そこで突然気になってきたのが、私の腕時計です。はっきり言ってあまり腕時計には興味がなく、大学生の時に買ったデジタルの(サラリーマンっぽくない)腕時計しかもっていません。
面接でおすすめの腕時計はありますか?
今回は、「面接における腕時計」がテーマである。
正確に回答すると「会社・業界による」が答えになるが、ざっくり答えるならば「腕時計なんて見ていない」となる。
初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。
筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。
- 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
- 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
- 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
- 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験
この記事を読むことで、面接にふさわしいとされる腕時計の範囲が分かり、安心して面接に臨めるようになるだろう。
「面接でおすすめの腕時計は?」に2秒で答える
冒頭にも申し上げたが、2秒でお答えする。
面接でおすすめの腕時計はない。
基本的に何でも大丈夫だ。
着けていなくても大丈夫である。
これが答えである。
その理由は、ほとんどの面接官は腕時計なんて見ていないからである。
面接における腕時計の「都市伝説」
以下のような「(一般的に言われている)面接における腕時計のルール」を、気にする必要はない。
腕時計自体を見ていないのだから、当たり前だろう。
- 腕時計の着用は社会人としてのマナー。着けていないと印象が悪くなる
- 国内ブランドの、高すぎず安過ぎず、シンプルなものにすべし
- 文字盤はシンプルに。色は白か黒、青を選ぶべし
- 時計はアナログ時計で、三針かクロノグラフのものを選ぶべし
これらはいわば「都市伝説」であり、気にしすぎである。
面接官はなぜ腕時計を見ないのか
しかしながら、そもそもなぜ面接官は腕時計を見ないのだろうか?
毎週のように面接官をしていた筆者を含め、面接官が転職希望者の腕時計を見ない理由はシンプルに以下の通りである。
- 仕事の能力に直接関係ないから
- 面接中の面接官は結構忙しいから
まず大前提として、腕時計と仕事の能力は関係ない。
「日本社会の社会常識への従順度合い」程度は分かるかもしれないが、不確実性が高く、競争の激しい今の時代にはその指標はあまり意味がないだろう。
次に、面接官とは「仕事が出来る人間を見極めて採用しようとしている人」である。
面接官経験がある方であればお分かりになると思うが、仕事が出来るかどうかを30分~60分程度で見極めるのは非常に大変な仕事である。
人事のプロフェッショナルが本気で見極めても、たまに失敗する。
「面接は第一印象で分かる」などと根拠のない自信を持ってハロー効果(認知バイアス)に引きずられる面接官も多い。
そういったバイアスを避け、本気で、かつ短時間で人物を見極めようとすると、仕事の能力に関係ない部分を見ている余裕などないのである。
以上のように、「社会常識とされるものへの従順度合い」程度しか分からない点に注目して加点したり減点したりする余裕は、企業としても面接官としてもないのである。
ただし、面接官が2人1組の場合には、どちらか片方にはある程度余裕があるのではないか、と思われる方もいるかもしれない。
しかしながら実際には、面接終了後の面接官同士のすり合わせで「腕時計が~」というような会話になったこと、それがメモに残ったことは、見たことがない。
時計好きの面接官はどうなのか
最後に、個人的な話で恐縮だが、もう一つだけ述べる。
筆者は腕時計が結構好きである。
例えばカルティエの「タンク」というシリーズの時計であれば、それが「ルイ」なのか「ソロ」なのか「MC」なのか「フランセーズ」なのか「アメリカン」なのか見れば大体分かる。
そんな時計好きの筆者も、本気で面接官をやっているときに相手の腕時計を見た記憶がない。
実際には目に入っている腕時計も、「不要な情報」として意識されず切り捨てられているのだ。
これはあくまで一例だが、それくらい「面接においてはどうでもいいこと」なのである。
それでも腕時計に気を付けるべき面接シチュエーション
ここまで「基本的に、腕時計は面接に関係ない」と書いてきた。
「基本的に」と記載したとおり、面接において腕時計が見られている場合もないわけではない。
ここからは、腕時計に気を付けるべきシチュエーションをご紹介する。
時計業界、もしくは非常に固い業界(銀行等)
筆者には、かつて時計業界(シチズンやセイコーエプソン等)から来た部下がいた。
その方は常にお洒落な時計を着けており、面接でも相手の時計を結構見ていた。
当たり前といえば当たり前だが、時計業界では腕時計は結構見られている。
きちんと意識的に見られているということは、ある程度「評価に影響がある」ということである。
その他、銀行で人事をしている知人からも「見ている」と聞いたことがある。
良い時計をしているかどうかというよりも、そもそも腕時計を着けているかどうかや、派手ではないかどうかを見ているようだ。
銀行の様に「社会常識への従順度合い」を重視する会社を受ける場合には、素直に腕時計の一般的なルール(以下に再掲)を守ったほうが良いだろう。
- 腕時計の着用は社会人としてのマナー。着けていないと印象が悪くなる
- 国内ブランドの、高すぎず安過ぎず、シンプルなものにすべし
- 文字盤はシンプルに。色は白か黒、青を選ぶべし
- 時計はアナログ時計で、三針かクロノグラフのものを選ぶべし
今後、日本全体が「良いものを安く作る」ことにおける競争性を益々落とし、「新しいものを生み出す」必要が生じる中で、「社会常識への従順度合い」を重視する業界や会社はそもそもあまりお勧め出来ません。
派手すぎる時計・子供用の時計
「面接官は腕時計を見ていない」と申し上げた。
前述したように視界には入っているはずなので、正確に言えば、見ていないのではなく「不要な情報なので、無意識のうちに情報として捨てている」ということになる。
しかしながら、あまりに常識から外れているため「無意識のうちに捨てる」ことが難しくなってくるケースがある。
それが、派手すぎる時計や子供用の時計である。
文字盤・ベルトなど全てが金(いわゆる金無垢)のロレックスや、(小学生が着けていそうな)キャラクターものと一目で分かる時計は目立ちすぎるので気づく。
ほぼお目にかからないし、気づいたからと言って不採用とはしないが、「社会常識がなさすぎる可能性」へのアテンションレベルが上がる。
つまり、「レベルは高いが、個性的すぎてうちの会社で採るか迷う」と判断している時に、不採用とする最後の一押しになることは十分にあり得る。
「社会常識に従順」である必要はないが、「社会常識がなさすぎる」と思われるのは問題である。
それは「空気が読めなさ過ぎて取引先や同僚とうまくやれない」と判断されるということであり、もしその判断が正しいとしたら、仕事の能力に関わってくるためである。
クリエイティブ系の職種でもない限り、あまりに変わった時計は避けた方が無難であるというのも、また事実である。
まとめ
以下の場合を除き、新卒採用の面接でも経験者採用の転職面接でも、腕時計は気にしなくてよい。
- 時計業界に転職(就職)予定である
- 非常に固い業界(銀行等)に転職(就職)予定である
- 派手すぎる時計や子供用の時計しか持っていない
腕時計を気にするよりは、以下の記事のような基本を熟知した方が面接突破率は跳ね上がる。
>>面接官はどこを見ている?実際の面接員向けトレーニングから考える
とはいえ、腕時計ならまだしも、さすがにスーツがブカブカ、ボロボロ、までいくと危険である。
以下のようにリーズナブルで質が高いものもあるので、ビジネスパーソンならオーダースーツの1着や2着は持っておくべきだ。