おおむね問題なく進んだのですが、一つだけ大きな懸念があります。
それが、2回ほど「気まずい沈黙の時間」があったことです。
面接での沈黙はアウトですか? 不安なのですが、合格の可能性は残っているのでしょうか?
今回のテーマは、「面接での沈黙と、その合否への影響」である。
結論から言えば、ほとんどの場合に合否には影響しないので、安心してよい。
初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。
筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。
- 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
- 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
- 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
- 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験
この記事を読むことで、面接における沈黙を面接官がどう見ているかが分かるとともに、沈黙に対する対策も知ることが出来る。
【結論】30秒の沈黙でもない限り合否に影響なし
結論から述べよう。
面接で沈黙が続いてしまったところで、合否に影響はない。沈黙以外の要素で合格なら合格だし、不合格であれば不合格である。
あなた自身が面接官の質問への回答を考える時間をとっているときも、異常に長い時間でなければ、答えを熟慮することは全く問題ない。
もちろん20~30秒とかの沈黙であれば別ですが、よろしければ今、20秒を計ってみてください。
相当長い沈黙であり、面接で実際に起こることはほぼありませんので、気にしなくて良いです。
その理由について詳しくは後ほど説明するが、そもそも「面接で情報を引き出す側」なのは、主に面接官である。
あなたについて根掘り葉掘り質問し、自社に必要な人材なのか、それとも利益をもたらさないボンクラなのかを必死で見極めているのは面接官なのだ。
もっと言えば、沈黙などしている場合ではないのは面接官の方なのである。
以上が、冒頭のご相談への回答である。
沈黙で不合格となる、たった2つの例外
ただし、沈黙が不合格のサインとなっている「例外的な場合」もない訳ではない。
筆者の経験もしくは見聞きした範囲では、例外は2つある。
【1】あなたが何を言っているのか、よく分からず沈黙している場合
これは筆者の実体験である。
とある企業で面接官をしていた際、実績や志望動機、たとえ話などの論理構成がことごとく破綻している人に会ったことがある。
あまり記憶が定かではないが、筆者はその際、以下のようなセリフを連発していたと思う。
- えーーーーっと、それでは質問を変えますね。
- 少し難しかったので、もう一度かみ砕いてお願いできますか?
- なるほど・・・周りが○○しているとあなたも○○しなければならないという点について、もう少し具体的にご説明頂けますか?
- それはつまり、○○ということでしょうか?先ほどは△△というお話もあったのですが、その関係としてはどういう理解をすればよろしいですか?
予定していた面接時間は30分間だったのだが、3分程度で不合格を決め、その後は終盤までずっと上記のような切り返しをしていた。
相手が発言するたびに「?」が生まれ、それに対して全てツッコミを入れていたイメージである。
そのため、最後には私も相手を詰めている(いじめている)ような気分になりツッコまず、沈黙が訪れた記憶がある。
【2】沈黙により志望者を試している場合
近年めっきり減ったが、圧迫面接というものがある。
面接においてストレスを与え、志望者の「業務におけるストレス耐性」を見るというものである。
なお、私自身は、圧迫面接を受けたことも行ったこともありません。
それに近い話なのだが、着席後に面接官が30秒間をストップウォッチで測り、その間に話さなければ「自発性なし」として不合格にする会社があったそうである。
とはいえ、これは筆者の体験ではない「又聞き」であり、明確な企業名は知らない。そんな会社は存在しない可能性もある。
ただし、あなたが「面接での沈黙」を気にしているように、通常の人間は長い沈黙を「気まずい」と思うものだ。
その「気まずい」という状況をきちんと打破しようとするか、試す企業がある可能性はあるだろう。
面接での沈黙はなぜ起こるのか
次に、沈黙が起こる理由について記載する。
沈黙が起こる理由は、以下の3つである。
- 面接官の性格によるもの
- 面接官の質問切れ/機転の利かなさによるもの
- あなたの質問切れによるもの
それぞれ簡単に補足しよう。
【1】面接官の性格によるもの
まず①だが、沈黙が起こった原因は面接官の性格である可能性がある。
沈黙をどの程度気にするかは人による。気にする人からすると信じられないかもしれないが、気にしない人は本当に気にしない。
本来、沈黙を破るべきは、あなたを見抜こうと色々な質問をする役目である「面接官」である。
沈黙を気まずく思わず、長い時間をかけて次の質問を考えても良いと思っている(やや感受性が低い?)面接官であれば、沈黙が訪れる機会は多いだろう。
【2】面接官の質問切れ/機転の利かなさによるもの
面接官の質問が切れて、かつ思いついていない(機転が利かない)ために沈黙になることもある。
面接官側でも、「もう合格(不合格)を決めたんだけど、まだ時間はあるな、どうしよう。何を聞けばいいだろう」と焦っている場合である。
当然であるが、面接官も人間である。さらに言えば、そもそも人事に優秀な人間が配属されていることは少ない。
また、現場マネージャーが面接官をしている場合、その人は即席の面接官であって、経験が少ないかもしれない。
繰り返すが、実際には「沈黙によって、面接官が慌てている」ということもよくあることを覚えておいてほしい。
【3】あなたの質問切れによるもの
面接の終盤には、いわゆる「逆質問タイム」というものがある。
これは、面接官があなたに「何か質問はありますか?」と質問をうながしてくる時間である。
この逆質問タイムにおいて沈黙が生じたのであれば、それはあなたの質問切れによるものであろう。
結論を言えば、このケースも問題はない。
ただ、沈黙しすぎるのも良くないので、質問がなくなったら「お伺いしたかったことは質問出来ました」などと述べて終了しましょう。
1つだけしか質問がない場合、「弊社に興味がないのか?」と思われて落とされるのではないか、と心配する方もいるかもしれない。
これに対し、面接官の本音を述べる。
- 時間がかなり余り、かつ質問が1つだけしかないのであれば「弊社への志望度は高くないかもしれないな」と思う可能性はある。だが、それまでに決めていた合格は合格、不合格は不合格である。
- 質問が2つ以上であれば、何とも思わない。
つまり、質問を1~2つほど用意していけばOKということである。
>>【転職面接】逆質問の教科書|おすすめ質問の具体例、一次面接から最終面接まで全網羅
面接での沈黙がなぜ問題ないのか
ここまでにも何回か触れてきたが、「面接での沈黙がなぜ問題ないのか」を記載する。
その根拠は、以下の2つである。
- 沈黙を破るべきは、あなたの適性を見極めたい面接官の方だから
- そもそも面接官は「気まずい沈黙」等の印象で決めないよう訓練されているから
①番については、ここまでで散々申し上げてきたので、割愛させていただく。
②番について、面接官は「第一印象」「見た目」などの印象で判断しないよう、トレーニングを受けている。
それでは何で判断するのかと言えば、「再現性のある行動実績」である。
時々「学生が入ってきた瞬間に合否が分かる」と自慢する面接官を見かけますが、ハロー効果に騙されているだけの人です。
過去、どんな実績を挙げて、その中で何を考え、どう取り組み、何を成し遂げたか。
こういった「再現性のある行動実績」が聞かれなかった面接は、おそらくないはずである。
いずれにせよ、「気まずい沈黙が起こった」は、合否の判定基準に入っていないのだ。
面接官トレーニングや面接官の合否判定基準については「面接官はどこを見ている?実際の面接員向けトレーニングから考える」に詳しく書いた。
必要に応じて参考にしてほしい。
面接での沈黙を防ぐ、4つの方法
ここまでに書いてきたとおり、そもそも「面接での沈黙」は問題ない。
ただし、気まずいのは事実なので、気にしてしまうようであれば、防ぎ方は以下の4つある。
- こちらから質問タイムを差し込んでいく
- 自分について知りたいことは他にないのかを聞く
- メモ用にノートを出す
- 面接を受けまくって慣れる
それぞれ簡単に解説する。
【1】こちらから質問タイムを差し込んでいく
最もオーソドックスな「沈黙を破る方法」がコレだ。
沈黙になってしまったら、「こちらからも質問してよろしいでしょうか?」と述べ、あなたが聞きたい質問をしていく。
「逆質問タイム」の時にする質問を、沈黙の際に使ってしまうイメージだ。
志望者側から質問したら失礼ではないか、と思う方もいるかもしれないが、そんなことは全くない。
会話の中で出てきた疑問についてタイムリーに質問すれば、志望度や理解度、地頭(じあたま)等を示せてプラスになることもある。
【2】自分について知りたいことは他にないのかを聞く
筆者がよくやるのがコレだ。
「私について知りたいことは、他に何かありますか?」と聞く。
やや非常識に聞こえるかもしれないが、これには2つの効果がある。
- 自信を示せる
- 相手が質問する番であると強調できる
まず、多くの志望者が「どんなことを質問されるのか…」と恐れている中、質問を促す志望者は新鮮である。
「もっと質問してください」というのは、何を聞かれても構わないという自信の表れである。
もう一つの効果が、沈黙を破り、かつ「相手からの質問タイムであること」を自然に促せることだ。
面接官を「のむ」(≒気持ちの上で圧倒する)ことが出来る質問なので、使ってみてほしい。
【3】メモ用にノートを出す
これは状況によるが、可能なら「メモしていいですか?」と聞くという方法がある。
これにより、自分のノート+ペンが手に入り、「その場で思いついた質問をメモっておき、質問タイムで使う」や「元々メモっておいた定番の質問をする」ことができるようになる。
これがどういった状況で可能かと言うと、相手が「質問」と言うより「説明」をし始めた時である。
面接官が、会社の説明や業務の説明、仕事論などを語り始めたらしめたもの。
志望度が高い熱心な人間はメモりたくなるものなので、志望度アピールとともにノートとペンを取り出すことが出来るのだ。
かつ、志望者でも3人に1人くらいの割合で、こちらの「説明タイム」にノートを取り出しています。
【4】面接を受けまくって慣れる
ここまで、3つの方法を説明してきた。
しかし、面接経験が少なく、ガチガチに緊張してしまう方には使いにくいかもしれない。
面接はスキルなので、上達にはどうしても「慣れ」が重要なのである。
そういう意味で、沈黙を防ぐための最も基礎的かつ重要なポイントは、面接を多く受けて慣れることだ。
面接に慣れていないのであれば、志望度がやや低いところを含めて、エントリー企業数を増やすことが肝要である。
まとめ
面接における沈黙は問題なく、合否に影響しない。
どうしても気になるという方は、以下の対処法を試してほしい。
- こちらから質問タイムを差し込んでいく
- 自分について知りたいことは他にないのかを聞く
- メモ用にノートを出す
- 面接を受けまくって慣れる
中でも重要なのは、④の面接を受けまくって慣れるということだ。
①~③の方法を知っていても、慣れていなければうまく活用できないためだ。
面接に慣れていないなら、転職サイトや転職エージェントを駆使してとにかく幅広く受けてみよう。
思わぬ自分の可能性が見つかるかもしれないし、そうでなくても面接スキルは向上していく。