書類選考を何とか通過し、明日が面接なのですが、不安で不安で仕方がありません。
新卒での就活の時は、本当に面接が苦手で、何社も落とされた記憶がよみがえります。
何かアドバイスをいただけないでしょうか?
今回のテーマは「面接直前(明日が面接)」である。
面接直前は緊張するものだ。不安になるのも分かる。ただし、ここでまず言いたいのは「安心してほしい」ということだ。
知っておいていただきたいのだが、転職での面接は新卒とは異なり、受かる素養がなければそもそも呼ばない。
さらに、1週間後、明日、1時間後など、直近で面接があり不安な方向けの「直前でも役立つ」アドバイスもある。
初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。
筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。
- 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
- 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
- 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
- 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験
この記事を読むことで、面接に呼ばれている時点で得ているアドバンテージや直前の対処法が分かり、精神的に落ち着いた状態で面接に臨めるようになるだろう。
本記事でお伝えしたいのは以下の3点である。
- 受かる素養があるから面接に呼んだ
- 転職面接で聞かれることを把握して練習すべし
- 意味のある「付け焼き刃」をしよう
しかしながら、新卒であっても役に立つ「直前のマインドセット・面接対策」を含め、人事としての本音で書いていることを申し添えておきます。
受かる素養があるから面接に呼んだ
まず、根本的な事実からいこう。
特に中途採用(転職)の面接の場合、受かる素養が十分になければ面接に呼ばない。
当サイトでも書類選考対策の記事をいくつか書いており、以下の記事の中に人事が見ているポイントを4つ記載している。
>>【職務経歴書・履歴書】日系最大手の面接官が見ているたった4つのポイント
その4つのポイントとは、以下の通り。
- 年齢
- 学歴
- 職歴(社歴)
- 実績
新卒とは異なり、学歴だけではなく、年齢や職歴、実績も踏まえたスクリーニングが既になされているのだ。
そして、中途採用(経験者採用)において、このスクリーニングは非常に厳しい。
大企業で言えば、30代後半以降は一発アウト、職歴(社歴)も同格以上の社格を持つ企業からの転職が基本、等々。
よって、新卒時より転職時の方が、書類選考の重みは大きく、面接選考の重みは小さいといえる。
筆者の例で言えば、10の書類応募のうち1つ通せば良い方である。書類選考を通過した自分自身に対し、まずは自信を持っていただきたい。
しかしながら一方で、書類選考に通った人が、面接選考で落ちる可能性があることも事実である。
よって、まずは以下のようなスタンスを持つことが肝要だ。
- 受かる素養はある(既に証明済)
- よって、後は受かる素養をきちんと表現できれば内定となる
転職面接で聞かれることを把握して練習すべし
受かる素養は既にあるので、後はそれを表現することだ、と述べた。
表現と言っても難しいことを考える必要はなく、「面接できちんと説明する」だけのことである。
ただし、これが難しいという方は多いかと思う。
よって、本項では「表現すること」の準備、つまり「面接での質問内容の把握」と「練習」について説明する。
以下の記事は、面接対策のみに絞って解説している。「面接がどうしても苦手だ」という方には是非参考にしてほしい。
>>面接官はどこを見ている?実際の面接員向けトレーニングから考える
転職面接で聞かれることとは?
既に職歴や実績ありきの中途採用の面接では、質問内容がほぼ決まっており、主に以下の3つである。
- 転職理由・志望動機
- 職歴(社歴)
- 実績
転職面接では、(新卒面接のように)奇抜な質問はあまりされない。
上記のように、シンプルに「仕事が合うか」「仕事が出来るか」を問う質問をしてくる。
転職の面接経験が少ないのであれば、少なくとも以下の点についてきちんとまとめておこう。
- 転職活動に至った経緯について、納得性高く示せるか?
- なぜその会社を受けるという考えに至ったか、説明できるか?
- どのような考えで今の会社(以前の会社)に入社したかを説明できるか?
- 実績について、自分を雇うメリットがある(単なる「工数」以上の存在である)ことを説明できるか?
自信がないのであれば、とにかく上記のポイントで面接での受け答えを練習しよう。
これらは総体として「キャリアストーリーとしての納得性(一貫性)があるか」を問われる質問でもある。
準備なしで流れるように受け答えをするのは難しいので、原稿を作っても良い。
さらに不安になってしまった人へ
前項のように「キャリアストーリーとしての納得性(一貫性)」を真っ向から問われると、「難しい。自分には無理」と思ってしまう方も多いかもしれない。
不安になってしまった方のために少々、人事としての本音を書いておく。
実は、転職面接では(新卒と異なり)ある程度率直な答えが求められていることも多い。
例えばだが、「転職理由」「職歴」「実績」「志望動機」について、以下のような回答もあり得る。
- 転職活動は緩くやっており、「これだ!」という会社があったときにだけ行こうと思っている
- 今の会社には、元上司が先に転職していて自分を呼んでくれたため、そこまで考えずに入社した
- 入社してみないと、どんな解決すべき問題があるか(=どんな実績を上げられるか)が率直に言って分からない
- エージェントに紹介されるまでは御社を深く知っていたわけではないが、○○という点が良いと思った
転職面接の際には、「職歴」「実績」がある程度は分かっていると述べた。
既に一部の重要情報(職歴や実績)が分かっている状況において、面接で入手したい重要な情報は「人間性」や「カルチャーフィット(自社に合うかどうか)」になってくる。
全ての答えが、創作したような綺麗事で返ってくる相手よりも、率直な考えを述べてくれる相手の方が人間的には信用出来るし、好きになれると思わないだろうか?
そして、「信用出来る」「好きになれる」と面接官が思ったのであれば、それは人間性やカルチャーフィットにおいてはポジティブである。
以上のようなことから、「人間性」や「カルチャーフィット」まで考慮すると、「正直すぎる回答」を織り交ぜることもマイナスとは言えない。
それどころか、筆者の経験上ではプラスに働いたことのほうが多い。
さて、色々と述べて混乱させてしまったかもしれないので、まとめておく。
- 転職理由、職歴、実績、志望動機等にある程度「キャリアストーリーとしての納得性(一貫性)」があった方がいいのは事実
- ただし、社会人人生において「誰もが綺麗なキャリアストーリーをたどって生きてきたわけではない」のも面接官は分かっている
- 時には率直な答え(いわゆる「ぶっちゃけ」)を無礼にならない程度に混ぜてしまうのは構わない
- そうはいっても、自分のことをきちんと話せない場合には信憑性または能力を疑われるので、うまく話せるまで練習しておく
意味のある「付け焼き刃」をしよう
少し長くなったが、前項の「面接で聞かれることの把握と練習」が最も大切な対策になる。
これにプラスして、面接30分前でも可能な「付け焼き刃」も存在するので、簡潔に述べて終わりたい。
それが「企業研究」と「質問タイム対策」である。
まず、「企業研究」から。
「企業研究」といっても基礎的な内容で充分である。受ける会社の社長の名前やインタビュー記事、事業内容くらいは目を通しておこう。
さらに、面接で聞かれることはまずないが、自分自身のためにも売上規模や利益推移程度は調べておくのが賢明かと思う。
次に「質問タイム対策」。
これは、面接の最後によくある「何か質問はありますか?」にうろたえないための準備である。逆質問とも言う。
実は、採用面接官の立場としては、この逆質問によって何かを測っていることはあまりない。
ただ単に、候補者の方の疑問を少しでも解消するためにお伺いしている。
よって、基本的には聞きたいことを聞いてよい。
ただし念のために申し上げておくと、労働意欲を疑わせる質問だけはやめておいたほうが良い。
>>逆質問の教科書|転職面接でのおすすめ質問の具体例、一次面接から最終面接まで全網羅
しかしながら、「入社して1年以内でも産休はとれますか?」と聞くのはおすすめしません。
まとめ
まずは、職歴や実績を認められた自分に自信を持っていただければと思う。
その上で、本記事で述べた「練習」や「付け焼き刃」を行うのが、今のあなたに出来る最善の行動ではないかと思料する。
最後に、そもそも「転職自体が初めて」で不安な方には、以下の記事が参考になるかもしれない。
あまりに不安なのであれば「持ち球を増やす(転職サイト等を用い、受ける会社を増やす)」ことも精神の安定に寄与する。
個人的な経験では、「この会社に落ちたら終わり」という状況にしないことが、面接での自信や余裕につながると思う。
>>おすすめ転職サイト・エージェント|プロ厳選の比較ランキング