面接官はどこを見ている

面接官はどこを見ている?実際の面接員向けトレーニングから考える

悩めるビジネスパーソン
現在、転職活動中です。
この前、面接でエンジニアの課長が出てきたのですが、ちょっとコミュ障な感じで、何が聞きたいのか分かりませんでした。しかも不採用でした!
面接官って候補者のどこを見ているのでしょうか?きちんとトレーニングを受けているのでしょうか?教えてください。

 

今回のテーマは「面接官はどこを見ているか(面接官の見ているポイント)」である。

結論から申し上げると「面接官が見ているのは、再現性のある行動事実である。本記事では、再現性のある行動事実の具体的な内容と対策について解説していく」という内容になっている。

 

初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。

筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。

  • 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
  • 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
  • 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
  • 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験

 

この記事を読むことで、面接官トレーニングの内容が分かり、その対策をすることによって面接突破スキルが飛躍的に高まるだろう。

 

【前提】面接官は人事だけではない

多くの企業では、人事以外の職種の社員も面接官をすることがある。

面接では「専門性」が一つの重要ファクターだが、エンジニアを中心に、人事面接官では専門性の判断が難しい職種があるからである。

 

その場合、現場のマネージャーが専門業者からトレーニングを受け、即席の面接官となる。

今回は、そのトレーニングの内容をご紹介し、あなたの面接選考突破のスキルを飛躍的に高めるお話をしていきたい。

 

【結論】面接官は「再現性のある行動事実」を見ている

重要な点が一つある。

それは、面接官へのトレーニング内容を知ることで、「面接官はどこを見ているか」が分かるということである。

 

結論を言ってしまうと、面接官は「再現性のある行動事実」を見ている。

よって当記事では、再現性のある行動事実とは何か、そしてその対策はどうすべきか、について解説していく。

 

齋藤
もちろん、筆者自身も面接官としてのトレーニングを受けています。

 

面接はスキル。大企業では専門業者が面接官トレーニングを実施

転職面接で聞かれる質問、確認される事項と言うのは、どの企業でも大差はない。

外資系コンサルティングファームで有名な「フェルミ推定」や「ケース面接」以外の面接は、実績や志望動機、頭の回転(地頭)やコミュニケーション能力を問うものである。

 

齋藤
ちなみに、ケース面接の様な「難易度が高く特殊な面接」は、徐々に減少しています。
例えばGoogleは、「知能を問うような難易度の高い面接選考は効果がないことが分かった」として、現在は通常の面接に切り替えています。

 

このように、面接で転職希望者が聞かれる質問が大差ないということは、裏を返せば「面接官が聞く質問は、企業によって変わらない」とも言える。

企業による違いがないため、面接官トレーニングを外部業者に委託している大企業は意外と多い。(外部業者はネオキャリア、トライアンフなど多様である)

 

面接官業務というのは、トレーニングで身に付く「スキル」である。

裏を返せば、面接突破も「スキルを身に付けた面接官にどう対処するか」というスキルなのである。

 

面接官トレーニングの内容(自社の人事が説明する部分)

面接官トレーニングは、自社の採用に関する部分と、面接スキルの部分に分かれる。

自社に関する部分は、一般的に自社の人事(採用担当)から説明があることが多い。

 

「自社に関する部分」は、例えば以下のようなコンテンツである。

この点はあまり重要なポイントではないので、内容を一つずつ簡潔に記載しておく。

  • 自社を取り巻く採用環境
    • 自社を取り巻く人材マーケットの状況が説明される
    • 新卒の場合であれば、現在は売り手市場なのか買い手市場なのか、さらに最近の学生の特徴について等の説明がある
  • 自社の選考の特徴
    • 自社がどのような採用をやっているかが説明される
    • 典型的には、職種別採用なのか、採用してから人事側で配属を決めるのか等が話される
      • 筆者には経験がないが、いわゆる圧迫面接などをする会社では、ここで説明がなされるものと思われる
  • 自社の選考ステップ
    • 内定までのフローが説明される。例えば、面接は何回あるのか(=何次面接が最終なのか)など
    • 何次面接の面接官をやってほしいのか、ということについても説明がなされる

 

面接官トレーニングの内容(外部業者が説明する部分)

さて、ここからが面接官トレーニングの重要なパートだ。

外部講師から、面接官に対して「面接とは何か」及び「面接のスキル」を叩き込むパートとなる。

 

このパートは、一般的に以下のような内容で構成されている。

  1. 面接官の役割
  2. セレクション(見極め)
  3. アトラクション(惹きつけ)
  4. 面接官として守るべきマナーやルール

 

それぞれ解説していく。

 

齋藤
なお、転職希望者にとって最も重要なのは「セレクション(見極め)」の部分ですので、この点については次項で詳しく解説していきます。

 

面接官の役割

よく言われることだが、面接官の役目は見極め(セレクション)だけではない。

 

転職市場で魅力的であり続け、落とした後でも魅力的に思ってもらえるよう、惹きつけ(アトラクション)の役割も担う。

ここでは、そういった面接官の役割の二面性および重要性が語られる。

 

典型的には、内定者アンケートを出して「面接選考の中で入社を決めた」人が多いことや、「面接官がダメだったから辞退した」事例があることが説明されるだろう。

 

セレクション(見極め)

ここが読者が一番興味がある部分だと思う。

よって、次の項で詳しくお話する。

 

いくつか方式があるが、面接の核となるフレームワーク(STAR等)が解説されることが多い。

出席者がお互いにフレームワークに沿って面接評価しあうセッションが入るのが典型的だ。

 

アトラクション(惹きつけ)

特に売り手市場においては、アトラクション(惹きつけ)は重要である。

良いと思った受験者(通過者)には次の面接に来てもらうため、ダメだと思った受験者(不採用者)には自社イメージを可能な限り保つため、アトラクションを実施する。

 

面接官研修の受講者は、自身の仕事のなかで具体的に感じられる「会社の魅力」を考えてまとめるように言われる。

アトラクションもセレクションに負けず劣らず難しいので、「実際にやってみる(会社の魅力を織り交ぜて話す)」セッションが入ることもある。

 

面接官として守るべきマナーやルール

最後に、昨今重要性が高まっている「面接官として守るべきマナーやルール」について。

 

面接官は「見極める立場」と勘違いしがちだが、本来は対等な立場(応募者=お客様)というマインドで実施すべき旨が語られる。

その他、傾聴の重要性や、悪印象を与える行動(腕組みや、目を合わせない等々)についても説明がなされる。

 

昨今、これまで以上に重要になってきている、「採用に必要なこと以外は聞かないこと(特に政治や宗教、思想、出生地等)」という指導もあるだろう。

 

齋藤
昨今では特に、採用におけるコンプライアンス違反は、企業にとって致命的です。

 

「再現性のある行動事実」とは?

さて、ここからが本題である「面接官はどこを見ているのか?」に対する答えのパートになる。

最初に記載したが、面接官は、印象ではなく「再現性のある行動事実」を見るようトレーニングされている。

 

これは「成果(アウトプット)」とは異なる。

成果は真実かどうかの判断が難しいし、偶然結果が出てしまうこともある。ハロー効果などもあるため、第一印象に頼るのも危険である。

>>面接は見た目で決まる?容姿は関係あるかを人事面接官が本音で回答

 

しかしながら、「実際に一定の状況下でとった行動」は事実だと言える。

よって、この点を確認することで、ある程度再現性がある(偶然ではない)ものを見よう、というのが現在の面接の基本姿勢となっている。

 

この「再現性のある行動事実」を把握するフレームワークでよく使われているのが、「STAR」フレームワークである。

STARとは、Situation / Task / Action / Resultの頭文字をとったものだ。

 

STARにより、状況を確認し、その状況下での課題と実際にとった行動、そして起こった結果を全て確認する。

事実ベースで「この人は実際にどういう行動をとる人なのか」を確認し、「自社でその行動が成果につながりそうか」を判断する、という流れとなる。

 

それぞれ、典型となる質問例を挙げていこう。それによって対策が見えてくる。

 

状況(Situation)

状況(Situation)は字のごとく、あなたが置かれた状況を確認するものである。

ここで「置かれた状況」とは、活動期間、関係者数、関係範囲、プロジェクト開始前や参画時の状況、困難の度合いといったものである。

 

典型的には、以下のような質問がなされる。

  • その業務は、どの程度の期間担当されていたのですか?
  • あなたがリーダーということですが、メンバーは何名いたのですか?
  • あなたが参加したとき、プロジェクトはうまくいっていましたか?
  • プロジェクトはどれくらいの期間で、どんな部門の方が、それぞれ何人程度参加しているのですか?
  • 今までその課題にチャレンジした人はいなかったのですか?もしそうだとすると、それはなぜですか?

 

課題、役割(Task)

課題、役割(Task)では、あなたが課せられた課題に迫る。

例えば、あなたが果たした役割、上司から課せられた課題、課題をアサインされた背景、課題の中での最難関ポイントなどが確認される。

 

典型的には、以下のような質問がなされる。

  • あなたはその業務においてどのような役割をなさっていたのですか?
  • 現職では、どのような業務をなさっているのですか?
  • あなたが引き継いだ業務は、その前はどんな役職の方がやっていたのですか?
  • なぜあなたがプロジェクトリーダーにアサインされたと思いますか?
  • その業務の中で、一番苦労したことは何でしたか?

 

行動(Action)

行動(Action)では、あなたの実際の行動と、その行動をとった理由の2つが確認される。

例えば、課題に対する打ち手(施策)、なぜその打ち手(施策)を選んだか、課題に対して他にどういった行動がとれたのか、等が問われる。

 

典型的には、以下のような質問がなされる。

  • あなたはその課題に対し、どのようなことをしましたか?
  • あなたがそれをすることを選んだのはなぜですか?
  • その課題であれば、他にもやり方はあったと思います。例えば○○をしなかったのはなぜですか?
  • そのような困難な状況に置かれても初志貫徹出来たのはなぜだと思いますか?

 

結果(Result)

最後に、打ち手(施策)の結果について問われる。
結果は数値ベースのものだけではなく、学びや周囲の反応等の定性的なものを含めて「あなたの行動によって変わったこと」が確認される。

さらに、さらなる改善点や次年度以降の課題などがあるのであれば、それも含めて確認が行われる。

 

典型的には、以下のような質問がなされる。

  • その取り組みの結果、何が起こったのですか?
  • あなたがその失敗から学んだことは何ですか?
  • その学びは、弊社において活かせると思いますか?また、それはなぜですか?
  • 当初その取り組みに反対していた方々はどう反応しましたか?

 

面接官が見ている「再現性のある行動事実」への対策は?

ここまでSTARフレームワークについて説明してきた。

この項では、どのように対策すべきかについて記載する。

 

本質的には、現職で常に「STAR」に照らして「素晴らしい、採用したい」と思われるような行動をとることが対策と言える。

しかしながら、それは「言うは易く行うは難し」で、難易度が高い。

 

齋藤
仮に全員がそれを出来るのであれば、転職面接で不合格になる人はいない、ということになります。

 

おすすめする現実的な対処法は、「準備すること」だ。

 

理想的には職務経歴書に記載した取り組み全てに関して、STARの4つの観点で事前にまとめておくのが良い。

少なくとも「自身の一番の実績(新卒であれば、ガクチカ)」に関しては、確実にやっておこう。

 

「STAR」でまとめた結果、自分のやってきた実績のレベルが高くないことに気づく人は多いかもしれない。

しかし、ここで面接官の本音を言っておこう。

  • 「実績のレベルが低くて落胆する」ことはそこまで多くない
  • むしろ、「自分がやってきたことさえ素早く順序だてて回答できない」ことの方が、面接官に実力を疑わせる

 

つまり、実績のレベルは気にせず、きちんと整理しておくことが肝要というわけだ。

 

さらに言えば、実績(行動)のレベルについては、実は書類選考でもきちんと見ている。

書類選考を通過したのであれば、やってきたことのレベルは気にしなくて良い。

>>転職活動で書類選考が通らない理由と対策|人事面接官が本音で回答

 

まとめ

今回は「面接官はどこを見ているのか」という点について、実際に企業が面接官に施すトレーニングをもとに解説した。

面接官の質問はある程度予想できるものなので、面接前に自身の行動(実績)をきちんと振り返っておくことが大切である。

 

本記事では「面接官はどこを見ているのか」とその答え(再現性のある行動事実)にフォーカスして面接対策を記載してきた。

より網羅的な対策を「面接官が不採用にした理由と対策7選【転職面接で見ているポイント】」に記載したので、こちらも参考にしてほしい。

 

ただ、どこまで行っても「企業との相性」「面接官との相性」という問題は、転職活動につきものである。

本当は相性の問題なのに、自身の実力を疑ってしまうほど悲しいこともない。この辺りは、「転職面接における相性とその対策【面接官に嫌われる?】」にも記載したので、必要に応じて参考にしてほしい。

 

最後に、あらゆる転職サイトや転職SNS(Linkedin等)を駆使し、ある程度多くの「良い求人」を日ごろから集めておくことが、転職成功率を高める王道の施策である。

良い求人の集め方については、「おすすめ転職サイト・エージェント|プロ厳選の比較ランキング」を参考にしてほしい。

 

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