アイリスオーヤマは2社目で、元々は別のメーカーで働いていました。アイリスオーヤマでは業務を多く任せてもらえるため、20代の成長環境としては良かったです。
しかしながら、結婚し、出産も考える年齢になり、「このまま働くのは無理」と思い、退職を検討しています。
とはいえ、本当に辞めていいのかはまだ迷っていますし、どこに転職すべきかや、アイリスオーヤマ出身者の市場価値なども気になっています。この辺りについてアドバイス頂けると有難いです。
筆者は総合電機メーカー(例:日立、ソニー、パナソニック、等)で人事をしていたことがある。
そういった総合電機メーカーが経営難だった時、総合電機メーカーからの退職者を雇用して「安く」「日本の総合電機の品質の」商品を出す戦略を採ったのが、アイリスオーヤマである。
今回は「アイリスオーヤマを辞めたい方の教科書」と題して、元アイリスオーヤマ社員の退職理由や辞めた後の後悔、市場価値までを記載していく。
初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。
筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。
- 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
- 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
- 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
- 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験
この記事を読むことで、アイリスオーヤマを本当に辞めても良いのかの決断が容易になり、退職後のキャリアが明確化することを約束する。
【辞めたいのは自分だけか】アイリスオーヤマは合わない人には合わないトップダウン×体育会系の企業
まず、アイリスオーヤマを辞めたいのは自分だけなのか、即ち、アイリスオーヤマを辞めたい人は多いのかどうかについて記載する。
結論から言えば、アイリスオーヤマを辞めたい人は多いと言える。その根拠は以下である。
- アイリスオーヤマの社員口コミを見ると、組織風土はトップダウン×体育会系であり、同族企業でもある
- Openwork(旧Vorkers)のデータでは、平均残業時間が34.7hと業界平均の24.9hよりかなり多く、有給消化率も37.8%と4割を切っており、労働環境も厳しめである
- リクナビ2022年のデータでは、平均勤続年数 9.4年、平均年齢 32.2歳とかなり若い年齢構成。(中高年まで残らない)
- 実際に、「アイリスオーヤマ 辞めたい」の検索数が多い(月あたりで数百回検索されている)
転職会議の口コミによると、新卒から5年間での離職率が50%となっている。
大企業の人事の感覚からすると、これは異常に高い数値である。
「苛烈な残業」「寝れない日が続いている」など、労働環境に言及する退職者も多く、辞めざるを得なくなった人も多い会社と言えるだろう。
念のため、アイリスオーヤマを批判するために記事を書いた訳ではないので、良いところも記載しておく。
トップダウンであり、労働環境は厳しいものの、「若手に任せる風土」「評価の納得性」「20代の成長環境」等には定評がある会社である。
OpenWork(元・Vorkers)から見るアイリスオーヤマの退職理由
各企業の退職者による口コミ情報サイトであるOpenWork(元・Vorkers)には、現時点で174件のアイリスオーヤマの退職理由が記載されていた。
ここからサンプル抽出して分析してみると、多い順に以下の退職理由となった。
- 人員不足で仕事量が多い、結果として長く働けない
- 体育会系、トップダウンの組織風土と合わない
- 転勤が多く、勤務地に不満
- キャリアアップのため
- その他(給与への不満や、スキルが身に付かない点等)
上記のうち、際立って多かったのは1位から3位の理由である。
つまり、激務、トップダウンで体育会系の社風、そして転勤、が退職理由の多くを占める会社である。
1つ目と2つ目、激務と社風については、「辞めたい人」が多い企業に共通する理由である。
ここで、アイリスオーヤマにおいて特徴的だといえるのが、3つ目の転勤である。転勤が多く嫌気がさした、異動が多くて長く働けない、という方が多かった。
もう一つ特徴的なのは、「キャリアアップのため」という回答である。
この理由が他の企業に比べてやや多かったため、入社時から「アイリスオーヤマで激務をこなして成長し、そのあと転職しよう」と考えて入社する方が多い印象であった。
アイリスオーヤマを辞めたら後悔するか
アイリスオーヤマを辞めたいという方の中には「辞めたら後悔するのか?」が気になる方もいるだろう。
結論を言えば、「人による」が誠実な答えである。
しかしながら、これで終わっては期待はずれだろう。
もう一歩踏み込んで考えると、筆者の答えは「アイリスオーヤマを辞めても、後悔しない可能性が高い」となる。
その根拠を述べよう。
「【転職はハイリスク】人事プロが教える、転職より前に検討すべき3つの選択肢」という記事に記載したが、転職してから2年以内の転職者が「転職は成功だったか失敗だったか」を判断すると、以下のようになる。
- 約4人に1人(26.1%)が「失敗」
- 約6人に1人(16.4%)が「成功」
- 残り全て(57.4%)が「どちらでもない」
※ マクロミル株式会社の調査を基に、筆者分析 (N=1,034)
つまり、「成功」と「どちらでもない」を足した4人に3人は「少なくとも後悔はしていない」人たちであると言える。
これに加えて言えば、アイリスオーヤマは悪い点が明確な会社である。
このことは、実はアイリスオーヤマからの転職の成功確率を上げる要因である。
なぜなら、アイリスオーヤマのような会社では、次の転職で勝ち取りたいもの(=転職における軸や目標)が明確になり易いので、転職の成功確率が上がるからである。
「よく分からないけど今より良いところに行きたい」という転職が成功しにくいのはイメージできるかと思います。
以上より、
- そもそも4人に3人は転職で明確に後悔することはない
- アイリスオーヤマでは、さらに後悔しない確率が高まりそう
なので、「アイリスオーヤマを辞めても、後悔しない可能性が高い」と述べた。
そのことからも、辞めた後に後悔することは滅多になさそうであると言ってよいのではないでしょうか。
元アイリスオーヤマ社員の市場価値
さて、次は元アイリスオーヤマ社員の市場価値についてである。
実は市場価値というものは、現在の在籍会社だけで判定するのは難しい。
「【ミイダス診断は嘘】転職の市場価値はエージェントの求人で判断すべき理由」にも記載したが、本当の市場価値は、転職エージェントに登録し、エージェントが持ってくる求人で判断するしかない。
とはいえ、目安としての市場価値を、年収や業界から分析しておこう。
まず、アイリスオーヤマの平均年収はOpenworkで489万円である。
これは日本人の平均年収430万円(2021年9月、国税庁調べ)よりは高いものの、5,000人を超える規模の社員を持つ大企業としては高くない。
業種で言うと、低価格・高品質の「家電・寝具・インテリア・園芸用品・ペット用品」など、中国などの新興国の競合が多い分野である。
これは外資系転職への道を開いてくれる一方で、新興国の国民と年収が平準化されやすいという弊害もある。
結論として、アイリスオーヤマ出身者の市場価値を一言で言うと、「平均的」といえるだろう。
市場価値が平均的であることから、実績次第で多くの会社に転職できる可能性がある。
一方で市場価値が高いわけでもないので、いわゆる最大手企業に転職したい場合(例:トヨタやソニー)は、まず外資系転職やベンチャー転職をし、次に最大手を目指す「ステップアップ転職」をする必要があるかもしれない。
>>キャリアアップするには?キャリアアップに必要な全プロセスを人事プロが解説
アイリスオーヤマ社員の方が選ぶべき転職エージェント・転職サイト
アイリスオーヤマ社員に限ったことではないが、希望する進路によって、選ぶべき転職エージェントや転職サイトは異なる。
例えば、「アイリスオーヤマ社員だからこのエージェント」ではなく、「外資系企業に行きたい人ならこのエージェント」のように決まります。
転職エージェント選びを軽視している人も多いが、彼ら・彼女らは転職が成功するか失敗するかを決める重要なパートナーである。
それはつまり、人生が変わるということです。
良い転職エージェントの条件や出会い方については、「転職エージェントの選び方の教科書|出会い方、絞り込み方、付き合い方まで」に全て書いたので参考にしていただければと思う。
アイリスオーヤマ社員に絞って書いた記事でこそないが、大きくは以下の4つに分かれるであろう転職希望先別に解説しているので、参考になると思う。
- 大企業への転職を希望
- 中小企業への転職を希望
- ベンチャー企業への転職を希望
- 外資系企業への転職を希望
まとめ
アイリスオーヤマの社員の方で辞めたい人は多い。
長時間労働やトップダウンの社風、転勤など、退職理由となる事項も明確であり、辞めてしまって後悔する人も少ない。
よって、有能な転職エージェントを見つけ出して求人を収集し、自身の市場価値をきちんと把握して転職活動に臨めば、望む転職が出来るだろう。
今すぐに一歩目を踏み出したいという方は、こちらの記事を参考にしてほしい。
>>おすすめ転職サイト・エージェント|プロ厳選の比較ランキング
あなたの望む最高の求人は、あなたが転職活動を始めてすぐに入ってくるものではない。
転職エージェントに「転職市場にあなたがいる」ということを知らせ、求人を集め始めてもらう。このプロセスだけは、今すぐ開始すべきなのである。