転職市場 2022

【2022年】今後の転職市場を人事プロがマイケル・ペイジのレポートから考察

悩めるビジネスウーマン
2022年の転職市場はどうなりますか?
現在、転職を検討しているのですが、インフレやそれに伴うアメリカの利上げ、ウクライナ情勢等、年始から波乱続きで不安です。
マーケットが良くない時期に無理して転職しても良いことはないと思うので、人材マーケットの市況を把握したいと思っています。

 

今回のテーマは「2022年の転職市場」である。

先日、世界規模の転職エージェントであるマイケル・ペイジ(Michael Page)が2021年を総括する転職市場のレポートを出したので、それを基に2022年の転職市場の展望を解説していきたい。

>>2021 Talent Trends Report | Michael Page Japan

 

齋藤
上記のレポートは企業の人事向けに書かれているので、転職をお考えの方に役立つ部分と、役立たない部分があります。
また、アジアパシフィック(APAC)市場について書かれている部分もあり、全体で49ページもあります。
当記事では、日本市場について書かれた部分、かつ転職者(中途入社を目指す方)に役立つ部分に限ってご紹介します。

 

初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。

筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。

  • 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
  • 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
  • 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
  • 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験

 

この記事を読むことで、2022年の転職市場が、転職活動に向いた市況になっているのか、ひいては積極的に転職活動をすべきかどうかが分かるだろう。

 

【結論】企業の採用意欲は旺盛、転職市場は売り手市場。しかし転職の最後のチャンスとなる可能性がある

転職活動をしている者にとって、転職市場が良いのか悪いのかは死活問題である。

知っての通り、企業の中途採用者数と新卒採用者数は市況に大きく左右される。マーケット状況により入社難易度が全く違ってくるし、年収をはじめとした労働条件も影響を受け得る。

 

さて、結論であるが、2022年の転職市場は、総じて活況である。

いわゆる売り手市場だと言えるだろう。

 

齋藤
詳細は、これ以降の本記事にて解説していきます。

 

現在、転職をお考えの方はこの記事だけでも目を通し、良い転職エージェントと良い求人が自然にストックされる仕組みを構築し始めると良いだろう。

>>転職エージェントの選び方の教科書|出会い方、絞り込み方、付き合い方まで

 

ただし、インフレ及びアメリカの利上げにより、2022年中に株式市場の暴落が見込まれるとの見方が(世界の著名投資家の間では)大半である。

>>世界最大のヘッジファンド: 株価暴落か物価高騰かどちらかしかない|グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

 

リーマンショックを社会人として経験した世代には分かると思うが、転職の最後のチャンスとなる可能性もある。

 

【2021年から2022年にかけてのテーマ】人材獲得から人材定着へ

まず、2021年から2022年にかけての人材マーケットにおけるテーマについてである。

やや人事向けの話だが、転職を考えているのであれば知っておいて損はない。

 

現在、日本の労働市場は構造的な人手不足に見舞われている。そんな中、会社員の転職意志は強い。

2021年、現在就業中の者のうち47%が転職活動をする予定であり、他の38%も機会があれば転職しても良いと考えている。
出典:マイケル・ペイジ「2021 Talent Trends Report」

 

よって、テーマとして人材の獲得から人材の定着に、企業の人事担当者の関心が移ってきている。

折角中途採用をしても、すぐに逃げられては意味がないというわけだ。これは健全な流れであり、中途採用される側にとっても良い情報だと言えるだろう。

 

【正社員の2022年の採用トレンド】増員方向

まず、正社員の2022年の採用トレンドについて。

これは、一言で言えば増員方向である。

従業員数増減の見通しは?

  • 増員する:40%
  • 現状維持:45%
  • 削減する:15%

出典:マイケル・ペイジ「2021 Talent Trends Report」

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響からは脱した、という見方が大勢である。

今後は、エンジニアやファイナンス人材、マーケティング人材(デジタルマーケティング人材を含む)を中途採用で増やしていくという企業が多かった。

 

【契約社員・派遣社員の2022年の採用トレンド】増員方向

次に、契約社員・派遣社員の2022年の採用トレンドである。

アウトソーシングテクノロジーを辞めたい方の教科書」にも記載したが、現代の企業は契約社員の方や、派遣社員の方なしには成り立たなくなっている。

 

そんな中、契約社員・派遣社員の方の採用は活況、これも増員方向である。

特に、エンジニア(IT/非ITの両方)、営業・マーケティング、そしてバックオフィス部門で採用が増えている。

 

殆どの会社が、コロナショックからの業績回復に向けて戦略を描いている。

そんな中、社内にはない高度スキルの対応を契約社員・派遣社員に期待する声もあり、今後は「専門家を正社員として抱え込まず、契約社員・派遣社員を含めた外部市場から調達する」動きが加速しそうである。

 

業績回復に向けて、貴社は社内のスキル人材不足にどう対応する予定ですか?

  • 既存社員の研修に投資する:37%
  • 業務プロセスの自動化:24%
  • 主要分野に正社員を採用する:39%
  • 短期的に契約・派遣社員を雇用する:12%
  • 業務を外部委託する:26%

出典:マイケル・ペイジ「2021 Talent Trends Report」

 

【職種別の2022年の採用トレンド】エンジニア、ファイナンス、バックオフィス

主な職種の採用トレンドにも簡単に触れておこう。

 

エンジニア

NASDAQやマザーズ等、テクノロジー企業の株式市場は大荒れだが、テクノロジー業界の転職市場は相変わらず活況となる見込みである。

特に以下の職種の需要が大きい。

需要のある職種

  • データアナリスト / サイエンティスト
  • ソフトウェアエンジニア
  • アプリケーションサポート
  • プロジェクトマネージャー
  • セキュリティエンジニア / マネージャー

出典:マイケル・ペイジ「2021 Talent Trends Report」

 

財務・経理

Fintech系スタートアップの盛り上がり、また大手銀行・証券の海外市場進出に伴い、ファイナンス人材、特にグローバル人材の需要が非常に大きい。

どの企業も財務・経理体制やシステムの改革を進めているので、マネジメント経験への需要も根強い。

需要のある職種

  • 会計士
  • 財務・経理マネージャー
  • 監査マネージャー
  • レギュラトリーレポーティング
  • 会計監査役

出典:マイケル・ペイジ「2021 Talent Trends Report」

 

なお、レギュラトリーレポーティングとは、(金融庁等の)規制当局向けの報告書を作成する専門分野である。

>>銀行監督上の評価項目|金融庁

 

齋藤
上記の参考リンクをご覧になると分かりますが、金融機関は金融庁から非常に細かく監督されており、財務状況や経営の方向性等を詳しくレポートし続ける義務があります。

 

バックオフィス(経営企画や人事)

マイケル・ペイジのレポートにはあまり記述がなかったが、筆者の経験職種である経営企画と人事についても補足しておく。

 

戦略を描ける人材やマネジメントが出来る人材の需要が強いが、オペレーション人材の需要は減っている。

さらに、ここ数十年の日本企業のテーマであるグローバル経営の加速に伴い、英語ができる人材の争奪戦が継続している。

  • 経営企画:数字のレポーティングではなく、戦略を描いて周囲を巻き込む経営戦略の立案と実行
  • 人事:オペレーションや労務ではなく、HRBPや組織開発、チェンジマネジメント等、実際に組織を強化・変革していく業務

 

【転職者が2022年に求めること】給与や柔軟な働き方等の労働条件

転職者が内定を承諾するか決める上で最も重要な項目の1位は「給与・手当」であるが、これに次ぐ2位は「リモートワーク・柔軟な働き方の有無」である。

内定承諾するか決める上で最も重要な項目(スタッフ~部長クラスまで)

  1. 給与・手当
  2. リモートワーク・柔軟な働き方の有無
  3. 職務内容

出典:マイケル・ペイジ「2021 Talent Trends Report」

 

コロナ禍により「大半の仕事はリモートでできる」ことが証明されてしまった。

これを認め、新しい環境に適応できる企業であるか否かが問われている状況である、ということだろう。

 

【会社が2022年に求めること】スキルと経験

逆に、会社が転職者に求めることは「スキルと経験」であった。

 

齋藤
働く人が給与や働き方の自由(=労働条件)を求め、会社がスキルと経験(=労務提供)を求めるという、非常に健全な状況になってきたと思います。

 

企業が採用の際に最も重視すること

  1. スキルと経験:75%
  2. ソフトスキル:39%
  3. カルチャーフィット(企業文化への適応性):36%
  4. 人件費:22%

出典:マイケル・ペイジ「2021 Talent Trends Report」

 

人件費(予算)を少々超えていても、スキルと経験がマッチした人材が欲しい、ということである。

このトレンドは継続しているので、「スキルと経験さえあれば、年齢に縛られない高年収での転職が出来る方向に、市場が進んでいく」ということである。

 

【2022年の転職に使われる媒体】引き続き転職サイトがトップも、Linkedinの存在感増大

最後に、2022年の転職に使われる媒体についてもご紹介しておこう。

仕事検索によく使われているサイト

  1. 求人・転職サイト
  2. LinkedIn の求人募集
  3. 人材紹介会社のウェブページ

出典:マイケル・ペイジ「2021 Talent Trends Report」

 

①は求人掲載型の転職サイト(リクナビNEXT等)、③はマイケル・ペイジやJACリクルートメントなどの転職エージェント企業のことを指しているのであろう。

こういった転職サイト・転職エージェント選びは転職活動の中でも最重要である。詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてほしい。

>>転職エージェントの選び方の教科書|出会い方、絞り込み方、付き合い方まで

 

近年存在感を増している②のLinkedinについては、無料でありとあらゆる優良求人にアクセスできるので、非常におすすめである。

 

まとめ

今回はMichael Pageが出した「2021 Talent Trends Report」から、2022年の転職市場について解説してきた。

転職を考えている方が上記レポートから得られる情報は色々とあるが、主なものとしては以下である。

  1. 2022年は転職市場が活況、転職に向いた市況(売り手市場)
  2. オペレーション業務から戦略・企画業務に移るためのキャリア戦略を組むべき
  3. 英語を学び、スキルと経験を身に付けるべき

 

特に③は当たり前と言えば当たり前なのだが、自分の職種の専門性を高める努力を毎日している人、英語を毎日勉強している人は一握りだ。

今後も会社員として生きていくならば、2022年からは「知っている」を卒業し「行動している」に移行するべき項目だろう。

 

転職サイトや転職エージェントは無数にあるが、それらを紹介するランキングやおすすめサイトの信憑性は低く、どのサイトに登録すべきか悩む方は多い。

迷ったら、年代でも性別でもなく、シンプルに年収で決めるのがおすすめである。

  • リクナビNEXT年収800万円未満の場合。日本最大級の公開求人を掲載、エージェントも豊富
  • JACリクルートメント 年収800万円以上の場合。大手および外資系を中心に、日本最大級の非公開求人を保持

 

人材企業の最大手リクルートが運営するリクナビNEXTは、年収が800万を超えるまでは万能の転職サイトだと言える。(それ以上の年収帯では案件が減る)

掲載求人が豊富なだけではなく、リクナビNEXTには多数の転職エージェントが参加しているため、網羅的に求人を探すことが出来る。

 

JACリクルートメントは、筆者が最も信頼している転職エージェントである。転職エージェントとしては日本最大の売上高を誇り、求人の多さ、エージェントの質ともにダントツである。

ただしJACはハイクラス・ミドルクラス向けのため、そのスペックをフル活用するには年収800万円程度が必要だ。

転職市場 2022
最新情報をチェックしよう!