新卒 から ずっと 同じ 会社

新卒からずっと同じ会社だとヤバいのか?メリットとデメリットを人事プロが解説

悩めるビジネスパーソン

新卒からずっと同じ会社なのですが、ヤバいでしょうか?
中途入社者を見ていると、非常に専門性が高く色々なやり方を知っているなと感じます。
一方で、新卒からずっと同じ会社にいるおじさん・おばさんたちは、その人たちを批判するだけで自分達は何も出来ません。
こういった状況から、新卒からずっと同じ会社だとヤバいのではないかと思い始めました。
新卒からずっと同じ会社にいることのメリットとデメリットを教えてください。

 

今回のテーマは「新卒からずっと同じ会社にいることのメリットとデメリットである。

結論から申し上げると「新卒からずっと同じ会社にいることは、ヤバいとまではいかないがリスクが高くなってきている。メリットもあるがデメリットの方が多いため、双方を網羅的に紹介していく」という内容になっている。

 

齋藤
本記事の前提として、20代から40代までの年代を対象としています。
50代であれば逃げ切れる可能性が高いため、今までずっと同じ会社だったのであれば今後も同じ会社にいた方が良い可能性が高いです。

 

初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。

筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。

  • 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
  • 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
  • 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
  • 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験

 

この記事を読むことで、新卒からずっと同じ会社にいることのメリットとデメリットが分かり、今後のキャリアプランを立てやすくなるだろう。

 

【結論】新卒からずっと同じ会社だとヤバいのか

まず、結論から行こう。

新卒からずっと同じ会社にいることはヤバくはないが、リスクが高い

 

以前、「転職経験者の割合は56.6%。ただし今後は80%を超えていく見込みである理由」という記事を書いた。

上記の記事の中で、40代の75%に転職経験があるため、現在の20代~30代が転職をする確率は8割を超えるであろう、と述べた。

 

このことから、新卒からずっと同じ会社に居続けるという人は、今後は2割以下の少数派になってくるということが分かる。

論理的に「少数派だからリスクがある」とはならないのだが、転職経験者が増えていくのは「会社の寿命の短期化」「キャリアの長期化」「転職を前提とした人事制度の導入」等の多様な要因による、いわば「時代の流れ」である。

 

よって、この時代の流れに逆行するようなキャリアプランの練り方には、リスクがあると言えるだろう。

具体的なリスクについては、本記事の後半にて「新卒からずっと同じ会社であることのデメリット」として詳しく紹介していくが、項目だけ先に述べておくと以下の通りである。

  1. 複眼的な視点を持てず、視野が狭くなる
  2. 適応力(ラーニングアジリティ)が低くなる
  3. 専門性が培われにくい
  4. 天職に出会いにくい
  5. 転職が年々しにくくなり、倒産や降格に弱くなる
  6. 現在抱えている不満と付き合い続けることになる可能性が高い

 

新卒からずっと同じ会社に居続けることのメリット

新卒からずっと同じ会社に居続けることには、メリットもある。

新卒からずっと同じ会社に居続けることのメリットは、以下の通りである。

  1. 収入が見積もりやすく、マネープランが立てやすい
  2. 慣れた環境で働ける
  3. 人間関係で優位に立ちやすい
  4. 出世の上限がなくなる

 

上記について、それぞれ解説していく。

 

収入が見積もりやすく、マネープランが立てやすい

同じ会社に勤務し続ければ、現在の人事制度・給与制度のもとで昇給していくことができる。

仮に人事制度が変わる場合にも、現在の人事制度をベースとし、それを改変する形で変更が行われる可能性が高いため、急な激変は起こりづらい。

 

これはどういうことかと言うと、生涯年収が計算可能であるということである。

自分がどの程度昇進出来るのかは、30歳くらいになれば大体分かってくる。その昇進および昇給カーブをもとに生涯の年収を見積もることができる。

 

これはマネープランが立てやすいとも言えるし、それを元にしたライフプランが立てやすいとも言える

 

慣れた環境で働ける

一般的に、新卒で入社した会社が、社会人としての常識や、働き方を規定する

 

転職をすると「自分の当たり前が通用しない」ということに悩まされることになるが、新卒からずっと同じ会社にいればそういった目には合わない。

慣れた環境で働くことができ、常識が通用しないことへの強いストレスを感じることなく会社員生活を過ごすことが出来る。

 

齋藤
「社会人になって最初の会社で正しいと教わったこと」が否定される機会を持たずに済むということです。

 

人間関係で優位に立ちやすい

新卒からずっと同じ会社にいると、同期や先輩といった人間関係が固定されやすい。

これには嫌な部分もあるだろうが、中途入社の人間と比較すると人間関係で優位性があるとも言える。

 

新卒からずっと同じ会社にいることによって築き上げた信頼の積み重ねや挨拶のできる関係性等は、中途として転職すると完全にリセットされる。

転職した者にしかありがたみがわからないメリットかもしれないが、実はこれは非常に大きい。

 

出世の上限がなくなる

新卒からずっと同じ会社にいる人間を生え抜きと呼ぶことがある。

この生え抜きしか社長になれない(少なくとも今まではなったことがない)という会社は、実はかなり多い。

 

齋藤
このような会社は日系企業に多いです。

 

新卒からずっと同じ会社にいて、最速のペースで出世していけば、社長や役員になることが出来る。

一方、中途入社の社員だと「部長までしかなれない」「役員までしかなれない」等のガラスの天井があることも多い。

 

齋藤
大企業の子会社は別です。こういった会社では、社長や役員が大企業から出向で来ることが多いです。
一方で、それ以外の会社では、内部昇進で社長になるというのが一般的です。

 

新卒からずっと同じ会社に居続けることのデメリット

新卒からずっと同じ会社に居続けることのデメリットは、以下の通りである。

  1. 複眼的な視点を持てず、視野が狭くなる
  2. 適応力(ラーニングアジリティ)が低くなる
  3. 専門性が培われにくい
  4. 天職に出会いにくい
  5. 転職が年々しにくくなり、倒産や降格に弱くなる
  6. 現在抱えている不満と付き合い続けることになる可能性が高い

 

上記のデメリットについて、それぞれ解説していく。

 

複眼的な視点を持てず、視野が狭くなる

既に述べたが、新卒で入った会社の常識を疑わずに済むということは、新卒からずっと同じ会社にいることのメリットである。

逆に言えば、新卒からずっと同じ会社にいると、新卒で入った会社の常識を絶対だと信じこみながら生きていくことになる。

 

新卒からずっと同じ会社にいる人は、自分の常識を疑う機会を持ちづらい。

よって、多様な会社を渡り歩いた人間が持つ複眼的な視点を非常に持ちづらく、視野が狭くなりがちである。

 

齋藤
ただし、生え抜き社員であっても非常に優秀な人は、自身の視野が狭いということを認識し広げる努力をした結果、中途入社者よりも圧倒的に広い視野を持っていることが多いです。こういう人間が、将来的に役員や社長になります。

 

適応力(ラーニングアジリティ)が低くなる

新卒から同じ会社にいる人にとっては、大学(大学院)卒業後、新卒で会社に入った時が最大のカルチャーギャップを味わう機会になることが多い。

 

これ以後は(会社員としては)大したカルチャーギャップを味わうことなく過ごすこととなりがちである。

このことにより、環境に適応する能力(ラーニングアジリティ)があまり成長しないことが多い。

 

齋藤
これを避けるために、エース社員には職種転換や大抜擢、海外赴任等の修羅場経験を積ませる育成が行われるのです。

 

専門性が培われにくい

本来、専門性とは会社が変わっても使えるもののはずである。

しかし実際には、ある会社でしか通用しない業務プロセス・業務知識を専門性だと思っている人は多い。

 

新卒からずっと同じ会社にいると、あるスキルが専門性なのか、それとも単なるその会社特有のやり方なのかが分かりづらい。

一方で転職を経験していくと、渡り歩いた複数の企業で使えるスキルを専門性だと正確に認識することができ、ひいては専門性を蓄積していくことが出来るようになる。

 

一つの会社にいてもある程度の専門性は身につく。

しかしながら、それと同時にその会社でしか通用しない「専門性もどき」の習得にも時間を割いてしまいがちである。

 

天職に出会いにくい

ドラッカーも言っている通り、最初の仕事はくじ引きである。

最初の仕事はくじ引きである。最初から適した仕事につく確率は高くない。
しかも、得るべきところを知り、向いた仕事に移れるようになるには数年を要する。

P.F.ドラッカー「非営利組織の経営」

 

たった1回のくじ引きで当たりを引き当てたと認識しているのであれば良いが、そうでない場合には、新卒からずっと同じ会社にいることで天職を探せていない可能性がある。

通常、様々な反省を活かしながら、何度かくじを引かないと当たりは引けないはずなのである。

 

転職が年々しにくくなり、倒産や降格に弱くなる

新卒からずっと同じ会社にいると、年々転職がしにくくなっていく

特に同じ会社に10年、15年と在籍していると、面接官の目もかなり厳しくなってくる。

 

転職がしにくくなると、当然ながら在籍する会社への依存度が上がる。

依存度が上がっている中で、会社の倒産や自身の降格・リストラ等があると、どうしようもなくなってしまうことがある。

 

齋藤
いわゆる「詰んだ」というような状況になってしまうこともあります。
現在の人事制度では降格やリストラ等があり得なくても、人事制度自体を変更されてしまうことがあります。

 

現在抱えている不満と付き合い続けることになる可能性が高い

現在、職場で何の不満も抱えていないという人は少ないだろう。

新卒からずっと同じ会社におり今後もい続けるとなると、現在抱えている不満と付き合い続けることになる可能性は高い。

 

転職では、以下のような不満を全て解決し得る。ずっと同じ会社に居続けるというのはこの機会を失うということに他ならない。

  1. 年収や肩書、市場価値を上げたい
  2. やりたい仕事がある
  3. 人間関係が悪い
  4. 会社の将来性に不安がある
  5. 職種の将来性に不安がある
  6. 社風が合わない
  7. ブラック企業である、ハラスメントがある
  8. 幅広い、もしくは深いスキルや経験を積みたい
  9. ローテーションにより専門性が身に付かない
  10. 単純作業やムダな業務が多く、つまらない
  11. ヒエラルキーがあり、若手である自分の意見が受け入れられない
  12. 働かない人間や無能な人間がおり、腹立たしい
  13. 飲み会やイベントがくだらない
  14. 評価や人事制度に不満がある(年功序列等を含む)
  15. 勤務地や転勤制度に不満がある
  16. 著しくヒマである
  17. 著しく忙しい(残業が多い/休日が少ない)
  18. 介護や子供の教育などの個人的な事情がある

 

まとめ

新卒からずっと同じ会社にいることは、全く悪いことではない。しかしながら、今後はリスクが高くなってくる選択肢だと言える。

今のままで大丈夫かという疑問を持っている方は、まずは転職サイト・エージェントに登録して市場価値を確認してみるといいだろう。

 

転職サイトや転職エージェントは無数にあるが、それらを紹介するランキングやおすすめサイトの信憑性は低く、どのサイトに登録すべきか悩む方は多い。

迷ったら、年代でも性別でもなく、シンプルに年収で決めるのがおすすめである。

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