パーソルキャリアで働いています。
周りには良い人が多いのですが、給料が低くてノルマもキツいため、40代、50代になっても続けているイメージが持てません。
パーソルキャリアを辞めることについて、人事のプロとしてはどう思われますでしょうか?
今回は日本の総合人材サービス会社である、パーソルキャリア株式会社について扱う。
「パーソルキャリアを辞めたい方の教科書」と題して、元・パーソルキャリア社員の退職理由や辞めた後の後悔、市場価値、進路に至るまでを記載していく。
初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。
筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。
- 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
- 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
- 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
- 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験
この記事を読むことで、パーソルキャリアを本当に辞めても良いのかどうかの決断が容易になり、退職後のキャリアが明確化することを約束する。
パーソルキャリアは給与以外は良い会社か?
まず、パーソルキャリアを辞めたい人は多いのかどうかについて記載する。
次項の内容と合わせて結論を言えば、パーソルキャリアは良い面も多い会社だが、労働対報酬のコスパが悪く、長く働ける環境ではないので辞めたい人も多い会社である。
OpenWork(旧・Vorkers)の口コミから分かるパーソルキャリアの組織風土を見てみよう。主に「辞めたい」につながるネガティブなコメントを抽出している。
- ハードワークが好きな人が多く、常に成長を求められる風土
- 新卒文化が強く、中途社員には社風に馴染めない方もいる
- 飲み会が多め(飲み会のためのインセンティブがある)なので、嫌いな人には向いていない
- ノルマ、目標数値が多いため、やりがいを見失いがち
上記にはネガティブなコメントを中心に抽出しているが、実際にはポジティブなコメントの方が圧倒的に多かった。
次に、パーソルキャリアについて、OpenWork(旧・Vorkers)やリクナビ等のデータから分かることを見てみよう。
- OpenWorkによると、平均残業時間が34.0h、有給休暇消化率が58.1%と、人材サービス業界の平均よりもやや残業が多く、有給消化率は平均的
- OpenWorkの組織風土スコアによると、人材サービス業界の平均と比べ、「待遇面の満足度」のみが平均と同等、他は全て平均より高め
- 有価証券報告書によると平均年齢は32.1歳、平均勤続年数は非公表だが数年程度の短さであると思われる。日系大手には珍しく、年齢構成は若手に偏っている
- 実際に、Google検索における「パーソルキャリア 辞めたい」の検索数は多い(月あたりで数百回検索されている)
パーソルキャリアを辞めたい人は検索数からすると多そうだが、OpenWorkの組織風土コメントからはその要因があまり見えてこなかった、というのが正直なところである。
恐らくそのヒントは平均勤続年数の短さや待遇面の満足度にある。その仮説を持ちつつも、このまま退職理由を見ていきたい。
OpenWork(元・Vorkers)から見るパーソルキャリアの退職理由
各企業の退職者による口コミ情報サイトであるOpenWork(元・Vorkers)には、現時点で973件のパーソルキャリアの退職理由が記載されていた。
ここからサンプル抽出して分析してみると、多い順に以下の退職理由となった。
- 給料が低い
- 業務やノルマが多い
- 成長できない
- 人材業界の将来性に疑問
- その他(未熟な意識高い系の人が多い、総合職としての転勤に限界、ビジョンが抽象的でついていけない、等)
ある意味で、予想通りの結果となった。まとめると、以下のようなロジックからパーソルキャリアの退職者は多い。
- 同業他社に比べ待遇が良くない割に、業務量は多い
- さらに業務量をこなしたからといって成長できず、10年目を1年目が抜くのも容易な業務である(積み上がらない仕事)
- 人材業界自体のビジネスモデルが、数十年もの間全く変革・成長していない
- 上記の環境から、40歳を超えて働く人が極端に少ない
社員の人柄や風通しは良いが、どこにでも転職できる人間が長く働くことはない会社だと言える。
逆に言えば、若いうちに修行として働くのであればアリな会社だと言えるだろう。
パーソルキャリアを辞めたら後悔するか
パーソルキャリアを辞めたいという方の中には「辞めたら後悔するのか?」が気になる方もいるだろう。
結論から言えば、「後悔する可能性は低い」が筆者の回答である。
辞めても後悔する可能性が低いという根拠は、以下である。
- 辞めたい理由が「給料」や「労働時間」と明確かつ本質的であるケースが多い
- パーソルキャリアが所属する人材業界では、給料が上昇し、なおかつ労働時間が短くなる転職がしやすい
- パーソルキャリアが所属する人材業界は人材の流動性が高いため、転職して失敗しても(出戻りを含めて)再転職がしやすい
- 人材業界出身者は、他の業界の人事職(特に採用系のポジション)に転職しやすい
元・パーソルキャリア社員の市場価値と退職後の進路
さて、次は元・パーソルキャリア社員の市場価値と退職後の進路についてである。
実は市場価値というものは、現在の在籍会社だけで判定するのは難しい。
「【ミイダス診断は嘘】転職の市場価値はエージェントの求人で判断すべき理由」にも記載したが、本当の市場価値は、転職エージェントに登録し、エージェントが持ってくる求人で判断するしかない。
とはいえ、目安としての市場価値を、平均年収等から考えておこう。
まず、パーソルキャリアの平均年収はOpenworkで526万円である。
これは人材業界では平均的な水準であるが、高めの同業他社、例えばリクルートやJACリクルートメントからすると低く、日本全体での大企業の平均年収705万円と比べても低い。
次に、実際に書類選考や面接選考をしている身からすると、パーソルキャリアは以下のランクで見た場合の「ランク2」の社格である。
- ランク3:就職人気ランキング常連の日系大手および外資系大手(日立、トヨタ、三菱UFJ銀行、マイクロソフト、ジョンソンエンドジョンソン、等)
- ランク2:ランク3企業の子会社、日系大手、多くの外資系、ベンチャー企業(日立システムズ、アイリスオーヤマ、グラクソ・スミスクライン、ぐるなび、等)
- ランク1:中小企業を中心とした、上記に入らない全ての企業
日系最大手グローバル企業、例えばトヨタやソニーでは(学歴や実績によって)書類選考に通る場合も落ちる場合もある、という感じであろう。
とはいえ、「成果へのこだわり」「当事者意識」「激務への耐性」など評価できる面も多いため、社格に比して市場価値は高めである。
なお、筆者は「あまり若手が成長しない年功序列の日本企業」出身者に対してはかなり厳しいコメントをしているため、パーソルキャリアはかなりマシなほうである。
具体的には、「その会社にいた期間が長ければ長いほど他社で通用しなくなるので、脱出するなら早めである」のようなコメントである。
パーソルキャリア社員の方が選ぶべき転職エージェント・転職サイト
パーソルキャリア社員に限ったことではないが、希望する進路によって、選ぶべき転職エージェントや転職サイトは異なる。
釈迦に説法かもしれないが、良い転職エージェントの条件や出会い方については以下の記事で解説しているので、必要に応じて参考にしていただければと思う。
>>転職エージェントの選び方の教科書|出会い方、絞り込み方、付き合い方まで
大きくは以下の4つに分かれるであろう転職希望先別に解説している。
- 大企業への転職を希望
- 中小企業への転職を希望
- ベンチャー企業への転職を希望
- 外資系企業への転職を希望
まとめ
若いうちにパーソルキャリアを辞め、転職したいと思っている社員は多い。
実際、パーソルキャリアでの経験は人材業界でも他業界の人事としても、ある程度評価される傾向にある。よってパーソルキャリアで数年働いたら転職する、というのは良い考えであると思う。
転職活動の一歩目をどのように踏み出すべきか、ためらっている方はまずこちらの記事を見ておいてほしい。
パーソルキャリアに勤務するあなたはよくご存知だと思うが、あなたの望む最高の求人は、あなたが転職活動を始めてすぐに入ってくるものではない。
そこで「転職サイトに登録し、あとは放置して良い求人や良いエージェントがストックされるのを待つ」転職活動の手法である、ゆるゆる転職が効果を発揮する。
未来の自分のために、「今」行動してはいかがだろうか。