私やリーダー社員が深夜帯(22時以降)まで残っている一方で、定時に帰る人もいます。
役割(等級)やライフステージ等、社員によって様々なのは分かっていますが、それを考慮してもあまりにも不公平な分担だと思っています。
仕事の割り振りがおかしい理由や、その対処法について教えてください。
今回のテーマは「仕事の割り振りがおかしい理由とその対処法」である。
結論から申し上げると「仕事の割り振りがおかしいと感じる場合、無能な上司や特殊なメンバーの存在、自身の視野等の様々な要素に起因する。それに伴い対処法も様々なので、網羅的に解説していく」という内容の記事になっている。
初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。
筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。
- 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
- 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
- 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
- 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験
この記事を読むことで、仕事の割り振りがおかしい理由とその対処法が分かり、不公平な仕事の割り振りを現在より改善することが出来るようになるだろう。
結論
まず本記事の結論を記載しておく。
項目のみ記載しているため、詳細は本文中で確認していただきたい。
仕事の割り振りがおかしいと感じる理由は、以下の通りである。
- 上司(マネージャー・プロジェクトリーダー)が無能だから
- 上司(マネージャー・プロジェクトリーダー)が好き嫌いで割り振っているから
- 優秀な人間に仕事が集まるから
- 極端に仕事が早い社員が含まれているから
- お荷物社員や短時間勤務の社員が含まれているから
- 育成しようとしている社員が含まれているから
- 自分には全体の割り振りが見えていないから
仕事の割り振りがおかしい場合の対処法は、以下の通りである。
- メンバーで結託して上司(マネージャー・プロジェクトリーダー)に指摘する
- 上司の上司に相談する
- 若干の仕事抱え過ぎ感を出す
- 仕事が早い社員の手の抜きどころを学ぶ
- ピアプレッシャーをかける
- 出世する
仕事の割り振りがおかしいと感じる理由7つ
仕事の割り振りがおかしいと感じる理由は、以下の通りである。
- 上司(マネージャー・プロジェクトリーダー)が無能だから
- 上司(マネージャー・プロジェクトリーダー)が好き嫌いで割り振っているから
- 優秀な人間に仕事が集まるから
- 極端に仕事が早い社員が含まれているから
- お荷物社員や短時間勤務の社員が含まれているから
- 育成しようとしている社員が含まれているから
- 自分には全体の割り振りが見えていないから
上記の理由について、それぞれ解説していく。
上司(マネージャー・プロジェクトリーダー)が無能だから
仕事の割り振りがおかしい場合にまず考えられる理由は、割り振りを行う上司が無能だからというものである。
部長や課長のようなマネージャーの場合もあれば、プロジェクトリーダーやチーフ、単なる先輩であることもあります。
どのように無能なのかの方向性は様々だが、大きく言えば以下のようなことがあり得る。
- 仕事の割り振りが自分の仕事だということ自体が分かっていない
- 仕事の割り振りがおかしいことに気づいていない
- 仕事の割り振りがおかしいとは気づいているが、手を打っていない
いずれにせよ、ダメ上司のせいで仕事の分担が不公平になっている例は非常によく見る。
上司(マネージャー・プロジェクトリーダー)が好き嫌いで割り振っているから
無能な上司の延長線上にあるが、好き嫌いで判断している上司が原因ということもあり得る。
こういった上司は、気に入っている部下には比較的負担が少なく目立つ仕事を与え、そうでない部下には地味で負担の大きい仕事を割り振る傾向にある。
上司の好き嫌いは基本的には人事評価(査定)に反映されることが多いが、仕事の分担に反映されることもある。
>>納得できない!人事評価が好き嫌いで決まるメカニズムとその対処法
優秀な人間に仕事が集まるから
どんな会社でも、優秀な人間には仕事が集まりがちである。
誰か(あなた)に仕事が集中しているとしたら、それはその人が優秀だとみなされているからかもしれない。
この状態は不公平と言えば不公平なのだが、優秀な人間は評価等で報われていることも多いため、上司からするとこの状態が問題だと感じていないことも多い。
そのため、改善のアクションを起こさないと永遠に是正されないことが多いという特徴がある。
極端に仕事が早い社員が含まれているから
仕事の割り振りがおかしいという場合に意外とあるのが、「極端に仕事が早い社員が早く帰る」というケースである。
人事として見ているとよく分かるのだが、周りの人間が抱えている仕事の量と、それを処理するスピードは皆意外と正確に把握できていない。
プロジェクト化されている仕事なら可視化されていることも多いが、部や課の通常業務(ルーティーン)だと相当分かりにくい。
「○○さんだけ早く帰るのはおかしい」という意見が出た際、上司からすると「○○さんは他の誰よりも多くの仕事をやっているのだが…。」と思うこともしばしばである。
単純作業だとそうはいかないが、企画業務等では処理スピードに10倍以上の差が出ることはよくあるのである。
お荷物社員や短時間勤務の社員が含まれているから
前項とは逆方向のケースも存在する。
端的に言えば、お荷物社員や短時間勤務の社員が含まれている場合である。
お荷物社員と短時間勤務の社員とでは事情が異なるが、他のメンバーにかかる負担が増すという意味では同じである。
通常、上司は短時間勤務の社員はもちろん、お荷物社員も把握しているので、そういった社員への割り振りはどうしても少なくなる。
上司からすると、そういった社員にこなせない量の業務を課すわけにもいかないからである。
育成しようとしている社員が含まれているから
育成中の社員がいる場合、鍛えることを意図して上司が多めの業務量を振ることはある。
特に育成中の社員が若手である場合には、このやり方で鍛えることは多い。
量稽古という言葉がある通り、育成期間に一定以上の量の業務をこなすことでエース社員に育つことは多い。
実際、エース社員のほとんどは過酷なレベルの勤務を少なくとも人生のどこか一時期で経験している。
自分には全体の割り振りが見えていないから
自分から見えている範囲の狭さのせいで「仕事の割り振りがおかしい」と感じていることもある。
極論すると、仕事の割り振りが全部見えているのは、割り振っているマネージャーだけである。
一見、周囲より仕事量が少ないように見える人が、別のプロジェクトやタスクをアサインされていることはよくある。
仕事の割り振りがおかしい場合の対処法6つ
仕事の割り振りがおかしい場合の対処法は、以下の通りである。
- メンバーで結託して上司(マネージャー・プロジェクトリーダー)に指摘する
- 上司の上司に相談する
- 若干の仕事抱え過ぎ感を出す
- 仕事が早い社員の手の抜きどころを学ぶ
- ピアプレッシャーをかける
- 出世する
上記の対処法について、それぞれ解説していく。
メンバーで結託して上司(マネージャー・プロジェクトリーダー)に指摘する
おかしな仕事の割り振りをしている当の本人である上司に指摘するのは正攻法である。
ただし、指摘されて素直に改善するような上司であれば、そもそもおかしな割り振りをしないことも多く、機嫌を損ねるだけに終わることも多い。
それでも直接伝えることが最善だと思う場合には、メンバー間での意思統一が重要である。
1人のメンバーの不満であれば「不満を抱えやすい人だな」で済まされてしまうこともあるが、複数のメンバーから同じ不満を聞いた場合には(普通は)改善せざるを得ない。
上司の上司に相談する
割り振りが上司のせいである場合には、通常、上司に改善を直接要求することは悪手である。
上司のダメさや好き嫌いの激しさに苦言を呈せるのは、上司の上司である。
上司に困っている場合の解決策としては、上司の上司に相談するのが王道である。
「嫌な上司を潰す方法(上司と戦う方法)を人事プロが解説」という記事にも書いたのだが、上司の上司にうまく聞き入れてもらうには、以下のようなことが重要である。
- 相談者が(上司の上司から見て)仕事が出来るという印象であること
- 相談者が(上司の言うことは聞かないかもしれないが)上司の上司の言うことは聞くという印象であること
- 相談者が同じ部署の同僚の信頼を得ており、かつ組織力を高める方向で上司の上司に協力してあげること
結果として、上司の上司が以下のように思えばあなたの勝ちである。
○○(上司)の方にもマネージャーとして問題があるんじゃないかなあ。
若干の仕事抱え過ぎ感を出す
あなた自身への仕事の割り振りが過大である場合に限定されるが、仕事を若干抱え過ぎている感を出すのも手である。
やりすぎると「仕事が遅い」「仕事を抱え込んで潰れるタイプ」等と思われるリスクもあるが、通常のマネージャーからすると、仕事を抱え過ぎている様子の部下に対してさらに仕事を振ろうとするのは躊躇われる。
やり方としては、仕事を振られたときや1on1ミーティング等の際に以下のように言う程度で良い。
- ちょっと今、○○で立て込んでいて…○○が終わってから着手するのでもいいですか?
- ちょっと今、業務量的に大変かもしれないです。
ポイントは、何度も繰り返すことだ。
若干の(軽い)「大変である」アピールをたくさん重ねていくことが、上司の評価を落とさないまま仕事を振られにくくするコツである。
仕事が早い社員の手の抜きどころを学ぶ
極端に仕事が早い社員がいるために不公平に見えているのだと気づいた場合、その社員から学ぶことは非常に有効である。
大抵の場合、そういった社員は仕事の手の抜きどころが上手い。
仕事全体の中で成果が出ない部分(出にくい部分)を可能な限り省き、2割の労力だけで8割の成果を出してしまう。
「あなたと同じ職場で通用することが実証済みの」時短・省エネで成果を出す方法を学ぶことは、今後の会社員生活を一気に快適なものにしてくれるだろう。
ピアプレッシャーをかける
同僚が原因である場合、ピアプレッシャーをかけるというのも有効である。
ピアプレッシャーとは、以下のような意味である。
- ピアプレッシャーは「peer(仲間)」と「pressure(圧力)」を組み合わせた言葉
- つまり「同調圧力」を意味する言葉で、一緒に働くチームのメンバーや上司、同僚などの監視などから受ける圧力のことを指す
この場合には、(チームミーティング等で)「きちんとやってくれないと困る」という圧力を同僚と連帯してかける、ということである。
特定の個人に言及せずとも「分担について懸念している」と複数人が表明することも、原因となっている人に対する圧力になるだろう。
とはいえ、短時間勤務や育成途上であること自体は悪いことではないので、原因となる同僚の属性に応じて以下のように対処すべきであると筆者は思う。
- お荷物社員が原因である場合にはピアプレッシャーをかけても良い
- 短時間勤務や育成途上の社員(若手)が原因である場合、本人に迷惑をかけている自覚がなく、行動があまりにも目に余る場合のみピアプレッシャーをかけても良い
出世する
仕事の割り振りがおかしいという不満がある場合、その究極的な解決策は出世することである。
出世すれば現在の(おかしな割り振りをしている)上司が上司でなくなる可能性も高いし、自分自身が仕事の割り振りを決められるようになる。
出世を目指す過程で上司に好かれやすくなる、仕事自体が早くなる、という副次的効果もある。
出世するための基本は、高い評価を積み重ねることである。その方法は、以下の記事を参考にしてほしい。
>>人事評価に不満がある方へ。媚びずに高評価される7つの方法【人事プロが教える】
詳しくは上記の記事を読んでいただきたいのだが、会社や上司から高く評価される方法は、大きく分けて以下の7つである。
- マネージャーの仕事や出世そのものに意欲を見せる
- 実績を出す前準備として、実績が見えやすい仕事を取りに行く
- 評価者にインプットする人間を見抜く
- 長時間労働をする
- プロジェクトに参加する
- 上司と同じ得意領域を伸ばす
- 上司の弱みを補う
まとめ
仕事の割り振りがおかしい場合の原因は、大体が上司にある。
今回は解決策に書かなかったが、異動や転職で上司を強制的に変えてしまうことももちろん有効である。その場合には、それぞれ以下の記事を参考にしてほしい。
(異動で上司を替える場合)
>>異動希望は気まずい。それでも異動希望を出すべき理由を人事プロが解説
(転職で上司を替える場合)
>>おすすめ転職サイト・エージェント|プロ厳選の比較ランキング