転職を考えているのですが、失敗したらと思うと踏み切れず、何か月も情報収集に留まっています。
恥を忍んで率直にお伺いしたいのですが、転職に失敗したらどうなるのでしょうか?
また、失敗したときにはどうすればいいのでしょうか?転職の、また人事のプロとしての観点でアドバイス頂けるとありがたいです。
今回は、「転職に失敗したら」がテーマである。
質問者の質問通り、大きくは「失敗したらどうなるのか(現実)」と、「失敗したらどうすればいいのか(対策)」について記載していく。
初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。
筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。
- 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
- 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
- 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
- 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験
本記事では、転職に失敗した場合の現実や対策だけではなく、失敗しやすい人やそのパターン、転職しなかった時の未来まで包括的に扱う。
この記事のみで「転職に失敗したら」の悩みを全て解決できるよう記述していく。
【結論】転職の失敗は全く問題ない。人事プロがそう言い切る理由とは?
まず結論から行こう。
転職の失敗は全く問題ないし、そもそも転職に失敗はないとも言える。
その理由はこの記事において詳しく説明していくが、簡単に言えば以下の3つである。
- 転職に失敗した際の策が複数あるため
- 上記の策が機能せず、結果として短期離職することになったとしても、挽回が可能だから
- 転職の失敗パターンを学ぶことで次の転職に成功しやすくなるから。どうせ失敗するなら、今後の人生で一番若い「今」失敗すべき
【現実】転職に失敗したらどうなる?失敗した後の未来とは?
転職に失敗したらどうなるのか。
既に述べた通り、「全く問題ない」が人事のプロとして、また複数回の転職経験者としての答えである。
結論でも述べたが、①失敗しても転職以外の選択肢があり、②仮に短期で再度転職することになっても成功させる方法がある。
加えて言えば、③万が一(自分の中で)完全に失敗したとしても次回の転職に活かすことが出来る、という3段構えであるので、「全く問題ない」という回答になる。
しかしながら、複数回の転職により望むキャリアを手に入れたとも自負しており、良い転職をするためには転職の経験値が必要、と実感しています。
よって、転職に失敗したと感じた後に取るべき行動としては、以下のようになる。
- 転職以外の道を探る
- 上記が難しければ、失敗を活かしつつ、再度転職活動を行う
上記の具体的な進め方については「対策」の項で述べてゆく。
【失敗を避けるための予防策】転職に失敗しやすい人やそのパターンとは?
具体的な対策の前に、「失敗しない(失敗したと感じない)ようにするための予防策」についてお話しよう。
予防策としては、以下の転職に失敗しやすい人やそのパターンを知っておくことが重要だ。
そして、筆者が人事として多くの転職を見てきた中で、高い確率で転職に失敗するパターンが以下の4つである。
当てはまる場合でも止めはしないが、失敗の確率が相対的に高いことを自覚して対策することをおすすめする。
- 人間関係の構築が苦手である
- 「5つの壁(会社・業種および職種・言語・管理職・社格)」を3つ以上飛び越えようとしている
- 35歳以上で初めての転職をしようとしている
- 年収等の条件のみで転職しようとしている
それぞれ、簡単に解説しよう。
【1】人間関係の構築が苦手である
転職とは、「職場の人間関係の一新」とも言える。
新たな人間関係を構築することが苦手であれば、それだけ新たな会社になじむのが遅くなる。
長い間なじめなければ、「転職に失敗した」と感じる人は多いだろう。
【2】「5つの壁(会社・業種および職種・言語・管理職・社格)」を3つ以上一気に飛び越えようとしている
転職には難易度がある。
とはいっても、マッキンゼーやGoogleに転職するのが難しい、というタイプの「会社別の就職難易度」のことではない。
「転職先の環境が、今までの職場とどれだけ違うか」というタイプの、いわば「環境変化への適応難易度」のことである。
環境変化への適応難易度は、「会社・業種および職種・言語・管理職・社格」の5つ、筆者が「5つの壁」と呼んでいるハードルをいくつ飛び越えようとするかで決まる。
詳しくは別途記事を書いているが、これらの壁を2つ超えるのはかなり大変であり、3つ以上の壁を超えようとするのは無謀である。
>>転職難易度は志望企業では決まらない。転職における5つの壁とは
【3】35歳以上で初めての転職をしようとしている
人間は環境に適応する動物であり、同じ環境に長くいると完全に適応してしまう。
適応は良いことだが、一つの環境に適応しすぎると他の環境への適応能力が失われやすい。
実際、人事として見てきた経験からすると、若い方が新しい環境に早くなじみやすい。
個人差もあるが、目安として「35歳以上で初の転職」となる場合には、転職先で苦労する可能性が高い。
先ほどの「5つの壁(会社・業種および職種・言語・管理職)」でいえば、超えるのは1つだけ、つまり会社以外は変えないようにした方が良いでしょう。
【4】年収等の条件のみで転職しようとしている
年収等の「条件」のみで転職することも失敗につながりやすい。
人間は環境に適応する動物である、と書いたが、これは年収や肩書でも同じだ。
年収等の条件での満足感は続かない。1,000万になっても、1,500万になっても、すぐにそれを「当然」とみなすようになる。
年収アップだけを狙った転職で、満足感が感じられなくなってきたとき、残るのが「人間関係や仕事への慣れがリセットされた苦しみ」だけになるようだと辛い。
【対策】転職に失敗したら具体的にはどうすればいい?
さて、本記事のメインコンテンツである。
転職に失敗しても全く問題ない理由を、冒頭の結論部分で以下のように書いた。この順に紹介していこう。
- 転職に失敗した際の策が複数あるため
- 上記の策が機能せず、結果として短期離職することになったとしても、挽回が可能だから
- 転職の失敗パターンを学ぶことで次の転職に成功しやすくなるから。どうせ失敗するなら、今後の人生で一番若い「今」失敗すべき
【1】転職に失敗した際の策(転職以外)
今の職場が嫌になってすぐに「さあ転職だ」というのはいささか勇み足である。
「【転職はハイリスク】人事プロが教える、転職より前に検討すべき3つの選択肢」で書いているが、転職を考える前に、転職よりリスクの低い方法について検討してみるのが良い。
その方法とは、「我慢」「改善」「異動」である。
- 我慢する
- 改善する
- 異動する
- 転職する
我慢して状況が変わる場合には、我慢することが最善解であることもあり得る。
自分の態度や経験に原因がある場合には改善もあり得るし、転職まで行かずとも「異動」という手段もある。
「入社したばかりで異動させてくれるか?」と思うかもしれないが、数か月での短期離職は人事からしても避けたい。
筆者自身、入社間もない異動を人事として何度も見ている。試みて損はないので、人事に話してみるとよい。
【2】短期離職になった際の挽回策(転職してすぐ転職する方法)
転職してすぐに転職など出来ないと思っている人は多いが、それは間違いである。
我慢や改善、異動がうまくいかず、結果として転職してすぐの転職(短期離職)となったとしても、挽回して転職することは十分可能である。
短期離職の挽回法については、以下の記事に詳しくまとめているので、必要に応じて参考にしてほしい。
>>【後悔】転職してすぐ転職する方法|人事が教える短期離職挽回法
【3】失敗経験を次の転職に活かす
何を失敗と思うかは人によって異なる。
しかも、失敗につながる要素がはっきりと事前に分かるという人はいない。(もし事前にはっきりと分かったら、対策するか転職を思いとどまるかするだろう)
その際に、周りのレベルの低さに嫌気がさし、「自分にとっては、年収よりも『優秀な人と働くこと』が重要だったと気づく」というケースは良く見かけます。
転職に失敗したと感じた時は、さらなる良いキャリアを築くチャンスなのである。
最高のキャリアには、失敗が必要なのだ。
そして、失敗するのであれば、今からの時間軸の中で一番若い「今」が最もダメージが少ない。
自分の転職軸をブラッシュアップし、次の転職に活かすことが出来るチャンスなのである。
転職の失敗は、「社会人になってからの実際の経験を踏まえた、本格的な自己分析」をするチャンスです。
筆者自身、率直に言って「転職に失敗した」と思った時もあった。
しかしながら、その経験は間違いなく必要であり、それがなければ理想のキャリアを歩むことは出来なかったと感じている。
まとめ
転職に失敗はない。
全てが自分の理想のキャリアを実現するための経験となるからだ。
そうはいっても、「完全に失敗」と感じることがあるかもしれない。
そうした際でも挽回策が多数ある。
「それでも不安だ」という方は、自分を受け入れてくれる(受け入れたい)という会社が多数ある、という事実を知ると安心できる。
当サイトでは、転職サイトに登録するが、積極的に活動はしない「ゆるゆる転職」を勧めている。
ゆるゆる転職により、多数の企業やエージェントから「ぜひ受けて欲しい」と言われている状況であれば、「失敗したら」などと恐れず挑戦できるはずだ。