20代で2回転職した人事面接官が語る、20代転職にデメリットがない理由

悩めるビジネスウーマン
現在、26歳です。旅行業界に憧れて就職ランキングの上位に来るような旅行代理店に新卒で就職したものの、入ってみると結構ブラック。
先日、上司に辞表を出そうとしましたが、「20代でスキルもついていないうちから転職なんて」と止められました。
やはり、20代で転職するのは厳しい(早すぎる)のでしょうか?

 

今回のテーマは「20代の転職」である。

こんなことを言うと転職エージェントの回し者だと思われるかもしれないが、筆者の回答は「20代こそ転職すべき」である。

 

根拠は記事内で述べるが、今からの時代において、20代での転職にはデメリットがほぼないと言っていい。

実際に20代で2回転職し、その度に年収を上げた経験、そして大手日系企業の面接官として20代転職希望者への経験者面接を毎週のように実施してきた経験から回答する。

 

いずれにせよ転職することになる。どうせなら20代がベスト

20代こそ転職、と申し上げた。

しかしながら、20代の方はそう聞くとむしろ不安になるのではないかと思う。

 

現在、20代での転職をやたら勧める風潮がある。

そして、それは多くの場合には転職エージェントの利益につながる。

 

「自己実現、やりがい」は、労働搾取の言葉となり果てている。

現在、20代のビジネスパーソンはかつての日本に存在した「24時間働く企業戦士」像を嫌悪し、本質的な人生の幸せを求める傾向がある。

 

つまり、「転職して、キャリアアップ!」のスローガンに心動かされる20代ばかりではないのだ。

 

そういった事情を全て考慮した後でも、「20代こそ転職」と言い切れるのだろうか?

 

筆者の答えは、「言い切れる」である。

なぜなら、20代の転職にはデメリットがない、もしくは非常に少ないからだ。

 

それはなぜか。一言で言えば、

  1. 今、20代としてこの記事をご覧になっている方は、いずれにせよ全員が転職することになる
  2. そして、どうせ転職するなら20代がベストの時期

 

という理由に基づく。

この記事では上記の1番、つまり「いずれにせよ全員が転職することになる」理由を申し上げたい。

 

20代が結局転職することになる理由1:企業の寿命(ライフサイクル)

一昔前は、企業の寿命(ライフサイクル)は30年と言われていた。

これが意味するのは、「企業より人間の方が長生きなので、一社に依存するべきではない(それは不可能)」ということである。

 

この「企業のライフサイクル」は、年々短くなってきている。

2017年に週刊ダイヤモンドが調査したところによれば、2017年度に倒産した日本企業の平均寿命は23.5年だった。

 

「企業の寿命」は年々短くなっていく方向のトレンドを形成しており、現在20代のビジネスパーソンが経験する企業の寿命は今後さらに短くなっていくと考えられる。

今や、企業は30年すら生きられず、今後その平均寿命は20年を切っていくと思われる。

 

そんな中で、私たちは20代前半から60代半ばまで、つまり40年以上働くのが一般的だ。

つまり、「2社どころか3社以上に務めるのが当たり前になる」と言える。

 

齋藤
この点だけ見ても、「今の20代はいずれにせよ転職を迫られる」といえるのではないでしょうか。

 

20代が結局転職することになる理由2:倒産・経営危機

とはいえ、日本は長寿企業が多く、特に大企業は30年以上にわたり繁栄し続けている企業ばかりである。

大企業にお勤めの方からすると、企業の寿命というものには実感が湧かないかもしれない。

 

しかしながら、リーマンショック以降(もしくは橋本政権での金融ビッグバン以降)、その状況も変化しつつある。

VUCAと言われる変化の時代、中小企業はもちろん、大企業でも経営判断を数回間違えれば、倒産の危機にさらされる。

 

齋藤
VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとったものです。

 

日本の大企業で言えば、東芝、シャープ、そしてオリンパス等が(原因は違うにせよ)経営危機にさらされた顕著な例だろう。

有名な山一証券の例をとるまでもなく、今や大企業でも倒産する時代なのだ。

 

20代が結局転職することになる理由3:リストラ

とはいえ、東芝も、シャープも、オリンパスも、実際に潰れてまではいない。

このことから、大きな企業が倒産までいくのはあまり現実的でないとお考えの方もいることと思う。

 

しかしながら、倒産を避けるため、企業は「リストラ」を行う。

企業としては生き残り策であるが、社員から見ると「切り捨てられる」ということに他ならない。

 

例えば、東芝の連結従業員数を見てみよう。

2014年度末には19.9万人だったが、2018年度末には12.9万人となっている。

 

なんと、たった4年で7万人(約35%)もの雇用が失われているのだ。

事業売却などもあるので、全員が無職になったわけではないが、少なくとも「大企業である東芝との雇用関係はなくなった」ことは間違いない。

 

東芝だけではない。

現在、家族経営的に「従業員をクビにしない」方針の大企業は、日本でもずいぶん減ってきた。

 

筆者自身、リーマンショック後に人事としてリストラクチャリングの仕事に携わったことがある。

会社は生き残るが、人(社員)は生き残れない事例を嫌というほど見てきた。

 

20代が結局転職することになる理由4:企業のポートフォリオ組み換え(事業売却)

絶対に潰れないであろう大企業にお勤めの方で、若くて優秀な方。

そういう方には、倒産もリストラも、自分とは遠い話のように聞こえるかもしれない。

 

齋藤
実は、そういった「大企業の若手エース」でさえ、気にしておかねばならないことがあります。

 

企業は生き残りのために、「ポートフォリオ組み換え」を行う。

要は、事業ごとを切り出して、他の会社(しばしば外資系)に売却するということである。

 

こうなると、売られた側の立場が弱いため、合併後の処遇や人間関係で嫌な目に遭ったり、人事制度が刷新されて給与が下がったりする。

「あなたの方が辞めたくなる」というリスクもあるということだ。

 

人事として何度も見ているので言うが、「ポートフォリオ組み換えによる事業売却」からは優秀な人ほど逃げられない。

「事業売却契約で必須となる人員リスト」は事業譲渡の契約に含まれるので、他の部門に異動して逃げる、ということができない。

 

個人としては、大人しく事業ごと売却されるか、転職・起業するかの判断しかないのである。

これも経営判断としてはよくあるし、優秀な人間でも逃げられないので、大きなリスクかと思う。

 

20代が結局転職することになる理由5:AI/シンギュラリティ

最後に、最近よく話題になる話をしよう。

つまり、今のあなたの仕事がAI(人工知能)に置き換えられてしまうのではないか、という点についてである。

 

多くの知識労働者は、「自分の仕事は人間しか出来ない、単純作業と一緒にするな」と思うだろう。

 

しかしながら、世界が2045年頃に「シンギュラリティ」を迎えるとされている点は無視できない。

シンギュラリティ(技術的特異点)は、人工知能の権威であるレイ・カーツワイル博士が唱えた概念であり、簡単に言えば「AIが人間の知能を上回る時点」のことである。

 

正直想像もつかない部分があるが、こうなってしまうと、むしろ知識労働者の方が失業しやすくなると思われる。

直近の話題ではないものの、人類全体の働き方が一変する可能性がある。

 

現在20代の方であれば、25年後に起きると言われるシンギュラリティも考慮しておく必要があるだろう。

 

まとめ

さて、ここまで「今の20代にとって、転職は『いつかしなければならないもの』である可能性が非常に高い」ということを説明してきた。

これに対して「ふーん、そうかもな」と思った方は、なるべく早くにした方がいいことがある。

 

それは、良い転職エージェントや良い求人をストックし始めることだ。

これには時間がかかるので、常に行っておくに越したことはない。「ダラダラ転職で質の良い求人を自動的にストックする方法」を参考にしてほしい。

 

次の(続きの)記事では、もう一つの「どうせ転職しなければならないなら、20代がベスト」という話をしたいと思う。

「いつかは転職の必要がある」「どうせ転職するなら20代がベスト」の両方が揃ってはじめて、「20代こそ転職すべき」と論理的に帰結するからである。

 

とはいえ、「いつかは転職の必要がある」という今回の話よりは「どうせ転職するなら20代がベスト」の方が分かり易いので、不要という方もいるだろう。

よって、別の記事に分けて次の記事で説明する。

 

次の記事はこちら:20代での転職は厳しい?「ありえない」と面接官が言い切る理由5つ

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