結局、転職エージェントには複数登録すべきなのでしょうか?
複数登録する場合、どれに登録すべきで、注意点などはありますか?端的に教えて頂けると幸いです。
今回のテーマは「転職エージェントは複数利用すべきか」である。
結論を一言で言えば、「複数利用すべき。最低3社。理由は相性の良いエージェントの発掘と求人カバー率の向上。登録すべき組み合わせは人によるが、ビズリーチ、リクナビNEXT、JACリクルートメントの組み合わせは手堅い」である。
次の項の「結論」だけ読むのには1分で充分です。
初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。
筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。
- 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
- 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
- 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
- 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験
この記事を読むことで、転職エージェントは複数登録すべきか、に対する納得のいく答えにたどり着くことができ、最も効率の良い形で転職活動を進められるだろう。
結論
冒頭に述べたが、結論を一言で言えば「複数利用すべき。最低3社。理由は相性の良いエージェントの発掘と求人カバー率の向上。登録すべき組み合わせは人によるが、ビズリーチ、リクナビNEXT、JACリクルートメントの組み合わせは手堅い」となる。
その理由は、下記のメリット・デメリット、そしておすすめできるエージェントを考慮した結果である。
- 相性の良いエージェントを見つけられる
- 求人のカバー率が上がる(1~2社では全求人の半分もカバーできない)
- セカンドオピニオンを受けられるようになる
- サイトの登録や管理に手間がかかる
- コミュニケーションが面倒(電話等で、何度も経歴を説明する必要が出てくる)
- ビズリーチ、リクナビNEXT、JACリクルートメントの組み合わせが手堅い
- ただし、詳しくは「おすすめ転職サイト・エージェント|プロ厳選の比較ランキング」を参考にしてほしい
また、結論には書けなかった複数利用の注意点とポイントも解説しています。
転職エージェントを複数利用するメリットとデメリット
転職エージェントに複数登録し、利用することのメリットは以下である。
- 相性の良いエージェントを見つけられる
- 求人のカバー率が上がる
- セカンドオピニオンを受けられるようになる
これらのメリットについて、簡単に説明しておこう。
【複数利用のメリット1】相性の良いエージェントを見つけられる
「転職エージェントと合わない!その理由と対策をプロが解説」にも記載したとおり、転職エージェントと合わないことは良くある。
優秀でないエージェントもいるし、あなたと波長が合わないエージェントもいる。
だから、一つのエージェント会社に頼るのではなく、複数のエージェントと常にコンタクトを取っておくことが重要なのである。
【複数利用のメリット2】求人のカバー率が上がる
日本最大の転職サイトである「リクナビNEXT」の掲載求人数でさえ、世の中にある全ての求人には到底満たない。
一部のエージェントだけが独占している求人(独占求人、非公開求人)もあるし、エージェントごとに業界や職種で得意不得意もある。
実際、リクナビNEXTの調査によると、転職者全体では転職エージェントを平均2.1社しか使っていないのに対し、実際に転職出来た人は平均4.2社使っていたことが分かっています。
1~2社では、世の中にある全ての求人の半分もカバーできていない。間違いなく、「見逃した良い求人」が出てしまう。
だからこそ、あまり求人が被らない組み合わせで、最低でも3社以上は登録する必要があるのである。
【複数利用のメリット3】セカンドオピニオンを受けられるようになる
最後のメリットは、セカンドオピニオンを受けられることだ。
転職エージェントはあなたを転職させて、あなたの年収の3割を稼ぐというビジネスである。
つまり、本当は良くない求人でも、あなたにおすすめする動機があるのだ。
そんな際に、複数の転職エージェントを使っていれば違う角度から情報を得ることが出来る。
Openwork(旧・Vorkers)程度の情報も持っていない転職エージェントも多いが、ネット上にあまり情報のない企業を調べる場合には特に役に立つ。
複数利用のデメリット
逆に、複数利用することのデメリットは以下である。
- サイトの登録や管理に手間がかかる(職務経歴のアップデートを含む)
- コミュニケーションが面倒(電話等で、何度も経歴を説明する必要が出てくる)
デメリットについては解説しないが、個人的には様々なサイトの職務経歴をアップデートしなければならないこと、電話で何度も同じ職務経歴を語らなければいけないことが面倒であった。
逆に、それ以外はほとんどない。
だからこそ、決まるまでは無料であなたのために働いてくれるのです。当然ながら、たくさんのエージェントに無償奉仕してもらうほうが得です。
転職エージェントに複数登録する際のポイントと注意点
次はポイントと注意点について記載する。
- 複数利用は伝えなくてもエージェントから聞かれる。正直に答えて良い
- スケジュールや申込をしている企業の管理は自分でやる
- エージェントは半分しか信じない
- 面倒になったらゆるゆる転職で乗り切る
それぞれ端的に解説する。
【1】複数利用は伝えなくてもエージェントから聞かれる。正直に答えて良い
転職エージェントの複数利用は失礼ではないか、正直に伝えていいのか、と悩む人がいる。
結論から言えば、転職の際に転職エージェントを複数利用するのは当たり前なので、言ってしまって問題ないし、多くの場合エージェント側から聞いてくる。
もちろん、正直に複数利用している旨を伝えて構わない。
【2】スケジュールや申込をしている企業の管理は自分でやる
複数利用していると、同じ企業を2つのエージェントからおすすめされることがある。
当然ながら2つのエージェントからどちらも受けることは出来ないので、相性の良いエージェント、もしくは先に情報をくれたエージェントから受けよう。
また、転職エージェントが1社であれば同じ時間に複数の面接を設定してくることはないが、エージェントを複数利用しているとそういったこともあり得る。
言うまでもないだろうが、スケジュールの管理も自分で行おう。
【3】エージェントは半分しか信じない
何度も同じことを言って恐縮だが、転職エージェントはあなたを転職させて儲ける仕事だ。
自分とは別のエージェントの紹介であなたが内定・転職しそうになると、その企業の悪口を言い出すエージェントもいる。
「転職エージェントの選び方の教科書」に書いた通りにきちんと転職エージェントを選んでいれば良いのだが、そうでなければ、エージェントは「100%自分の味方というわけではない」と心得ておこう。
【4】面倒になったらゆるゆる転職で乗り切る
筆者がおすすめしている転職方法に、ゆるゆる転職というものがある。
大手転職サイトに登録はしているものの、企業や転職エージェントからの連絡はめんどくさいので9割は無視する。本当に興味が持てる求人・スカウトが来た時にだけ連絡を取る。
しかもその連絡も、即時ではなく気が向いたときにまとめて返信する。興味を持った企業も、面接選考がめんどくさくなったらキャンセルする、等。
簡単に言えば「とりあえず大手転職サイトに登録して放置し、良い求人や良いエージェントをストックしておくこと」であると思ってよい。
本当にやる気が出た時にすでに良い求人やエージェントがストックされてさえいれば、転職活動は非常にはかどる。
「サイトに複数登録して気力を使い果たしてしまった」という人も出るかもしれないが、登録してさえいれば情報は集まり始めるので、それは失敗ではない。
複数登録する際の選び方とおすすめの転職エージェント
良い転職エージェントに出会う方法については、「転職エージェントの選び方の教科書|出会い方、絞り込み方、付き合い方まで」に詳しく記載した。
本記事では、そのエッセンスをご紹介しておく。
しかし、考えてみてほしいのですが、当然ながらリクルートエージェントにも良いエージェントとイマイチなエージェントが在籍しているのです。
エージェント会社単位で考えるのではなく、優秀で相性の良い「エージェント個人」を見つけ出すのが重要なのです。
まず、転職エージェントと知り合う方法は以下である。
- 大手転職サイトに登録し、エージェントからのスカウトを待つ
- 転職エージェント会社に自分から登録する
- 転職SNSに登録する
知り合ったエージェントを絞り込む基準(絞り込み方)は以下である。
- 早い段階で(できれば最初に)興味の湧く求人を出してくるか
- 面談(電話面談)の前にあなたの職務経歴書を読んでいるか
- 自分のキャリアをプラスに評価してくれているか
- コミュニケーションスタイル(電話・メール等)が合っているか
- 転職ありきで求人をおすすめして来ないか
エージェントとの付き合い方は以下である。
- 自分のペースで付き合う
- 相性が悪ければ「切る」
- 良いエージェントは10年単位で大切にする
筆者が実際に利用して、最もカバー範囲が広いと考えている転職エージェント(転職サイト)の組み合わせは、以下である。
- ビズリーチ
- リクナビNEXT
- JACリクルートメント
リクルートエージェントやマイナビエージェントも良いのだが、求人カバー率からいって上記の組み合わせが最適解だろう。
ただし、個人の年代や志望企業(ベンチャー、外資など)にもよるため、詳しくは「おすすめ転職サイト・エージェント|プロ厳選の比較ランキング」を参照してほしい。
まとめ
転職では、複数のエージェントの利用が前提となっている。
一方で、20個も30個も使うのでは多すぎる。
労力とリターンのバランスを考えると、大手3~5社程度に複数登録し、そこで知り合ったエージェントを絞り込んでいくのが良いと思う。