これまで特に大きな不満もなく働いてきたのですが、最近、後輩のフォローでかなりの残業をこなしています。
裁量労働制なので、残業代が増えるわけでもありません。そういった経緯から、さすがに仕事量と給料が見合わないのではないかと思い始めました。
仕事量と給料が見合わない原因や、その対策について教えてください。
今回のテーマは「仕事量と給料が見合わない原因とその対策」である。
結論から申し上げると「仕事量と給料が見合わない原因は、仕事量が給料に繋がる構造のどこかに不具合が生じているためである。本記事にてその不具合の種類と対策について解説していく」という内容になっている。
初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。
筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。
- 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
- 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
- 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
- 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験
この記事を読むことで仕事量と給料が見合っていない原因を知ることができ、それを適切なバランスに改善することができるようになるだろう。
結論
まず本記事の結論を記載しておく。
項目のみ記載しているため、詳細は本文中で確認していただきたい。
仕事量と給料が見合わない原因は、仕事量が給料につながるメカニズムのどこかに不具合が生じているためである。
具体的には、以下のような原因が考えられる。
- 生産性・スキルが低い
- 正当に評価されていない
- 年功序列の会社に勤めている
- 利益率が低い業界に勤めている
- 給料が低い会社に勤めている
仕事量と給料が見合わない場合の対策は、以下の通りである。
- スキルアップする
- 高い人事評価(査定)を受ける方法を知る
- 異動する
- 転職する(特に異業種転職をする)
【前提】仕事量が給料につながる構造を知っておこう
まず前提として仕事量が給料につながるには、いくつかのステップがあることを知っておいていただきたい。
そのステップとは、以下の通りである。
- 労働
- 成果
- 評価
- 給料
あなたの労働が成果につながり、その成果が評価されることで、最終的に給料に繋がるわけである。
これが、労働(仕事量) が給料につながる基本的なメカニズムである。
逆に言えば、仕事量と給料が見合っていない場合にはこの繋がり(メカニズム)に不具合が生じているということである。
例えば、以下のようなことが考えられる。
- 労働量が成果につながっていない
- 成果は出ているが、評価されていない
- 評価はされていても、給料が上がらない会社である
次項にて、それぞれ詳しく解説していく。
仕事量と給料が見合わない原因
仕事量と給料が見合わない原因は、(前項に記載した通り)仕事量が給料につながるメカニズムのどこかに不具合が生じているためである。
具体的には、以下のような原因が考えられる。
- 生産性・スキルが低い
- 正当に評価されていない
- 年功序列の会社に勤めている
- 利益率が低い業界に勤めている
- 給料が低い会社に勤めている
上記の原因について、それぞれ解説していく。
生産性・スキルが低い
いきなり手厳しい内容になるが、生産性やスキルが低いと、仕事量に見合った給料が受け取れない場合がある。
あなたが労働だと思っていたものが、実は成果につながっていなかった、というパターンである。
仕事の出来る人間は、成果に繋がらないプロセスを徹底的に省くことができる。
逆に言えば、仕事の出来ない人間は、成果に繋がらない仕事を大量にやってしまう。さらに悪い場合、トラブルや無駄を生み出すことで成果につながらない仕事を自ら生み出してしまう。
労働が成果につながっていない実感がある、または慣れない仕事に就いている場合であれば、この項目を疑ってみても良いだろう。
正当に評価されていない
仕事量が成果につながっているが、評価には繋がっていないというパターンもある。
以下の記事に書いた通り、人事評価は成果だけで決まるものではない。好き嫌いで決まることもある。
>>納得できない!人事評価が好き嫌いで決まるメカニズムとその対処法
正当に評価されていないパターンの多くは上司との関係が悪いこと、もしくは周りをフォローしていることが成果にカウントされていないことに起因する。
いずれにせよ、正当に評価されてないという実感がある人間はこのパターンを疑うべきだろう。
年功序列の会社に勤めている
仕事量が成果および評価に繋がっているが、特に給料に反映されないという会社もある。
一言で言うと実力主義でない会社に勤めているということになるのだが、こういった会社では人事査定が良くても特に給料に差はつかない。
いわゆる年功序列の人事制度を採用している場合にこのようになり易い。
以下の記事にも書いた通り、こういった時代遅れの会社では社員がどんどん辞めていく。
>>人がどんどん辞めていく会社にありがちな「7つの社風」とは
利益率が低い業界に勤めている
仕事量と給料が見合わない場合には、会社か自分のどちらかが悪いことがほとんどである。
唯一の例外が、業界に起因するパターンである。
利益率が低い業界(業種)では、ビジネスモデル上ほとんど利益が残らない構造になっていることがある。
利益が残らないということは、労働分配率が低い、つまり社員への給料にも反映できないということである。
こういった利益率が低い業界に勤めている場合には、給与が低い原因が自分にも会社にもなくビジネスモデルにあるということがある。
典型的には、小売り業やブライダル業界などがこのパターンに陥りがちである。
給料が低い会社に勤めている
最後は、仕事量が給料につながるメカニズムには特に欠陥がないパターンである。
仕事量が成果や評価に繋がっており、給料もそれに伴って差別化されるが、それでも仕事量と給与が見合わない。
これはつまり、そもそもの給料水準が低すぎるということである。
基本給が純粋に低い場合もあるし、裁量労働手当や役職(管理職)を悪用し、残業代や手当が出ないようにしている場合もある。
いわゆるブラック企業もここに入ることが多いため、注意が必要なパターンでもある。
仕事量と給料が見合わない場合の対策
次に、仕事量と給料が見合わない場合の対策について述べていく。
率直に言うと、仕事量と給料が見合わないほとんどの原因は会社にある。
当サイト「転職参謀」では、通常、リスクのある「転職」という行動を第一選択肢としておすすめはしていないのだが、この場合にはどうしても転職が解になってきてしまう。
仕事量と給料が見合わない場合の対策は、以下の通りである。
- スキルアップする
- 高い人事評価(査定)を受ける方法を知る
- 異動する
- 転職する(特に異業種転職をする)
上記の対策について、それぞれ解説していく。
スキルアップする
自身の生産性やスキルが低いがために成果に繋がっていないという場合には、当然ながらスキルアップする必要がある。
これは「資格を取れ」「ひたすら頑張れ」という意味ではなく、人間関係等を含めてスキルアップできる環境、成果を出せる環境を作るべきだということである。
例えば以下の記事は、転職後に成果を出すための方法論ではあるが、スキルアップのためにも非常に参考になるはずである。
>>転職を成功させるには、転職した後がカギ。転職直後にとるべき「6つの行動」
上記の記事から転載した6つの行動は、以下のとおりである。詳しくは上記の記事を読んでいただきたい。
- ビジネスのキャッチアップよりも先に、風土に馴染むことに全力を注ぐ
- 人間関係を把握し、主流派に属する
- 過去のチャットや共有フォルダを見る
- 転職直後のパフォーマンスは120%を出しきる
- ハネムーン期、失望期、ニュートラル期のサイクルを意識する
- 自分と周囲の力量差がある分野で力を示す
高い人事評価(査定)を受ける方法を知る
成果は出ているが、評価に繋がっていないという場合は多い。
ここで一つ質問なのだが、あなたは高い人事評価を受ける方法を知っているだろうか?
もし知らないのであれば、ぜひ以下の記事を読んでいただきたい。
>>人事評価に不満がある方へ。媚びずに高評価される7つの方法【人事プロが教える】
上記の記事にも書いたが、高い評価を受けるには、「能力を高める」「頑張って仕事に取り組む」等の基本中の基本と言える行動以外にも、いくつかのコツがある。
そのコツとは、具体的には以下の通りである。
- マネージャーの仕事や出世そのものに意欲を見せる
- 実績を出す前準備として、実績が見えやすい仕事を取りに行く
- 評価者にインプットする人間を見抜く
- 長時間労働をする
- プロジェクトに参加する
- 上司と同じ得意領域を伸ばす
- 上司の弱みを補う
異動する
正当に評価されていない場合、とりわけ上司とうまくいってないことがその主な理由である場合には、異動も一つの手である。
ある上司の下では劣等生とみなされていた社員が、別の上司のもとで新しく輝き始めることは少なくない。
どうも日本人は異動より先に転職を考えてしまう傾向があると筆者は思っているのだが、転職よりも異動の方がはるかに低リスクである。
また、異動は失敗してからその挽回策として転職に繋げることもできるため、まずは異動を試みてみることがおすすめである。
転職する(特に異業種転職をする)
業界が原因である場合、会社が原因である場合、上司との人間関係が原因である場合、これら全てを解決しうる手段が、転職である。
上司との人間関係が原因である場合には当てはまらないが、業界や会社が原因である場合、異業種転職をすることが特に有効であるケースが多い。
異業種転職というと失敗しやすいイメージがあるかもしれないが、異なる「職」種への転職とは異なり、 異なる「業」種への転職は、転職全体の半分以上を占める極めてオーソドックスな転職である。
以下の記事を参考に、異業種転職について検討してみると良いだろう。
>>異業種転職の教科書|成功率やメリット、失敗しないための対策、おすすめの業界まで
まとめ
仕事量と給料が見合わない場合には、会社か、自分か、業種が悪い。
自分が悪いケース以外の多くでは、異業種転職が非常に役に立つ。異業種転職は、年収アップやキャリアアップの王道である。