いわゆるHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)というやつかもしれないです。
現在も、職場で発言力がある人とあまりうまくいっておらず、転職を考えています。
実は、前々職も人間関係の疲れで辞めてしまっており、このままでいいのかを悩んでいます。
人間関係で疲弊し、転職しがちな私に、アドバイスをいただけないでしょうか?
今回のテーマは「人間関係に疲れたことでの転職」である。
結論から言えば、「転職以外の選択肢や、人間関係に疲れた時に持つべきマインド、疲れた際にやるべきことや受けるべき企業等を網羅的に紹介する」という内容の記事になっている。
初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。
筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。
- 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
- 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
- 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
- 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験
この記事を読むことで、人間関係に疲れた際にやるべきことが網羅的に分かり、今よりも心安らかにビジネスパーソン生活を送れるようになるだろう。
本当に転職で良いか?「特に疲れる相手」別の対処法
まず、念のため「本当に転職一択なのか?」を確認させてほしい。
というのも、人間関係の問題を解決するための選択肢は転職だけではなく、かつ転職にはリスクがあるからである。
詳しくは「【転職はハイリスク】人事プロが教える、転職より前に検討すべき3つの選択肢」をお読みいただきたいのだが、人間関係に限らず、職場で問題が起こった場合の解決策は以下の4つである。
- 改善する
- 我慢する
- 異動する
- 転職する
「もう転職しかない」と分かっている方は、この項は飛ばしていただいてよい。
ただし、人間関係上で問題になっている相手によっては、「すぐに転職」がベストでない場合もある。
あなたの「特に疲れる相手」は誰だろうか?
職場の人間関係で問題となる相手は、概ね以下の4つに分けられるのではないかと思う。
- 面倒なおじさんやお局系
- 上司や同僚
- 部下
- 組織全体(雰囲気などを含む)
それぞれ簡単に方針を書いていきたい。
【1】面倒なおじさんやお局系
面倒なおじさんやお局系の方は、異動も少なく、ずっと居続けることが多い。
しかも、こちらが改善しても相手が態度を軟化させる可能性が低く、人間関係を改善するのも難しい存在であることが多い。
よって、「改善」「我慢」というよりは、「異動」「転職」で対処することになるだろう。
会社の規模や制度によっては難しいだろうが、異動が出来ないかどうか、もう一度確認してみてほしい。
【2】上司や同僚
上司や同僚(面倒なおじさんやお局様系を除く)の場合、いわゆる「ローテーション(定期的な部署異動)」があるのではないだろうか。
その場合には、「相手がいなくなるまで我慢する」というのも有力な手段である。
多くの大手企業では「3年程度」で異動することが多い。
その場合、例えばあなたの苦手な上司が「2年前からこの部署のマネージャー」なのであれば、1年我慢できるかどうかを考えてみるということだ。
当然であるが、「無理して我慢してください」と言っているわけではない。自分の心が一番大事だ。
我慢が無理であれば、やはり「異動」「転職」の順に考えていくことになる。
【3】部下
パワハラに厳しいこの時代、部下との人間関係に悩んでいる方も多いのではないだろうか?
特に優しい方はそうかもしれない。
ただ、ここでは敢えて刺激的なことを申し上げたい。
それは、組織で成果を出すうえで、上司たるあなたと上手くやれないというのは、部下の能力不足である可能性が相当程度あるということである。
あなたはその部下に(自分が苦手だからと言う理由で)異動させたり厳しい評価を与えたりするのを躊躇っているのかもしれない。
しかし、あなたを不活性化させるような部下は、会社にとっても「困った部下」である可能性が高い。
もちろんあなたが「我慢する」「異動する」「転職する」を選ぶのは構わない。
ただ、部下の方を「改善する」、無理であれば「異動させる」のも手段としては考えてほしい。
【4】組織全体(雰囲気などを含む)
最後に、特定の個人ではなく、会社や部署(組織全体)での人間関係に嫌気がさしているという場合もあるだろう。
これは転職で心機一転するのが正しいと思う。
人間関係に疲れやすい人に持ってほしいマインド
さて、あなたの解決策はやはり「転職」だっただろうか。
もしそうだったのであれば、持っていただくことでプラスになるマインドがある。
それは、あなた自身が「人間関係で疲れやすい、嫌になり易い」という自覚である。
もちろん、「今回は特に、職場にヤバい奴がいた」のかもしれない。
しかしながら、嫌な人というのはどこにでもいるものだ。
自分が人間関係で疲れやすい(嫌になりやすい)と知っておけば、それを前提に(この後に述べるような)対策が取れる。
例えば筆者は人間関係で疲れやすい上に、天性の飽き性である。
それを自分のネイチャー(性質)として受け入れ、(1社あたりの在籍期間は比較的短いながらも)狙ったスキルを短期で身に付け、キャリアを形成してきた。
転職しがちな方へ。「次は長く頑張ろう」と思うのではなく、「同じ環境に3年いられない自分のネイチャーを計算に入れる」と良い。
3年で嫌になる(飽きる)前提で、自分のキャリア形成のために何を経験すべきかを考えるのが建設的。— 齋藤@人事×戦略プロ (@saito_liveevil) February 12, 2021
次の項からは「人間関係を理由に転職する際にやるべきこと」、つまり実践編に移りたい。
【最重要】人間関係に疲れて転職したくなったらすぐにやるべきこと
さて、ここは最重要項目である。
以下のツイートのように、人間関係に疲れて辞めたくなったら、まず転職サイトや転職エージェント、転職SNS(Linkedin)に登録してほしい。
会社を辞めたい人へ。
辞めたいと思ったら転職サイトやLinkedinへの登録をすぐやろう。たいてい、本当に辞めるまでには時間がかかる。
そのリードタイムを利用して「良い求人」「良い転職エージェント」をストックできる。
突然転職活動を迫られるより圧倒的に有利でおすすめ。— 齋藤@人事×戦略プロ (@saito_liveevil) February 14, 2021
上記のツイートの通りなのだが、少し説明しよう。
転職活動には時間がかかる。
なぜかと言えば、「良い求人が出て来る」のには時間がかかるし、すぐに「相性の良い、優秀な転職エージェントに会える」わけでもないからだ。
だから、「人間関係に疲れてしまったな」という時点で、良い求人や良い転職エージェントをストックし始める(溜め始める)と非常に有利なのだ。
これを筆者は「ゆるゆる転職」と名付け、おすすめしている。
人間関係を理由とした転職で受けるべき企業3パターン
さて、人間関係で悩みやすい方は、どういったところに転職すべきなのだろうか。
すでに受けたい業界や企業が決まっていればこの項は飛ばしてもらって構わない。
ただ、「人間関係に悩みにくい」という意味で3つほどおすすめのパターンを挙げておく。
- 社風が合いそうな企業
- 大企業
- IT企業(の一部)
【1】社風が合いそうな企業
同じ「人間関係で悩みやすい」でも、苦手とする人間関係のタイプは異なる。
例えば、「堅苦しい閉鎖的な人間関係が苦手。サークルのノリで頑張りたい」という人もいれば、逆に「ドライにやりたい」という人もいるだろう。
前者の方にはリクルートのような会社やベンチャー企業が向いているかもしれないし、後者の方には外資系企業が向いているかもしれない。
ある程度自己分析が出来ているなら、社風が合いそうな企業を中心に受けてみるのがよい。
>>人がどんどん辞めていく会社にありがちな「7つの社風」とは
【2】大企業
意外かもしれないが、人間関係で悩みやすい方には大企業がおすすめである。
理由は、逃げ場があるからだ。
このグループ(人)とうまくやっていけないなら、別のグループ(人)、ということを可能にする「人数」が大企業にはある。
どうしても合わないなら「部署異動」もしやすい。
「ローテーション」が用意されていることも多く、苦手な相手がいなくなることも多々ある。
中小企業で人間関係が悪くなったら「転職一択」になってしまうことが多いが、大企業ならいくつか別の選択肢があるのである。
さらに、大企業の面接スクリーニングに通っているだけあって、大企業は「ヤバい社員」率が低めである。
【3】IT企業(の一部)
企業の中には、非常に人間関係が薄く「そもそもあまり会話が発生しない」という組織風土のところもある。
人間関係で悩みやすいのであれば、そもそも人間関係が薄い会社に入る、という発想もある。
こういった会社は本来は業種で括れず、企業文化をOpenWork(旧Vorkers)などで調べていくしかない。
ただし、筆者の私見ではIT企業に上記のような(そもそも人間関係が薄い)企業風土の会社が多いと感じる。
特に2022年現在、コロナ禍でリモートワークになっているIT企業は多く、人間関係がいつも以上に希薄になっているところも多い。
職種にもよるが、検討の余地はあるだろう。
>>IT企業に入るには?転職でIT企業に入る4つの方法を人事プロが解説
面接をどう乗り切るか【逃げ転職のノウハウから】
最後に、転職面接の話をしよう。
「人間関係が悪くて」と直球で面接官に説明するわけにもいかないので、どう乗り切るかの策が必要である。
実は、別の記事に書いた「逃げの転職(ネガティブ理由での転職)」と同じ対処法がここでも使える。
>>逃げの転職はアリなのか?ネガティブ理由での転職攻略法を人事面接官が解説
簡単に書くと、以下の3点である。
- 逃げたいと思った瞬間にゆるゆる転職を開始する
- 転職エージェントを試金石にする
- 面接官相手には「逃げ」「ネガティブ」を隠す
①番の「ゆるゆる転職」については、既にこの記事で説明したので省略する。
次に、先に③番の「面接官」に対してだが、ここでは(人間関係を含む)ネガティブな転職理由を隠す必要がある。
理由は、「あなたの競争相手のほとんどが前向きな転職理由で面接に臨むから」である。
「面接官も人間、皆が皆、前向きな理由で転職するとは思ってないって。素の自分で行け」は本当でもあり、嘘でもある。
最後以外は本当。だからといって「逃げの理由」をさらけ出すのは勧めない。良い志望先であればあるほど、「前向きな転職理由」を持つ競合がいるからだ。
— 齋藤@人事×戦略プロ (@saito_liveevil) February 13, 2021
ここで、転職理由を考えるための試金石として有用なのが、②番の「転職エージェント」である。
転職エージェントは面接官とあなたの中間にいる存在だ。
そんな彼ら・彼女らに対し、「ある程度のネガティブな本音」と「前向きに取り繕った理由」をブレンドして説明してみよう。
彼ら・彼女らを説得させられるのであれば、面接でその「前向きに取り繕った理由」が通用する可能性は高い。
逆に、疑問を呈されたりネガティブな反応をもらったりするのであれば、もう少しブラッシュアップする必要があるということになる。
ただし、彼ら・彼女らは「転職させて手数料を取る」商売ですので、あまりに理由が後ろ向きな(=転職できなさそうな)人間には冷たいでしょう。
まとめ
人間関係を理由に転職を考えているのであれば、以下のポイントを参考に進めてほしい。
- 改善や我慢、異動では解決しないのか?を考える(苦手な相手別に)
- 人間関係で嫌になりやすいタイプだという自覚を持つ
- すぐに転職サイトや転職エージェント、転職SNS(Linkedin等)に登録し、情報収集を開始する
- (人にもよるが)大企業やIT企業、相性の良い企業に狙いを定める
- 面接官相手にはネガティブな理由を隠す
上記のうち、特に重要なのは③番だ。
転職したいときに、頼れるエージェントやすぐにでも応募できる良質な求人がいくつかあるのと、ゼロなのとでは精神の安定度に雲泥の差が生じる。
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