転職3ヶ月の壁

転職3ヶ月の壁の攻略法を人事プロが解説

悩めるビジネスパーソン

現在、転職して3ヶ月目ですが、俗にいう「転職3ヶ月の壁」にぶち当たっています。
前職では「良い」とされていた進め方が通じず、人間関係も悪くて馴染めません。
面と向かって言われたわけではないですが、周りから「使えないヤツが入ってきた」と思われているような気さえします。
これは普通なのでしょうか?転職3ヶ月の壁を超える方法を教えてください。

 

今回のテーマは「転職3ヶ月の壁」である。

結論から申し上げると「転職3ヶ月の壁は実在する。その際に辞めるべきかどうかの判断基準と、辞めない場合・辞める場合の対処法を全て教える」という内容の記事になっている。

 

初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。

筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。

  • 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
  • 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
  • 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
  • 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験

 

この記事を読むことで、転職3ヶ月の壁が存在する理由とその対処法が分かり、ジョブホッパーになることなく「良いキャリアを積み重ねる」ことができるようになるだろう。

 

齋藤
人事としてのキャリアの中で、実際に「3ヶ月以内に辞めた人」も多数見てきているので、実体験を踏まえてお伝えします。

 

転職3ヶ月の壁とは?誰もが辞めたくなる魔の3ヶ月目

転職1~2ヶ月目は非常に忙しく、良い面での発見も多い。

だから、多くの人が「転職に失敗した」「また転職したい(元の職場に戻りたい)」と感じ始めるのは、3ヶ月目前後である。

 

齋藤
人によって、転職後の会社に嫌気がさす時期は多少異なります。しかしながら、多くの人が2~4ヶ月目に経験すると思います。

 

これは人事を含む転職・キャリアに関する業界の中で「転職3ヶ月の壁」とも呼ばれており、多くの人がここで「辞めたい」と感じる魔の期間である。

本記事ではこの「転職3ヶ月の壁」について網羅的に解説する。

 

転職2ヶ月~4ヶ月前後で辞めたくなる理由

転職3ヶ月の壁がある理由、言い換えると転職2ヶ月~4ヶ月前後で辞めたくなる理由は、以下の3つである。

  1. ハネムーン期、失望期、ニュートラル期のサイクルがあるため
  2. まだ適応できていないため(仕事の進め方、人間関係、社風、常識、その他すべて)
  3. 転職する前に検討した「メリット」がまだ得られていないため

 

それぞれ解説していく。

 

ハネムーン期、失望期、ニュートラル期のサイクルがあるため

転職して、1~2ヶ月は特殊な期間だ。

 

オフィスや社内ツール、ルールにも慣れず、周りも知らない人ばかり。

今まで「良いやり方」だと思っていたことが、突然「周りのやり方と違う」に変わってしまうこともある。

 

その一方で、新鮮さもある。

今までの会社と違う「良い面」もあり、新しい会社生活におけるアドレナリンの放出も相まって、「あっという間」であることが多い。

 

ハイテンションで過ぎることの多い1~2ヶ月目だが、3ヶ月目くらいから様子が違ってくる。

良い面には慣れるが、悪い面には慣れないのである。

 

齋藤
俗にいう「美人は三日で飽きる」と同じで、人間は良い面の方に慣れるのが早いです。

 

ここまで説明してきた移り変わりにより、転職後にはある種の「サイクル」が存在する。

  1. 転職直後で士気も高く、良いところばかりが見える「ハネムーン期」
  2. ハネムーンから現実に戻り、逆に悪いところばかりが見える「失望期」
  3. 良いところ、悪いところが双方、冷静に見えるようになる「ニュートラル期」

 

「ハネムーン期」や「失望期」の長さは人によるが、多くの場合2~4ヶ月程度である。

 

つまり、ハネムーン期から失望期に変わるのは、概ね「2~4ヶ月後」になる。

悪いところばかりが見える「失望期」への移行こそが、「転職3ヶ月の壁」の正体なのである。

 

まだ適応できていないため(仕事の進め方、人間関係、社風、常識、その他すべて)

人間が新しい環境に適応するには、時間がかかる。

たとえ同業種・同職種であっても、転職したら仕事の進め方、人間関係、社風、常識、その他多くのことが違っているはずである。

 

齋藤
オフィスでの挨拶、ランチの取り方、会議の準備度合い、パワポ資料のつくり方、発言の仕方、上司への気の使い方まで、多くのことが多かれ少なかれ違うはずです。

 

筆者自身も4回転職をしているし、外資を渡り歩く人間も山ほど見ているが、3ヶ月で完全に適応した人は見たことがない。

3ヶ月前後は、前項で述べた通り「嫌な面だけが見える時期」であると同時に、「新しい環境に適応できていない」時期でもあるため、壁を感じやすいのである。

 

齋藤
新しい環境に適応した行動を意識してとるのに「半年~1年」、違和感を覚えずに自然にするまでに「2~3年」かかると思います。

 

30代前半までであればまだしも、30代後半からの転職だとラーニングアジリティーも落ちており、さらに適応に時間がかかる。

「転職3ヶ月の壁」も、より強固で高い壁として立ちはだかることが多い。

>>32歳までに1度は転職すべき8つの理由

 

転職する前に検討した「メリット」がまだ得られていないため

転職を決めた時は喜んでいたが、いざ転職してみると思い描いていた理想と違う。

そう感じる理由の一つは、「転職する前に検討したメリットがまだ得られていないため」かもしれない。

 

人が退職する理由(転職する理由)はたくさんある。

  1. 年収や肩書、市場価値を上げたい
  2. やりたい仕事がある
  3. 人間関係が悪い
  4. 会社の将来性に不安がある
  5. 職種の将来性に不安がある
  6. 社風が合わない
  7. ブラック企業である、ハラスメントがある
  8. 幅広い、もしくは深いスキルや経験を積みたい
  9. ローテーションにより専門性が身に付かない
  10. 単純作業やムダな業務が多く、つまらない
  11. ヒエラルキーがあり、若手である自分の意見が受け入れられない
  12. 働かない人間や無能な人間がおり、腹立たしい
  13. 飲み会やイベントがくだらない
  14. 評価や人事制度に不満がある(年功序列等を含む)
  15. 勤務地や転勤制度に不満がある
  16. 著しくヒマである
  17. 著しく忙しい(残業が多い/休日が少ない)
  18. 介護や子供の教育などの個人的な事情がある

 

上記の要素を得る(または無くす)ため、つまり「解決する」ために転職するわけである。

しかしながら、「転職してすぐに解決したと実感できる」ものは少ない。

 

齋藤
例を挙げましょう。

 

人間関係で言えば、そもそもまだきちんと構築できていないし、誰がどういう人なのか読めていない。

ワークライフバランスで言えば、忙しい時期に入ってしまったのか、ヒマな時期に入社したのかもまだ分からない。

 

年収で言えば、まだ2回くらいしか給与をもらっておらず、実感として生活が豊かになってはいない。

スキルアップで言えば、まだ「転職先のやり方」に慣れている最中であり、スキルを発展させる段階にたどり着いていない。

 

転職の目的が何だったにせよ、「転職して3ヶ月」程度では、転職で得たはずのメリットを実感できていない場合が多いのである。

 

転職3ヶ月の壁で退職すべきかどうかの判断方法

次に、転職3ヶ月の壁で退職すべきかどうかの判断方法について記載する。

 

3ヶ月の短期離職を挽回する方法はあり、次の項でその方法も紹介する。

とはいえ、3ヶ月で辞めてしまうと言うのは、キャリア的にはマイナスであり、基本的には退職すべきではない

 

とはいえ、今すぐに辞めるべき場合もあり、大きくは以下の5つのパターンに分かれる。

  1. ブラック企業である
  2. キャリアの展望が描けない
  3. お金が貯まらない
  4. 仕事のせいで毎日が嫌になる
  5. ネガティブなレッテルが張られている

 

上記のうち、②③あたりは一定期間我慢したほうが良いが、①④⑤あたりは短期離職となったとしても辞めるべき例だと思う。

詳しくは以下の記事に記載したので、必要に応じて参考にしてほしい。

>>今すぐ辞めた方がいい会社の5つのパターンとその辞め方【プロが伝授】

 

再度言っておくと、基本的には3ヶ月で辞めるべきではないが、辞めるべき場合も存在する、ということである。

 

3ヶ月で辞める場合のやり方・注意点

基本的に、3ヶ月で辞めるのはマイナスである。

それでも、前項で述べた「辞めるべき場合」に当てはまっていたり、当てはまっていなくても自分の心が限界を感じている場合には、辞めるべきである。

 

とはいえ、辞める場合には多少のテクニックが必要である。

まず、鬼門となるのが書類選考や面接選考での「退職理由」だと思う。この点における基本戦術は、以下である。

  • 「前職を辞めた理由が特殊だった。今回は辞めないだろう」と思われやすい理由を主張する
  • 「前職の環境が特殊だった。この会社なら辞めないだろう」と思われやすい理由を主張する
  • そもそも短期離職が問題になりにくい業種・会社に入る(「一定期間は活躍してもらわないと」という意識が弱い業種や会社を目指す)

 

より具体的には、以下の策が有効だ。

  1. 滅多に起きない特殊な退職理由を説明する
  2. 人事やマネジメントだからこそ「それは普通」とは言えない前職の悪いポイントを主張する
  3. 前職の「出来るヤツには辛いポイント」を主張する
  4. 期間をあけて「もっともな」理由を作る
  5. コンサルや外資を中心に受ける

 

ここで紹介した内容の詳細、つまり「3ヶ月等での短期離職のやり方・注意点」については以下に全て書いているので、必要に応じて参考にしてほしい。

>>【後悔】転職してすぐ転職する方法|人事が教える短期離職挽回法

 

短期離職のみならず、人間関係に疲れた場合も、逃げの転職をする場合も、やり方はある。

キャリアは立て直しが効くので、自分を追い詰めないことが大事だ。壊れた心が元に戻るにはとても時間がかかる。

 

3ヶ月の壁を超え、辞めないための対処法

基本的には、転職3ヶ月の壁は乗り越えるべきものだ。

よって最後に、3ヶ月の壁を超え、辞めないための対処法について記載していく。

 

とはいえ、実はこのテーマについては以前、以下の記事に全て書いた。

>>転職を成功させるには、転職した後がカギ。転職直後にとるべき「6つの行動」

 

とはいえ、本記事でも簡単にご紹介しておく。

結論から申し上げると、転職後の行動では、以下の「6つの行動」に注力するのがおすすめだ。

  1. ビジネスのキャッチアップよりも先に、風土に馴染むことに全力を注ぐ
  2. 人間関係を把握し、主流派に属する
  3. 過去のチャットや共有フォルダを見る
  4. 転職直後のパフォーマンスは120%を出しきる
  5. ハネムーン期、失望期、ニュートラル期のサイクルを意識する
  6. 自分と周囲の力量差がある分野で力を示す

 

まずは、自身が上記の行動をきちんととれているか、チェックしてみてほしい。

上記の行動をとっており、上記の行動を継続して半年が経過しても状況が全く改善しない場合には、再転職を考えても良い環境である可能性が高い。

 

まとめ

転職3ヶ月の壁は実在する。

基本的にはこの壁は誰もが感じるものであり、キャリア的には乗り越えるべきものである。

 

ただし、完全に失敗したので仕切り直したい、ということもあるだろう。

短期離職を立て直す場合には、本記事にも記載した「短期離職の挽回策」をとるとともに、信頼できる転職エージェントを見つけ、今回の反省を徹底的に活かそう。

 

転職サイトや転職エージェントは無数にあるが、それらを紹介するランキングやおすすめサイトの信憑性は低く、どのサイトに登録すべきか悩む方は多い。

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