便利だ。

しかし、筆者個人としては正直、どうもおすすめできない。

 

理由は、転職エージェントとしてのレベルの低さである。

もちろん、全員が全員そうではないと思うが、筆者が「ダメすぎて記憶している」転職エージェントは、全てベンチャー転職専門業者なのだ。

 

  • 基本的なビジネススキルが低い(連絡の仕方や口調など)
  • 「ここの代表、この前飲んだんですけど、キレッキレなんで齋藤さんも会っておくべきっすよ!」的なノリと押しつけ
  • 転職エージェントとして必須の「年収交渉」「ポジション交渉」などすら出来ないエージェントも

 

ベンチャー転職専門の業者には、プロフェッショナルとは言えないスタッフが多い。

ベンチャー社長とよく話している自分を「イケてる」と思ってしまっている人間も多く、「今、自分の中で推している」ベンチャーのゴリ押しがひどい。

 

齋藤
ダメすぎるエージェントのせいで、社長と直接、ゴリゴリと「年収交渉」「ポジション交渉」をしたことがあります。

 

年収交渉を自分でさせられるくらいならまだいいが、ゴリ押しに負けて変なベンチャーに入ってしまったら大変である。

「ベンチャー企業が失敗する確率は93%」であることを思い返してほしい。

 

【2】【おすすめ】大手転職サイトに登録し、様々な転職エージェントと知り合う

筆者がおすすめするのは、ベンチャー専門業者ではない転職エージェントだ。

 

このタイプのエージェントは、大手転職サイトに登録(無料である)して職務経歴書を書いておけば勝手に連絡をくれる。

その中から相性が良く、有能なエージェントをストックすればよい。

 

齋藤
例えば、私が懇意にしているエージェントとは、リクナビNEXTで出会いました。
3か月に1度くらい連絡をくれ、ベンチャーの役員求人(年収が1,500~2,000万overくらいのもの)を定期的に紹介してくれます。

 

転職エージェントの選び方や付き合い方については「転職エージェントの選び方の教科書|出会い方、絞り込み方、付き合い方まで」を参考にしてほしい。

 

【3】【おすすめ】転職SNSに登録し、様々な転職エージェントと知り合う

転職SNSである、Linkedinもおすすめである。

 

Linkedinに登録し、経歴を埋めておけば、勝手にエージェントから連絡が来る。

大手転職サイトへの登録とともに済ませておこう。これも無料である。

 

【4】【可能ならおすすめ】リファラル採用(知り合いの紹介による採用)を探す

初期のベンチャー企業は、知り合いの紹介によるリファラル採用で人を増やすことが多い。

これは、企業側にとっても応募者側にとってもメリットがある。

 

  • 企業側のメリット:採用コストがかからない。辞めにくい人が来る。ある程度レベルが分かり、信用も出来る人が来る
  • 応募者側のメリット:知り合いから内情を聞いて入社するのでギャップを感じにくい。リファラル採用で人を集めている段階ではストックオプションをもらいやすい。

 

良さげなベンチャーに勤務している知り合いがいるのであれば、リファラル採用があるか聞いてみるのも手である。

 

まとめ

「転職によって何を得たいのか」を明確にしておけば、ベンチャー転職の成功確率は飛躍的に向上する。

 

ベンチャーへの転職にかかわらず、転職活動における第一歩は、「求人探し」「転職エージェント探し」である。

以下のツイートにも記載したが、そのための最初のアクションは大手転職サイトや転職SNSへの登録だ。

 

 

どんな転職サイトやエージェントが良いのか分からないという方は、以下の記事を参考に、ベンチャーへの転職を有利に進めてほしい。

 

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