20代での転職は厳しい?「ありえない」と面接官が言い切る理由5つ

今回の記事は、前回の続きであり、テーマも前回同様「20代の転職」である。

 

前回の記事はこちら:20代で2回転職した人事面接官が語る、20代転職にデメリットがない理由

 

早速だが、いつも通り机上の空論は一切除き、自身が20代で2回転職した経験と、面接官として20代の転職者を毎週のように面接している経験から回答する。

 

20代転職は、厳しいどころかベストタイミング

前回の記事で、「20代転職には、デメリットがない」と述べた。

その理由として、以下を挙げている。

 

  1. 今、20代としてこの記事をご覧になっている方は、いずれにせよ全員が転職することになる
  2. どうせ転職するなら20代がベストの時期

 

1番、つまり「今の20代は、いずれ転職する必要がある」ということについては前回の記事で解説した。

振り返ると、以下の5つが要因である。

 

  1. 企業の寿命(ライフサイクル)
  2. 倒産・経営危機
  3. リストラ
  4. 企業のポートフォリオ組み換え(事業売却)
  5. AIへの労働者置き換え(シンギュラリティ)

 

この点に続き、今回は2番目の「どうせいずれは転職しなければならないなら、20代がベスト」という点を解説する。

どうしても「一般的に言われていることとの重複」が多くなるが、一緒に見ていこう。

 

20代転職のメリット1:キャリアチェンジしやすい

マネジメントを理論として確立した、20世紀を代表するコンサルタント・著述家であるピーター・ドラッカーは、以下のように述べている。

最初の仕事はくじ引きである。最初から適した仕事につく確率は高くない。
得るべきところを知り、向いた仕事に移れるようになるには数年を要する。

ピーター・F・ドラッカー

 

本来、会社で働いたことのない大学生が、自身の適性を完璧に把握し、最高の職場に最初から出会う確率は天文学的に低いはずである。

 

しかしながら、実際には「合うかどうかはなんとなくしか分からないが、どうにか内定をもらうしかない」状態で新卒就活レースをこなすことになる方がほとんどだろう。

 

齋藤
少なくとも私はそうでした。

 

つまり、最初に選んだキャリアは構造的に「外れ」になりやすいとも言える。

 

そんな中、20代であれば転職が(他の年代と比べ)相対的に容易である。

20代前半であれば、いわゆる「第2新卒」のマーケットに乗れるし、20代後半であれば、人事から見て「他社で鍛えてもらった若手を横取り」出来る良いタイミングと言える。

 

筆者は人事面接官もやっている上に、自身の部下として経験者を採用した経験も多数あるが、思い返しても20代であるというのは強みである。

場合によっては、30代であると言うだけで書類選考で落とすこともあるくらいである。

 

キャリアチェンジが容易(=転職の採用選考に合格しやすい)というのは20代の圧倒的なメリットだろう。

 

20代転職のメリット2:育成してもらいやすい

上司は部下を公平に扱い、育成すべきだとお考えだろうか?

もしそうお考えならば、それは間違っているか、または少なくとも実態には合っていない。

 

上司が付ける評価には、大抵の企業で相対分布があり、全員を最高評価にはできないようになっている。

ボーナスの配賦についても同様で、多い人もいれば、少ない人もいる。

 

上司の仕事の一つは、限られた資源の配分をどうするか決めること。

そして、「育成の機会」こそが限られた資源の代表なのである。

 

つまり上司には、誰を「成長するポジション」につけ、育てていくのかを選ぶという仕事がある。

そして、20代というのはその「育成対象」になりやすいのだ。

 

理由は主に以下のような点である。

  • 素直である
  • 吸収力が高い
  • 今後貢献してくれるであろう期待貢献期間(=定年までの期間)が長い
  • 年下であるため指導しやすい
  • (転職者であれば)早くキャッチアップし、この職場をリードしていってほしいという期待がある

 

いくつか相互に関連する要素(例:吸収力が高いのは素直であるから)等もあるが、一般的にこのようなところだろう。

記載した点を含め、ありとあらゆる要素から「20代を鍛えるべき」という結論となる。

 

20代での転職は、転職後も「若手ポジションで教えてもらえる」というのが大きなメリットだ。

20代は、転職すること自体が相対的に容易だが、転職後も一番「厳しくない」年代である。

 

20代転職のメリット3:ラーニングアジリティーが高まる

VUCAという言葉を聞いたことがあるだろうか?

 

VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとったものだ。

つまりは、現在の「変化が日常的に起きる、不確実な時代」を表した言葉である。

 

不確実な時代を表す事象は多数あるが、例えば以下のようなものが挙げられる。

  • 大企業の倒産、経営危機
  • SNSの発達と「個人」の時代
  • グローバル化の進展と自国第一主義の葛藤
  • AIの急速な発達と雇用の削減
  • 世界規模で見た人口の激変(先進国の少子高齢化と発展途上国の人口爆発)
  • メディアの多様化、価値観の多様化
  • 急激な気候変動

 

色々なものを捨象して単純に言えば、「大企業もどうなるか分からないし、人間自体がAIに負けるかもしれないし、日本の地位はどんどん落ちる」という激変の時代ということになるだろう。

 

こういったVUCAの時代には、弱くなる産業、無くなる企業、無くなる職業が多数出てくる。

弁護士や会計士といったエリートさえ「仕事の多くが代替可能になる」と言われている中、多くのビジネスパーソンもこのリスクを避けられない。

 

自分の属する産業や企業、職業が衰退した際、新しい分野に乗り換えるために必要なものがある。

人材開発(育成)の世界の専門用語で、「ラーニングアジリティー」と呼ばれるものである。

 

ラーニングアジリティーとは、簡単に言えば「変化に適応する力」のことである。

 

この力は、生得的(遺伝的)な部分もあるが、変化によって鍛えうる部分もある。

変化に適応する力は、変化を乗り越えることによって生まれるということである。

 

上述した通り、「転職自体が比較的容易で、転職後も指導してもらいやすい」のが20代である。

この年代で「(転職という)変化を乗り越える」経験をしておくことは、今後不可避となる変化の荒波を乗り越える力となる。

 

筆者自身も転職を複数回繰り返したことにより、新しい職場でのキャッチアップ能力が飛躍的に高まった自覚がある。

新職場において「自分は有能である」と1か月以内に示せるということは、転職にあたって大きな自信になる。

 

ラーニングアジリティー、つまり「キャッチアップして迅速に成果を出すこと」への自信は面接官にも伝わる。

当然ながら、企業としてもそういう人間を採用したいので、結果として採用試験に受かりやすくなる。

 

著名な投資家(証券アナリスト)で、12回もの転職に成功している「山崎元」という方がいるが、この方は著書で「転職するたびに転職しやすくなっていった」という趣旨のことを述べている。

転職により転職力が付く」と言い換えてもいいのかもしれない。

 

20代転職のメリット4:失うものが少ない

人にもよるが、一般的に20代は失うものが少ない年代である。

 

30代以降になると、養うべき家族がいる方も増えてくるだろう。

安定した境遇を失うことに対しての家族の反対もありえるし、反対されなかったとしても「今以上に良くなる保証」はない。

 

さらに、30代以降では現在の職場で築き上げた人脈や信用自体が「最大の武器」となっていることもある。

そういった方にとって、転職を選択することで失うものは非常に大きい。

 

一方で20代は独身者も多いし、20代夫婦であっても共働きであることの方が多いだろう。

さらに、新卒入社した企業での人脈もまだ広く深いものにはなっていないだろうから、それを捨てて新しい人間関係を作るコストは比較的低い。

 

その上、20代であれば失敗したとしても「また転職」が出来る。(※筆者は20代で2回転職している)

失うものを最小化しつつ、「天職」を探すことが出来るのが20代なのだ。

 

20代転職のメリット5:給与が上がりやすい

最後に、20代転職は給与が上がりやすい。

 

新卒で大企業に入ると、年一回「ベースアップ」「定期昇給」などで多くても月数万円、つまり年10~30万円程度の昇給が一般的である。

 

齋藤
ちなみに、本気で出世を目指した場合には、年間100万以上年収を伸ばしていくことも可能です。
気になる方は「【給与公開】出世で給与を上げるのは本当に大変か」をご参照ください。

 

しかしながら、転職では一気に年収が上がることが頻繁に起こる。

特に日系企業では、若いという理由だけで20代の賃金を抑える不当な給与体系になっていることが多く、ここから役割や職務ベースの給与体系の会社に転職すると、200万円程の年収アップとなることも珍しくない。

 

筆者が見てきた範囲では、日系から外資系への転職のように、年功序列の会社から役割ベースの会社に転職をした場合「年収ベースで50万~200万円程はアップする」のが普通である。

こういった「非連続な給与の上昇」は転職ならではと言えよう。

 

ここで、「50万~200万円も上げてしまったら採用する側として損なのでは?ありえないのでは?」という人もいるかもしれない。

そういった方のため、人事の本音を最後にお話しておこう。

 

率直に申し上げて、人事は自分の個人資産から給与を出しているわけではない。

あくまで会社のルールにのっとり、モチベーション高く働いてくれるならいくら出しても懐は痛まない。

 

例えば、自社の等級制度・報酬制度によって200万アップになる方がいたとして、それで本人がモチベーション高く働いてくれるなら、誰も損をしないのである。

  • 人事は「決まった報酬制度の中で、やる気のあるいい人を採用した」と評価され損をしない(そもそも人事が給与を払っているわけではない)
  • マネージャーは「やる気のある人を自分の部署に採用出来た」ので損をしない(マネージャーが給与を払っているわけではない)
  • 株主は「自社にふさわしい人を採用し、業績に貢献させることが出来た」ので損をしない
  • 本人は「やる気を出す報酬を出され、さらに成果に集中するという良い循環に乗れた」ので損をしない

 

ということになる。

 

200万アップくらいまでであれば、企業の人事からすればよくあることであり、誤差の範囲と言える。

20代にとって、「転職で年収アップ」は当然の話だと思っておくくらいで丁度良いかと思う。

 

なお、年収アップでの転職が基本である外資系転職については「外資転職の教科書」という記事に詳しく書いたので、興味があれば参考にしてほしい。

 

まとめ

前回の記事で「今20代の方は、この先いつかは転職の必要がある」ということを述べた。

今回の記事では「どうせいつか転職しなければならないなら、20代がベストである」ということを述べた。

 

この二つを合わせると「20代こそ転職すべき」と論理的に帰結する。

 

私たちは、転職の必要がなかった上司・先輩とは違う不確実性の時代に生きている。

今後は「転職したことがある」ということ自体、つまり転職の経験や転職のためのスキルが、ビジネスパーソンとして生き抜くための必須スキルとなっていくことだろう。

 

すでに20代で複数回転職しているという方は、「20代の転職回数は何回までOK?最大手の人事面接官が本音で回答」を参照してほしい。

キャリアアップである限り、基本的に転職回数は気にしすぎなくていい。

 

また、具体的かつ全体的な転職の進め方については、「【プロ直伝】初めての転職の進め方、そのすべて」に記載した。

転職サイトや転職エージェントの選び方については、「プロのおすすめ転職サイト。この3つだけで転職成功率を2倍に」や「転職エージェントの選び方の教科書」を参考にすると良いだろう。

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