転職しないリスク

転職しないリスクこそ恐ろしい。6つのリスクを人事プロが解説

悩めるビジネスパーソン

上司からパワハラを受けていますが、転職のリスクが怖くて転職活動に踏み出せません。
(私は、リスクを避けて安全を求める性格です)

そこで考えたのですが、逆に「転職しないことのリスク」はないのでしょうか?
もしそれがあれば、リスク回避型の私でも転職にチャレンジできるのではないかと思っています。
転職しないリスクを教えてください。

 

今回のテーマは「転職しないことのリスク」である。

結論から申し上げると「確かに転職にはリスクがあるのだが、転職しない場合のリスクの方がはるかに大きい。そのリスクと対処法を網羅的に解説する」という内容の記事になっている。

 

初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事のプロフェッショナルが執筆している。

筆者の専門性や実務経験に基づき、本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。

  • 自身の4回の転職経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、コンサルティングファームまで経験)
  • トップティアの外資系戦略コンサルティングファームを含む、数々の難関企業の選考に自身が合格してきた経験
  • 人事マネージャーとして多数の候補者の面接を行った、面接官としての経験
  • 人事マネージャーとして転職エージェント・転職サイトと契約し、ダイレクトスカウトを含め採用を指揮・実施した経験
  • 転職により、30代前半で東証一部上場企業の人事執行役員/年収1800万に至った経験

 

この記事を読むことで、転職しないリスクが分かり、適切な場合には転職にチャレンジできるようになるだろう。

 

齋藤
本サイト「人事参謀」では、むやみに転職するように煽ることはありません。
むしろ、転職はハイリスクなので別の手段を検討すべきという趣旨の記事を書いていますので、安心してお読みください。

>>【転職はハイリスク】人事プロが教える、転職より前に検討すべき3つの選択肢

 

【結論】転職しないことで生じる、6つのリスク

まず結論からいこう。

転職しないことで生じるリスクは、以下の6つである。

  1. 転職できなくなるリスク
  2. 機会損失のリスク
  3. 出世できなくなるリスク
  4. リストラされるリスク
  5. 人間関係のリスク
  6. 人生を楽しめなくなるリスク

 

冒頭にも述べたが、本記事の結論は「上記に記載した6つの転職しないリスクを考えると、転職するリスクよりも転職しないリスクの方が大きい」となる。次項で解説していく。

 

【解説】転職しないリスクを人事プロが徹底解説

本項では、転職しないリスク6つをそれぞれ解説していく。

 

【1】転職できなくなるリスク

転職しないことの最大のリスクは、転職できなくなることである。

 

以前に「32歳までに1度は転職すべき8つの理由」という記事を書いた。

上記の記事に書いた通り、年を取るごとに、新しい職場で素早く学習する力(ラーニングアジリティー)は落ちていく。

 

転職35歳限界説があることからも分かるように、転職には(転職未経験の場合)年を取るごとにしづらくなっていくという性質がある。

 

齋藤
実際には35歳を超えても転職は普通に可能ですが、相応の経験(マネージャー経験等)が必要になってきますし、転職未経験だと警戒されます。

 

この後「出世できなくなるリスク」や「リストラされるリスク」について記載していくが、これらのリスクに直面したときには、もう遅いのである。

「出世できないことが判明した」もしくは「リストラを宣告された」その時には、すでに「転職できない状態」になっているからだ。

 

齋藤
キャリア的に「詰んだ」状態になってしまう可能性があるため、これは最も恐ろしいリスクだと思います。

 

【2】機会損失のリスク

転職しないことには、機会損失のリスクがある。

 

齋藤
機会損失とは、「今ある利益を失う」通常の損失ではなく、「本来なら得られるはずだった(未来の)利益を得られなくなる」という損失のことです。

 

転職することで、あなたは様々な「現在より良いもの(=利益)」を得られる可能性がある。

一例を挙げてみよう。

  • 現在より高い年収
  • 現在より少ない労働時間
  • 現在より協力的な上司や同僚
  • 現在より高い評価や自己肯定感
  • 現在よりネームバリューのある在籍企業
  • 現在の企業では得られないスキル・専門性・コンピテンシー

 

転職を選べば、上記の利益が得られたかもしれない。

逆に言えば、転職しないことを選ぶと、上記の利益は全て機会損失となってしまう(得られなくなる)リスクがあるのである。

 

「転職によって上記の利益が得られるなんて夢物語なのでは?」と思った人もいるかもしれない。

しかし実際には、新卒時に以下の要素をすべて揃えた会社に入った人など存在しないため、転職で得られる利益は必ずあると断言できる。

 

  • 転職では上がらないほど年収が高い
  • 転職では減らせないほど労働時間が少ない
  • 転職で改善しないほど最高の人間関係に恵まれている
  • 周囲から最高評価を得ており、同期トップで昇進している
  • 世界または日本トップクラスの知名度と社格を誇る会社である
  • 将来的に自分がやりたいことと、100%合致したスキルが積みあがっていく

 

【3】出世できなくなるリスク

当然のことだが、転職しなければ、現在の会社で得られるスキルや経験しか積むことが出来ない。

これ自体は前項で解説した「機会損失」であるが、これには悪い副次的効果がある。

 

それは、「様々な会社で、幅広いスキルや経験を積んできた転職経験者に負けてしまう」というリスクである。

 

負けてしまうとどうなるのか?

そう、他社から、いきなりあなたの上司として転職してくる人が出現するのである。

 

齋藤
転職してきた上司は、同年代、もしくは年下であることも十分ありえます。
「今のウチの制度ではあり得ない」と思った人もいるかもしれませんが、今後「年功序列」「転職者より生え抜き優遇」を維持して市場で勝てる会社は少ないと思います。

 

要は、(転職市場全体で見たときの)出世競争に負けてしまうというリスクがあるということだ。

 

将来、あなたの会社のマネージャーポジション(課長以上の椅子)はほとんどが中途入社者のものになるかもしれない。

現在、実際にそういう会社はどんどん増えてきている。

 

【4】リストラされるリスク

出世できなくなる程度で済めばまだ良い。

それ以上のリスクもある。それが、リストラされるリスクである。

 

出世できないまま「勤続10~20年を超える」中高年になった場合、多くの会社で「希望退職制度の応募要件」を満たす。

外資系で言えば、PIP(業績改善プログラム、実質的な退職勧奨)の対象になることもあるだろう。

 

齋藤
大抵の場合、日系企業のリストラの要件は「勤続年数」や「評価」によって決まります。
「勤続年数」の要件を満たさないため、中途入社者(=転職経験者)が対象になることは少ないです。

 

希望退職制度といえば聞こえはよいが、実際にはリストラのターゲットになるということである。

 

今後、市場(=人口)が縮小する日本では、リストラの嵐が吹き荒れるだろう。

あなたが高い評価を受けて出世していれば対象にはならないが、「勤続が長いイマイチ人材」とみなされてしまうと、リストラのターゲットそのものとなる。

 

【5】人間関係のリスク

転職しない、つまり同じ会社にい続けると、人間関係が濃くなってしまい、いざこざに巻き込まれる可能性も上がる。

 

一番分かり易いのが派閥であるが、そこまで行かずとも、誰と仲良くして、誰とは距離を置くのか、というのが当然出て来る。

ずっと転職しない場合のリスクとしての「人間関係のリスク」を避けるため、周囲の動向に敏感でいつづけ、敵を作らないように動かなければならない。

 

齋藤
40年もの長期にわたって続く人間関係を壊さないように、ガラス細工を扱うかのように慎重に行動し続けなければならないということです。

 

場合によっては、新卒時の先輩・後輩を引きずったまま、何十年も上手く過ごさなければいけないかもしれない。

平日のほとんどを停滞した人間関係の中で生きなければならないのはリスクだろう。

 

齋藤
このリスクの恐ろしいところは、仮に人間関係が破綻したときには、自分がすでに「自社でしか通用しない人材」になってしまっている可能性があることなのです。
キャリア的に、というよりも、人間関係的に「詰んだ」状態になりえるのが、このリスクです。

 

【6】人生を楽しめなくなるリスク

最後のリスクは、人生を楽しめなくなるリスクである。

 

この記事にたどり着いた読者は、現在の会社・職場に何らかの不満を抱えている方が多いと思う。

読者の年齢にもよるが、不満を解決せずに数年~数十年もの間「我慢の人生」を送るとすれば、それこそが最悪のリスクではないだろうか。

 

齋藤
もちろん、解決策は転職だけではありません。しかしながら、「何もしない」ことはおすすめしません。

>>【転職はハイリスク】人事プロが教える、転職より前に検討すべき3つの選択肢

 

【対処法】転職しないリスクの解消法は、転職することではない

最後に、転職しないリスクに対する対処法について記載しよう。

転職しないリスクの解消法は、転職することではない。闇雲に転職すると、多くの場合不幸になる。

 

齋藤
すぐに転職するのではなく、ゆるゆると転職活動を始めることをお勧めします。

 

「転職しないリスク」を解消するために短絡的に転職してしまうと、今度は「(拙速に転職した場合の)転職のリスク」を背負ってしまうことになる。

とはいえ、転職のリスクは転職活動をじっくりやることにより低くすることが出来る。

だからこそ、すぐに転職するのではなく、じっくりとした転職活動を始めてみるのが重要である。

 

転職がめんどくさいという方へ。ゆるゆる転職のススメ。」に書いた通りに転職活動を始めれば、良い求人や、それを持ってくる良いエージェントと出会えるようになる。

そうなった段階で、その求人があなたの望む(例えば)以下のような条件を満たせるのか、よく吟味すればよい。

  • 現在より高い年収
  • 現在より少ない労働時間
  • 現在より協力的な上司や同僚
  • 現在より高い評価や自己肯定感
  • 現在よりネームバリューのある在籍企業
  • 現在の企業では得られないスキル・専門性・コンピテンシー

 

そして、ここが重要なのだが、あなたが心から素晴らしいと思える会社を見つけるまでは、転職しないことである。

転職しないリスクを解消するためには、世の中にある良い求人を良いエージェントに集めさせ、あなたの希望に最高にマッチする企業・ポジションを徹底的に探すことが必要なのである。

 

まとめ

現在20代または30代の人は、転職せずにビジネスパーソン人生を全うすることは難しい。

難しいのみならず、(本記事で述べた通り)極めてハイリスクである。

 

転職にもリスクはあるが、「キャリア(仕事人生)が詰む」ようなことはない。

以下の記事に書いた通り、転職に失敗しても大丈夫であり、転職してすぐ転職する挽回策もある。

>>転職に失敗したらどうなる?どうすればいい?人事のプロが本音で解説

 

しかしながら、転職しないリスクをとると、場合によってはキャリアが詰みかねない。

しかも恐ろしいことに、「自分のキャリアが詰んだ」ことに気づくのは、中高年になってからなのである。

 

始めるなら今、である。

 

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