嫌な上司を潰す方法

嫌な上司を潰す方法(上司と戦う方法)を人事プロが解説

悩めるビジネスパーソン

嫌な上司を潰す方法が知りたいです。
現在の直属上司にかなり嫌がらせをされているのですが、転職や異動で「波風を立てずに去る」のはしたくないと思っています。
率直に言って「復讐心」があり、去るにしても、その前に上司と戦ってからにしたいです。
人事のプロの観点から、上司を潰す方法、上司と戦う方法を教えていただけますでしょうか?

 

今回のテーマは「嫌な上司を潰す方法(上司と戦う方法)」である。

上司との戦いはビジネスパーソンとして避けられない重要テーマだが、検索結果を見る限りプロがきちんと解説している記事は全くなく、精神論の域を出ないものが多かった。

 

齋藤
「上司を完全に無視する」「冷たい目で見返す」などおよそ効果的とは思えない方法も多かったです。

 

本記事は、日本語で書かれた「嫌な上司を潰す方法(上司と戦う方法)」に関する記事の中で最も網羅的かつ実践的な内容になっていると約束する。

 

初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。

筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。

  • 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
  • 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
  • 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
  • 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験

 

この記事を読むことで、嫌な上司の実践的な叩き潰し方(戦い方)が分かり、上司から自身のキャリアと心の平安を守ることが出来るだろう。

 

齋藤
本記事の内容はパワハラ上司にも当然使えますが、明確なパワハラに当たらない場合、つまり単に「嫌な上司」「ムカつく上司」等にも使えます。

 

嫌な上司を潰す、8つの方法

ムカつく上司と戦いたい、一矢報いたいという方は多い。

本記事では、上司と戦うための具体的な方法について確認していく。

 

上司とのケンカの仕方とも言うべき内容だが、具体的な方法論は以下の8つである。

  1. 業務を抱え込み、職場における重要性を高める
  2. 上司の上司を味方に付ける
  3. 徒党を組み、エンプロイーサーベイ等で対抗する
  4. 人事に訴える
  5. 法務等のコンプライアンス部署、社外取締役・監査役等に訴える
  6. 労働組合を利用する(内部/外部)
  7. 傷病休職する(退職する)
  8. 訴訟を起こす・外部メディアに訴える

 

それぞれ簡単に解説していく。

 

業務を抱え込み、職場における重要性を高める

会社で上司と喧嘩するのは、基本的に不利である。

理由は色々とあるが、一言で言えばあなたより上司の方が会社での重要性が高いからである。

 

認めにくいことだとは思うが、どんなに嫌な上司でも、会社からすれば「管理職にする程度には会社に必要」とみなしているからマネージャーになっているのだ。

そういった人間に対抗するには、あなたの側にもある程度の発言力(職場での重要性)が必要だ。

 

齋藤
これから説明する方法のすべてにおいて、「発言力(職場における重要性)」の有無は重要です。
上司と戦うための準備編だと思ってください。

 

訴え出た際、どの程度聞き入れられ、どの程度の深刻さで受け止められるのかは、本来なら「事実」のみで決まるべきかもしれない。

しかしながら、現実では職場での発言力が重要なファクターになってくる。

 

職場での発言力を上げる方法は多様だが、最も単純で簡単なのは「あなたがいないと困る」という状態にすることだ。

あなた以外にできない業務がある、あなたが退職するとチームが崩壊する、こういった状況が理想である。

 

可能な限り重要な業務を、可能な限り多く抱え込み、職場における重要性を高めておくと、上司とのケンカで有利になる。

 

上司の上司を味方に付ける

コミュニケーションできるチャネル(定例の1on1等に限らず、相談できる関係であればOK)があるのであれば、上司の上司を味方に付けるのは非常に有効だ。

上司の上司に対して定期・非定期的で上司の悪い情報を流し、上司の発言力(職場での重要性)を下げておこう。

 

齋藤
嘘をつけ、デマを流せという意味ではありません。
部下であるあなたが嫌いになるような上司なのであれば、率直に事実を伝えるだけで低評価になっていくはずです。

 

上司と喧嘩したとき、そのジャッジ(審判)をするのは「上司の上司」である。

「上司の上司」が、上司よりもあなたを信じてくれる状態に出来れば、このケンカは勝ったも同然なのである。

 

ここで重要なことは、「上司の上司」の信用を得ることである。

そのためには、以下のようなことが重要になってくるので、必要に応じて参考にしてほしい。

  • (上司の上司から見て)仕事が出来ること
  • 上司の言うことは聞かないが、上司の上司の言うことは聞くこと
  • 同じ部署の同僚の信頼を得ており、かつ組織力を高める方向で上司の上司に協力してあげること

 

上司の上司
あいつ(あなた)も本当は悪いヤツじゃないんだよ。○○(上司)の言うことは聞かないけど、俺の言うことは聞くしね。
○○(上司)の方にもマネージャーとして問題があるんじゃないかなあ。

 

上司の上司が、上記のように思えばあなたの勝ちである。

 

徒党を組み、エンプロイーサーベイ等で対抗する

上司の発言力、すなわち職場での重要性を下げるという意味では、エンプロイーサーベイ(従業員満足度調査)等でのスコアを最悪にする、という手もある。

可能な限り同僚も巻き込み、上司に「NO」を叩きつけるのだ。

 

齋藤
とはいえ、エンプロイーサーベイの結果に対し、即効性があるアクションがとられる会社は少ないです。

 

今すぐ解決したいのであれば、これ以降に説明する「人事への訴え」等のほうが良い。

 

しかしながら、そういった「訴え」の前提として、職場環境や部下からの評価が最悪であるという事を突きつける意味はある。

特に、「上司の上司」および人事はこういった数値をよく見ているので、訴えが認められやすくなることは間違いない。

 

人事に訴える

ここまでは、自身の発言力(職場での重要性)を上げたり、上司の発言力を下げたりする、いわば間接的手段をご紹介してきた。

ここからは、より直接的に上司にダメージを与える行動について書いていこう。

 

齋藤
ここでの「ダメージを与える」とは、上司の発言力(職場での重要性)を落とし、場合によっては左遷や降格に持っていくということです。
これは、あなたに有利な条件で、異動等の対処がとられる確率を上げることでもあります。

 

上司と喧嘩したとき、そのジャッジ(審判)をするのは上司の上司である、と書いた。

実際には、ジャッジ候補はもう一者いる。それが、人事である。

 

人事に訴え出ることは、上司に対抗する方法の中でも最もストレートなものである。

上司の上司とは異なり、人事は審判のプロなので、以下のような要素が重要だ。

  • 上司がマネージャーとしてダメであることの事実ベースの証拠
  • 同僚も同じことを思っているかどうか(人事は関係者にヒアリングを行うことが多い)
  • 上司の言動がハラスメントの構成要件や就業規則に照らしてアウトかどうか

 

上記を踏まえ、人事部署にメールを書く、電話をする、時間をもらって会う、というのが上司と戦う際の第一歩である。

人事と会う際には、特にパワーハラスメント・セクシャルハラスメントの構成要件や、就業規則、コンプライアンス規定や倫理規定を良く調べておくことをお勧めする。

 

齋藤
もちろん、法令違反や規則違反まで行かなくとも不満を訴えておく価値はあります。(上司が「要注意人物」になるので)
ただし、パワハラやセクハラなどの法令違反・規則違反だと一発でつぶせる可能性が高いです。

 

法務等のコンプライアンス部署、社外取締役・監査役等に訴える

人事が腐っている、または筆者のように「自分自身が人事である」場合には、人事に訴え出るのは無理だろう。

この場合には、法務等のコンプライアンス部署、社外取締役・監査役等に訴えることになる。

 

この場合も、人事に訴え出る際と同じ、以下の基準が重要である。

特に、ムカつく上司への対抗策としては、何らかのハラスメントを構成していることが望ましい。

  • 上司がマネージャーとしてダメであることの事実ベースの証拠
  • 同僚も同じことを思っているかどうか(人事は関係者にヒアリングを行うことが多い)
  • 上司の言動がハラスメントの構成要件や就業規則に照らしてアウトかどうか

 

会社によっては、コンプライアンス・ホットラインのような仕組みがある場合も多く、外部の弁護士が対応していることもある。

そういったものがなかったり、あったとしても満足のいく対応ではなかった場合には、さらに「社外取締役・監査役」「取締役/執行役員」等に訴えることもできる。

 

企業には「リスク管理」を仕事に含む部署や役目が意外と多く存在する。

あなたが社内でどの程度のリスクを取るかにもよるが、こういったリスク管理の役割を持つ部署や個人を総動員する、つまり人事、法務、内部監査、監査役、社外取締役、取締役/執行役員、の順ですべてに訴えることも可能である。

 

こういった通報が空振りに終わり、表面的には上司に何の処分もなかったとしても、それだけで落胆するのは早い。

あなたの通報を受けての調査は関係者の多くを巻き込んで行われており、その過程で上司の評判は地に落ちている

 

齋藤
調査プロセス自体に副次的効果があるということです。

 

あなたの通報が余程「事実無根」でもない限り、上司は今後、人事や法務、上司の上司等から「要注意マネージャー」として監視される対象となる。

 

組織は一朝一夕には動かない。

次の人事異動で天誅が下る可能性もあるし、あなたと上司を引き離す人事異動が起こる可能性も十分あるのである。

 

労働組合を利用する(内部/外部)

労働組合(労組)がある会社で、あなたが組合員であれば、組合は頼れる味方である。

人事以上に「あなたの味方」というスタンスで話を聞いてくれ、会社に対し、あなたに替わって上司のひどさについて訴えてくれるだろう。

 

齋藤
実際、労働組合は「労働者の味方」として労働者の権利保護のために存在する団体なので、そうでなければ存在意義がありません。
とはいえ、会社側(上司側)に立ちがちな「御用組合」もあるので、その場合は外部労組を利用しましょう。

 

社内に組合がない場合や、社内組合が役に立たない場合もあるだろう。

やや過激な手段にはなるが、社内組合がない、またはあるけれども役に立たない場合には、外部労組(地域ごと・業種ごとの組合など)に加入し、会社に団体交渉を申し込んでもらうこともできる。

 

筆者にも対応した経験があるが、外部労組は交渉のプロである。

会社に対して非常に敵対的なのが特徴であり、対応に工数もかかるため、会社側からすると非常に厄介である。

 

外部労組に加入して会社と対峙した場合、率直に申し上げてあなたの会社での立場が悪くなる(「厄介な社員」という扱いになる)ことは間違いない。

しかしながら、上司が会社内で要注意人物とみなされる効果は期待できるし、会社から何らかの条件を引き出せる場合もある。場合によっては有効な手段である。

 

傷病休職する(退職する)

エグジット(退職)は組織や上司に対する「NO」である、という考え方がある。

基本的に、不満がなければ人は現状維持を選ぶものであり、辞めない場合が多いからだ。

 

とはいえ、「嫌な上司がいるからすぐ辞める」のは(上司にダメージを与えることは間違いないが)短絡的であり、経済的にもあまりおすすめしない。

 

ここで、休職と言う選択肢もある。

上司のせいで精神的に不調になってきており、労務提供が不可能という医師の診断書が出れば、メンタルでの傷病休職もできる。

 

これにより、上司の評判を大幅に落とす(「部下を潰したヤツ」になる)ことができる。

さらに、会社にもよるが、ヘッドカウント(部署ごとの人員数)的にも1枠分を押さえたまま休みに入れる場合が多い(=あなたの代わりの正社員を補充出来ないことが多い)ので、上司へのダメージは計り知れないものとなる。

 

生活が心配になるかもしれないが、傷病休職中は健康保険組合から最長1年6か月の傷病手当金が出るので、経済的にはさほど困らない。

「労務提供が可能」という診断が出れば復職も出来る場合がほとんどだし、以下の記事を読んでいただければ分かる通り、転職さえも可能だ。

>>休職中の転職活動に必要な全知識|伝えるべき?バレる?バレた時の対処法は?

 

積極的におすすめはしないが、上司のせいで精神的に参ってしまっている度合いによっては「アリ」な選択肢である。

 

齋藤
積極的におすすめしない理由は、「実際に仕事をしないことにより、スキルが落ちる」「転職活動で休職を隠すか、(隠さない場合)不利になる」の2つです。

 

訴訟を起こす・外部メディアに訴える

ここまで行くのは珍しいケースなので選択肢として触れるだけにするが、最終手段としては、会社相手に訴訟を起こすこともできる。

訴訟内容は様々だが、上司のせいであなたが休職してキャリア上・経済上の「逸失利益」があるときには、その補償を求めることが可能だ。

 

また、会社内部のコンプライアンス窓口や訴訟での「明確な争いでの決着」が全てではない。

ヤフーニュース等で「週刊文春オンライン」が会社の内部告発から記事を執筆していることが多いが、こういった外部のマスメディアも上司や会社に対抗する有力な手段である。

 

とはいえ、これは「会社の知名度が高い」もしくは「ひどすぎるため、週刊誌に載せたらインパクトがある」のどちらかを満たさないと、メディアも食いついてくれない場合が多い。

詳しくは公益通報者保護制度(厚生労働省のページ)をご覧いただければと思うが、まず会社内部の通報窓口を用い、適切な対応がとられない場合には、外部への通報を検討してみても良いだろう。

 

まとめ

上司とのケンカは、やるからには必ず勝つのが重要である。

勝てなかった場合、上司(または会社)からの報復も考えられるためだ。勝つためには、以下の点が重要である。

  1. 業務を抱え込み、職場における重要性を高める
  2. 上司の上司を味方に付ける
  3. 徒党を組み、エンプロイーサーベイ等で対抗する
  4. 人事に訴える
  5. 法務等のコンプライアンス部署、社外取締役・監査役等に訴える
  6. 労働組合を利用する(内部/外部)
  7. 傷病休職する(退職する)
  8. 訴訟を起こす・外部メディアに訴える

 

とはいえ実は、現代においては上司とのケンカに負けてもあまり問題はない。

転職があるからである。

 

そもそも、上司を理由に、ケンカをせずに転職する人も非常に多い。

ケンカに負けた後に転職しても全く問題はないのである。

 

上司を叩き潰す画策をしている人、上司と戦うつもりの人は、まずは転職サイト・エージェントへの登録を始めておいてほしい。

これにより、失敗したときの保険が出来る。そもそも、嫌な上司を放置しておく会社にどれだけいるべきか、という論点もあるだろう。

 

転職サイトや転職エージェントは無数にあるが、それらを紹介するランキングやおすすめサイトの信憑性は低く、どのサイトに登録すべきか悩む方は多い。

迷ったら、年代でも性別でもなく、シンプルに年収で決めるのがおすすめである。

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