正直、新卒で入った企業の方が2社目より良かった(今は少し後悔しています)こともあり、次は絶対に失敗したくありません。
2回目の転職では、どうやったら後悔しない転職が出来るでしょうか?また、2回目は多いでしょうか?
プロの視点から、具体的に教えていただけますと助かります。
今回のテーマは「2回目の転職」である。
2回目の転職と言うのは、初めての転職と異なり、転職の良い面も悪い面も分かったうえでの転職となる。
1回目とは異なる点もあるため、本記事では2回目に転職する際に「気になるであろうこと」「考えておきたいこと」を網羅的に書いた。
初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。
筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。
- 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
- 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
- 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
- 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験
本記事にて2回目の転職にまつわる疑問(冒頭の質問者の疑問)に全て回答しているので、安心して読み進めていただきたい。
2回目の転職は(20代でも)多くない
まず、「転職2回は多いか?大丈夫だろうか?」と不安を感じている方がいると思うので、最初に申し上げておこう。
2回目の転職は、たとえあなたが20代だったとしても多くはない。30代以上は言わずもがなである。
結論、大丈夫だ。筆者は複数の企業で人事面接官をしていたが、2回目の転職であればまったく問題ない。
どうしても不安だという方は、「20代の転職回数」について詳しく書いた以下の記事を参考にしてほしい。
>>20代の転職回数は何回までOK?最大手の人事面接官が本音で回答
ただし、1つだけ例外があり、大学/大学院卒業から1年以内で転職し、さらに1年以内に転職しようとしている場合には、2回目でも多い。
その場合は短期離職となるため、その挽回方法を良く知っておく必要がある。
>>【後悔】転職してすぐ転職する方法【人事が教える短期離職挽回法】
キャリアを取り巻く環境から考えても2回目の転職はアリ。ただし
(企業の人事が認めてくれる)回数であるという意味からだけではなく、キャリアを取り巻く環境からも2回目の転職はアリである。
VUCAの環境により、キャリアの中で転職を迫られることが「多くのビジネスパーソンの必然」となってくるからだ。
具体的に言えば、今後は以下のようなことが頻発する環境になる。(もう既にそうなっているものもある)
- 企業の寿命(ライフサイクル)
- 倒産・経営危機
- リストラ
- 企業のポートフォリオ組み換え(事業売却)
- AIへの労働者置き換え(シンギュラリティ)
今後、キャリアというものは「転職を交えながら、環境変化に自分を適合させつつ構築するもの」になっていく。
上記の環境から、そうなっていかざるを得ない。
2回目の転職は、ビジネスパーソンにとって避けては通れない「当然のこと」になる。
転職も仕事と同じく、転職すればするほど「上手く」なっていく部分があるので、(常識の範囲で)転職回数を重ねることにはプラスの面が大きい。
ただし、2回目の転職が普通になっているからと言って、何も考えずに転職を重ねていくのはNGだ。
転職はリスクのあるライフイベントであり、そう滅多やたらにするものではない。
貴重な転職カードをどう使うか。それにはポイントがある。
2回目の転職を成功させるポイントについて、次の項でご紹介していく。
【重要】2回目の転職を成功させる3つのポイント
本項が本記事のなかで最も重要な部分である。
2回目の転職を成功させるためには、おさえておきたいポイントがある。
これを考慮せずに転職を繰り返すのは「ムダに転職しすぎている人(ジョブホッパー)」一直線なので、おすすめしない。
早速ご紹介すると、ポイントは以下の3つである。
- 2回目の転職は、キャリアの大きな方向性を定めることを理解する
- 複数社に在籍した今、自分の「好き嫌い」を整理しておく
- 志望動機と退職理由と本音の3つをすべて一致させる
ここは重要なので、それぞれ解説していこう。
2回目の転職は、キャリアの大きな方向性を定めることを理解する
2回目の転職は重要である。
2回目の転職が成功すると、在籍した会社は3社となる。
在籍した会社が1社なら、「新卒生え抜きの人」と見られる。
在籍した会社が2社なら、「1度キャリアチェンジをした人、もしくは(同職種で)2社目の人」と見られる。
在籍した会社が3社になるところから、強く「キャリアの個性」が出て来る。
いくつか例を挙げよう。
- A社の人事部⇒研修会社(グロービス等)の講師⇒C社の人材開発部 であれば、「人材開発(育成)のプロ」と見られる。
- D社の経理部⇒M&Aコンサル⇒E社の経営企画部 であれば、「財務経理の知識をベースとしたビジネスデベロップメントのプロ」と見られる。
- 外資戦略コンサル⇒プライベートエクイティ(PE)ファンド⇒外資系投資銀行 であれば、「外資系を渡り歩く、金融のプロ」と見られる。
このように、3社を見ると「その人のキャリアの方向性」というのが明確に見えてくる。
逆に言うと、これは2社の在籍ではよく分からず、3社目で定まる。
例えば3つ目の例で、3社目を変えて「外資戦略コンサル⇒プライベートエクイティ(PE)ファンド⇒ベンチャーのCFO(最高財務責任者)」としてみよう。
この場合、「戦略×財務のプロフェッショナル経験をベースに、新規事業を推進する経営幹部」となる。
これは、3社目が投資銀行だった際の「外資系を渡り歩く、金融のプロ」とは印象がかなり異なることが分かってもらえると思う。
3社目を決める「2回目の転職」によって「外から見た」「ビジネスパーソンとしての」キャリアの方向性はある程度定まってくるのである。
複数社に在籍した今、自分の「好き嫌い」を整理しておく
1社にしか在籍したことのない人間だと出来ないが、2社に在籍したあなたには出来ることがある。
それは「比較」である。
1社目から2社目に移った際、無意識のうちに色々と比較し、違いを感じたのではないだろうか。
その違いの中には、良いものもあれば、悪いものもあったと思う。
つまり、1社目の方が好きな部分、2社目の方が好きな部分、これが分かっているはずだ。例えば、以下のようなものである。
- 自分は給与が上がれば激務にも耐えられるし、意外と楽しく過ごせると分かった(2社目のほうが良かった)
- 有給が取得しやすいかどうかで、自分のモチベーションが大きく変わると分かった(1社目のほうが良かった)
- 「なんでもやってみろ」という自由放任の風土がこんなに心地よいとは思わなかった(2社目の方が良かった)
- 自分が合理的な人間であること、ワンマン企業が非合理的であることは頭では分かっていた。ただ、ここまで耐えられないとは思っていなかった(1社目のほうが良かった)
上記のような、転職体験に基づく「気づき」が積み重なっていることと思う。
そして、それは人によって感じ方が異なる「好き嫌い」である。(最初の例でいえば、「給与が上がっても、激務は嫌」という人も多いはずだ。正解はない)
自分の「好き嫌い」が分かっていることは、実はキャリアを構築する上で大きな強みである。
人間の根本的性質(=好き嫌い)と言うものは簡単には変わらない。
よって、好き嫌いを整理した上で、それを今後の転職の基準に用いるというのは非常に有効なのである。
複数社に在籍し、2回目の転職を考えている今、自分の「好き嫌い」を整理しておきましょう。
それによって、次の転職の成功率が飛躍的に上がります。
志望動機と退職理由と本音の3つをすべて一致させる
さて、ポイントの3つ目である。
これはキャリア戦略というよりは、もう少し実務的なキャリア戦術の話になる。
「2回目の転職は、キャリアの大きな方向性を定める」と述べた。
2回目の転職で述べる志望動機は、その「キャリアの大きな方向性そのもの」とし、退職理由は「そのキャリアを歩むために今の会社を辞めてあなたのところに移る必要がある」としたい。
さらに、あなたの「キャリアの大きな方向性そのもの」が本音であることが、あなたの幸せや次の会社で成功するために重要である。
つまり、志望動機と退職理由と本音の3つをすべて一致させることが重要なのである。
とはいえ、今の話は非常に分かりにくいと思うので実例を挙げる。
例えば「1社目がA社の人事部⇒2社目の現在は研修会社(グロービス等)の講師⇒3社目にC社の人材開発部(育成マネージャー)への転職を目指す」というキャリアだとしよう。
この場合、
- 志望動機:人材を育成することにより、実際に事業を良くしていくプロフェッショナルになりたい
- 退職理由:現在の研修会社では、自社の事業への貢献を感じられず、研修の成果を長期的に追っていく(測定する)のも難しいから
- 本音:人材育成により事業を良くしていくプロフェッショナルになるため、今の研修会社ではなく、事業会社であるC社に転職して人材育成に携わりたい
ということになれば、あなたの転職成功率も幸せの度合いも高まり、実務的には選考突破率も上昇する。
「2回目の転職」というのは、つまるところ「2回目の退職」である。
そして、人事というのは多くの場合「退職する人間を恐れている(退職されることを恐れている)」人種である。
志望動機と退職理由、そして本音が一致していれば、人事もあなたを「むやみやたらに退職する人間ではない」と理解する。
そうなれば、転職面接を恐れることはないのだ。
書類対策は大差ない
2回目の転職であっても、書類選考の対策方法は1回目と変わらない。
よって、本記事では解説しない。
書類選考が不安だという方は、必要に応じて以下の記事を参考にしてほしい。書類選考で面接官が見ていることを本音で、かつ全て網羅している。
>>転職活動で書類選考が通らない理由は?人事面接官が本音で回答
面接選考では「志望動機」と「退職理由が再発しないか」を強く問われる
面接選考も、基本的には1度目の転職と変わりない。
以下の記事で書いたように、通常は「再現性のある行動事実(≒実績)」を掘り下げられることになるだろう。
>>面接官はどこを見ている?実際の面接員向けトレーニングから考える
ただし、2回目の転職面接では1回目と大きく異なる点がある。
それが、「志望動機」と「退職理由が再発しないか」を強く問われる点である。
この対策について、実は「重要な3つのポイント」として述べたうち、以下の2つが出来ていれば、すでに対策は済んでいる。
- 2回目の転職は、キャリアの大きな方向性を定めることを理解する
- 志望動機と退職理由と本音の3つをすべて一致させる
あなたのキャリア観を表す「3社目の職場(2回目の転職)」をどうするか、深く考える。
そうすると、志望動機も退職理由も、「あなたのキャリア観に合うキャリアを歩むため」に自ずとなってくる。
このポイントをきちんとおさえておいてほしい。
そうすることで、面接官に何を聞かれても答えられる状態に持っていくことが出来る。
正直、今ツラくて「逃げの転職」を考えている方のための対処法
とはいえ、現実的には以下のような方もいらっしゃるかと思う。
- 3社目がキャリアの方向性を作ると言われても、それを考えている余裕はない。正直、今すぐ逃げだしたいくらいだ
- 人間関係がきつい。「志望動機と退職理由と本音を一致させる」なんて無理で、退職理由も本音も「人間関係が嫌だから」である。志望動機は、嘘をつくしかない
その場合の対処は、別の記事で詳細に書いたので、必要に応じてそちらを参考にしてほしい。
逃げの転職を成功させる方法についての記事はこちら。
>>逃げの転職はアリなのか?ネガティブ理由での転職攻略法を人事面接官が解説
人間関係を理由に転職したくなっている方のための記事はこちらである。
>>人間関係に疲れて転職する際に必要な全知識【人事面接官が教える】
2回目の転職を考えるあなたに、今すぐやってほしいこと
最後になるが、2回目の転職を考えていて、万が一やっていなければ、すぐにやってほしいことがある。
それは、転職サイト、転職エージェント、転職SNSへの(複数の)登録である。
会社を辞めたい人へ。
辞めたいと思ったら転職サイトやLinkedinへの登録をすぐやろう。たいてい、本当に辞めるまでには時間がかかる。
そのリードタイムを利用して「良い求人」「良い転職エージェント」をストックできる。
突然転職活動を迫られるより圧倒的に有利でおすすめ。— 齋藤@人事×戦略プロ (@saito_liveevil) February 14, 2021
ツイートの通りなのだが、転職は思い立ってから実現するまでに時間がかかる。
その間に、「良い求人」「良い転職エージェント」を集めておくのは非常に効率的である。
筆者自身、4回の転職のうち3回は「とりあえず転職サイトに登録⇒転職しようと思ったタイミングで良い求人を紹介してくれていた転職エージェントに一気に返信」というやり方で進めた。
筆者はこれを「ゆるゆる転職」と名付け、非常にラクな転職法としておすすめしている。
まとめ
2回目の転職は、今後のキャリアを左右する重要なイベントである。
当記事に記載したことを踏まえ、長期視点で幸せなキャリアを構築していってほしい。