不採用になるのは仕方ないのですが、理由が分からないので改善のしようがありません。
面接官が不採用にする具体的な理由とは何なのでしょう?
実際に転職面接を多数行っている方に、忖度抜き、本音の理由を教えてほしいです。
今回のテーマは、「転職面接において、面接官が不採用にする理由」である。
結論から言うと「転職面接において、面接官が不採用にする理由は7つほどあるので、それぞれの対策とともに解説する」という内容になっている。
初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。
筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。
- 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
- 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
- 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
- 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験
この記事を読むことで、面接で落ちる理由と、それらの理由すべてに対する対策が分かり、面接選考の合格率が飛躍的に向上するだろう。
転職面接で見ている7つのポイント【書類選考とは別】
面接で面接官が見ているポイントは、書類選考とは異なる。
「【職務経歴書・履歴書】日系最大手の面接官が見ているたった4つのポイント」で紹介したが、書類選考では主に以下の4つを見ている。
- 年齢
- 学歴
- 職歴(社歴)
- 実績
面接官は、上記の4つのうち「年齢・学歴・職歴の3つには問題がなかった」ことを前提として、面接選考では書類選考と異なるポイントを見る。
転職面接の7つのポイント
実際の転職面接において、面接官が見ているポイントは以下の7つである。
- 再現性のある行動事実(実績や経験)
- コミュニケーション能力
- 論理的思考力
- 組織および職務への性格適性
- キャリア観(人生観を含む)
- チャーム(人間的魅力/見た目含む)
- 禁忌選択肢(地雷)
上記のポイントにおける失敗こそが、不採用の理由である。
よって次の項からは、上記7つについて、不採用にした理由をそれぞれご紹介していく。
これを知ることで、不採用の理由を全て潰すことができ、採用の確率を飛躍的に向上させることが出来るだろう。
【補足】スキルが重要な職種もある
職種によっては、上記以外に「スキル」が非常に重要となってくる。
例えば、「経理」や「エンジニア」が典型である。
これらの職種は、簿記・会計の知識やエンジニアとしてのスキルがなければ受からない。
簿記・会計の知識は会計士・税理士等の資格や日商簿記検定で分かる。
さらに、エンジニアのスキルを見るためにはコーディングテスト等の試験を行うことが出来る。
しかし、経理やエンジニア等の一部の職種以外のスキルは可視化が難しいため、「スキルが重要な職種もある」という表現になっています。
さらに、外資系を中心に、ビジネスレベルの英語スキル(TOEICスコアではなく、実際の英会話スキル)が必要な求人もある。
そういったポジションは「TOEIC800~900点」程度では許してくれず、実際に英語での面接選考を行ってくる。
スキルが重要な職種においては、前述した7つのポイントが不足していても、スキルで補うことが出来れば採用される可能性が高い。
【補足】志望度はあまり見ていない
中途採用(経験者採用)でエントリーしてくれた人は、すでにある程度の志望度があると考えられる。
この点で、「とりあえずエントリーしておく」が多発する新卒とは異なる。
口先だけで「第一志望です」と言うのは嫌なものだが、言わせる側も恥ずかしいものである。
志望者だけでなく、面接官の方もそう思っている。
大企業や人気企業では、転職者の志望度はあまり重視していないと思ってよい。
面接官に出来ることは、志望度を見抜くことではなく、会社や自身の魅力を伝えて志望度を上げることである。
上記記事で紹介したとおり、「ウチに入りたいだけの人」というレッテルを貼られる恐れすらあります。
面接官が不採用にした理由7選
それでは、ここからは実際に不採用にした理由および対策をご紹介していく。
すでにご紹介した、7つのポイントと対応している。
- 再現性のある行動事実が確認できない
- コミュニケーション能力が不足している
- 論理的思考力が低い
- 組織および職務に応じた性格適性が低い
- キャリア観が会社の求めるものに合致しない
- チャーム(人間的魅力/見た目含む)がない
- 禁忌選択肢を選んでいる(地雷を踏んでいる)
【1】再現性のある行動事実が確認できない
「面接官はどこを見ている?実際の面接員向けトレーニングから考える」でも紹介したとおり、面接官が面接で最も重視するのは再現性のある行動事実である。
この点は、最も重要なので詳しく説明する。
再現性のある行動事実とは、単なる「実績(=成果)」のことではない。
「こういう状況で、こう考え、こう動き、こういう結果を出した」という一連の事実のことである。
「実績」は、運が良かったり、周りが優秀だったりしても出てしまう可能性がある。
その人を雇ったとしても、同じ実績をもう一度出してくれるとは限らない(=再現性がない)可能性があるわけだ。
それに対し、ある状況下でとった「行動事実」は、ある程度の再現性があると考えられている。
よって、面接官は志望者の「行動事実」を確認しようと、以下の観点で実績を掘り下げようとする。
- どういう状況で|Situation
- どんな課題があり|Task
- それに対してどんな行動をとったのか|Action
- 結果としてはどうなったのか|Rusult
これは、Situation / Task / Action / Result のそれぞれの頭文字をとって「STARフレームワーク」と呼ばれている。
面接官は、こういったフレームワークに沿って行動事実を確認している。
面接官があらゆる角度から質問しても、この「行動事実」が浮かび上がってこないと、どうしても不採用になってしまう。
それは「ありとあらゆる方向から球(行動事実を確認する質問)を投げたのだが、打ち返されなかった」というものです。
面接官は、志望者が優秀だと信じ、「行動事実」をありとあらゆる方面から深掘りしようとする。
しかしながら、どう質問してもそれが確認できないと、以下のようになってしまう。
- Situation(状況):周りの状況に流されただけの人なのか?
- Task(課題):上司から課されたものを課題としていただけか?自ら課題の発見はしない人なのか?
- Action(行動):自分からは動かない人なのか?上司の指示通り動くだけの人か?
- Result(結果):(上記が確認できない場合)結果を自分が出したように言っているが、本当は違うのではないか?
面接官は、あなたを疑って質問をしているわけではない。
あなたの素晴らしい行動を、事実ベースで必死に発掘しようとしているだけなので、協力してあげて欲しい。
- 面接官「根掘り葉掘り聞いたけど、この人自身が具体的にどういう行動をとったのか、イマイチ分からないな…。これじゃ採用できないぞ」
- 面接官「その状況と課題を上司に与えられたら、当然誰でもその行動をとるだろうし、その程度の結果は出るだろうな。まあ、採用するほどの人ではないな」
【2】コミュニケーション能力が不足している
面接では、主に前項で述べた「再現性のある行動事実」が見られている。
ただし、行動事実について質問するやり取りの中で、面接官は様々な点をチェックしている。
その一つが「コミュニケーション能力」である。
コミュニケーション能力には様々な定義があるが、ここでは主に「理解・共感してもらう力」を指す。
コミュニケーション能力は広すぎる概念なので、例として「STARフレームワークに沿って実績を面接官に説明すること」を挙げよう。
その場合、以下が出来ていればコミュニケーション能力は十分だ。
- その状況について理解させたうえで、「それはキツイね」と共感されているか?
- その課題について理解させたうえで、「確かにそれは解決すべきだね」と共感されているか?
- その行動について理解させたうえで、「それはあなたらしい行動だね」または「よくその行動をとれたね」と共感されているか?
- その結果について理解させたうえで、「すごいね」と共感されているか?
全ての点で「理解」は必須だが、全てで「共感」を狙う必要はない。
ただし、あなたのエピソードの中でも「売りとなる重要なポイント」では共感を得なければならない。
面接におけるコミュニケーション能力とは、語ったことを全て面接官に理解させ、重要な点については「共感」を引き出す能力である。
- 面接官「『周りが転職しているから転職を考えている』ってどういう理屈?聞き返しても、もごもごするだけ。コミュ力、ヤバいね」
- 面接官「状況も課題も、行動も結果も理解したけど、全体的にショボいな。一番の実績がこれなのか…。本人はすごいと思って言っているんだろうけど…」
【3】論理的思考力が低い
広義のコミュニケーション能力に入るが、「論理的思考力」も重要である。
具体的には、話にロジックが通っているか、質問に対してきちんと答えを返せているか、等である。
率直に申し上げて、これはすぐに鍛えられる能力ではない。
苦手だと思う方は、対策として「ロジカル・シンキング(照屋 華子・著)」や「世界一やさしい問題解決の授業(渡辺 健介・著)」あたりから読み始めると良いだろう。
- 面接官「『業務で英語を使った経験はありますか?』って聞いたのに、『TOEICスコアを上げるためにどんなに頑張ったか』の話が始まってしまった。それ、質問に答えてないからね…」
- 面接官「営業成績トップを取れなかった理由を『テレアポの量が足りない』1点に絞り込んだのはなぜ?こちらが他の可能性を挙げると『それもあり得ますね』と言うし。ちゃんと考えているのかな?」
【4】組織および職務に応じた性格適性が低い
組織や職務には、どうしても適性(相性)というものがある。
- 「個人の裁量で自由にやれる代わりに、全て自己責任の組織」には向いているが、「業務分掌や業務フローが厳格に決まっている、堅い組織」には向いていない人
- 「エンジニア」には向いているが、「営業」には向かない人
応募先の企業や応募ポジションに必要な性格適性がないと、不採用になる可能性は高い。
ポジションで言えば、ルーティーンをこなす仕事と、改革をリードする仕事では性格適性は真逆だろう。
ここまで述べてきたことを踏まえて普通に考えると、応募先企業とポジションがどういう性格適性の人物を求めているのか考え、無理のない範囲でそれに寄せて答えていくことが対策になる。
ただし、筆者の本音を言えば、「本当の自分とあまりに性格適性が違う会社やポジションは受けない」のが長期的に見ると最高の対策になると思う。
長期的に自分を偽ることは出来ないためだ。
自分の性格適性を受け入れ、それを活かせる企業やポジションを探した方が成功の確率は高まると筆者は考えている。
- 面接官「この人が求めているのは『大企業在籍による安定』みたいだけど、ウチって結果として大企業になっちゃっただけで、新市場を常に開拓してきた会社なんだよね。合わないなあ」
- 面接官「経営企画志望でこの受け身姿勢はヤバいでしょ。勝手に経営課題を見つけて関係部署を駆けずり回るような人じゃないと、ただの経営会議のパワポ作成係になっちゃうから不採用」
【5】キャリア観が会社の求めるものに合致しない
会社ごとに、社員をどう採用し、どう育成し、どう異動させ、どう選抜するかは異なる。
当たり前であるが、会社によって社員のキャリアが異なるのである。
会社によって社員のキャリアが異なるのだから、会社が社員に期待する「キャリア観」も異なる。
- 会社の異動命令(地方への転勤等)を盲目的に受け入れてほしい。その代わりにリストラはせず定年まで雇う
- 自分のキャリアは自分で築いてほしい。会社と個人は対等だし、会社もそこまで面倒見切れない
上記の2つはかなり異なる考え方だが、上の考えを持つ会社も、下の考えを持つ会社もあるだろう。
面接では、これが合致しているかどうかを見ている。
性格適性と同じく、キャリア観が合わないと長期的には会社も自分も不幸になるので、無理に合わせない(対処しない)ことをおすすめしたい。
- 面接官「ウチは社員にキャリア自立を求める会社だから、自分の強みとかキャリアをどう作るかとかを全く考えてこず、会社に依存してきた32歳は厳しいなあ」
- 面接官「ウチは職種をまたいだローテーションが3年ごとにあるから、この人の『人事という仕事を極めたい』というキャリア志向には向かないな。お互い不幸になりそう」
【6】チャーム(人間的魅力/見た目含む)がない
不採用になる理由の6つ目はチャーム(人間的魅力のこと。見た目を含む)である。
何をもって「チャーム(人間的魅力)」とみなすかは面接官次第なところがあるので、おそらくは「面接官との相性で不採用となる問題」の主要因である。
ただし、仕事において人間的魅力が重要であることもまた、間違いない。
この要素を無視するわけにはいかない。
多くの人に受け入れられる「人間的魅力」の基本は、愛嬌である。
つまり、うなづき、相槌、自己開示などを用い、面接官に好意的な態度で接し、好意の返報性を期待するのが王道だと思う。
自分を好きだと相手に示されると、自分も徐々に相手のことが好きになってくる、という人間の持つ性質のことです。
なお、チャームには見た目も含む。
ただし、「見た目が9割とも言われるが、実際にはそれほどには影響はなく、おそらく10%くらい」と以前に書いた通り、そこまで大きな割合ではない。
>>面接は見た目で決まる?容姿は関係あるかを人事面接官が本音で回答
おすすめの対策方法は、面接を大量に受けて面接慣れすることだ。
それにより、緊張せず共感を示す余裕が生まれてくるし、うなづきや相槌を自然に使えるようになってくる。
- 面接官「この人、経歴もいいし、質疑応答も適切なんだけど、うなづきも相槌もなくて何考えているか分からないし、一緒に働いてもつまらなそう」
- 面接官「暗い。とにかく暗い。現職が激務ってことも考え合わせると、うつ病寸前なのか、元々こういうキャラクターなのか……いずれにせよウチでは採用できないな」
【7】禁忌選択肢を選んでいる(地雷を踏んでいる)
医師になるための国家試験に、「禁忌選択肢」というものがある。
簡単に言えば、禁忌選択肢とは「他の設問でどんなに良い点を取っても、この問題を間違えたら不合格」というものだ。
要は、踏んだら一発アウトの地雷である。
転職面接においても、一発で不採用となるような回答(および経歴)が存在する。
例えば、以下のようなものだ。
- 過度なワークライフバランスへの興味
- 過度な育児関連制度への興味
- メンタル既往歴+面接でも分かる違和感
最も多いのが、ワークライフバランスや育児関連の地雷である。
企業としては、基本的には人手不足だから経験者を採っている。よって、本音中の本音で言えば、
- 「ワークライフバランス大事!」という人より「仕事大好きです!」という人の方がありがたい
- 「大企業の育児休職制度、最高だわ」という人より「当面結婚の予定はありません」という人の方がありがたい
のである。
もちろん、今の時代にそれを表立って公表する会社はないと思うし、実際に志望者に求めることもしない。
ただし、面接という場で上記の「企業側の本音」が読めない人間は、おそらく仕事も出来ないだろうし、実際にすぐ休職に入るだろうし、あらゆる面から不要なのである。
ワークライフバランスは大切ですし、制度も利用するために存在するのですが、「入る前からこれ目当て」の人間は敬遠されてしまう、ということです。
- 面接官「育児休職制度についてちょっと聞きすぎ。面と向かって『出産のご予定はありますか』とはさすがに聞けなかったけど、これは採用できないかな」
- 面接官「うつ病、今は完全に治ったって書いてあったけど、今でもその雰囲気あるな…。リスク取って採用するほどのレベルではないし、NGかな」
まとめ
今回は、転職面接のポイントと、面接官が不採用にした理由をご紹介した。
最後に言っておくと、不採用が続いても、全てを自分のせいにするのは間違いである可能性がある。
組織や職務との性格適性や、チャーム(人間的魅力)のところでも述べたのだが、良い人でも「組織や職務との相性」「面接官との相性」によっては普通に不採用になるからだ。
転職サイトを用い、良い求人や転職エージェントをストックし、たくさんの組織や面接官と接することで、自分と相性の良い、最高の職場が見つかる。
そのためのやり方は以下に記載したので、必要に応じて参考にしてほしい。
>>おすすめ転職サイト・エージェント|プロ厳選の比較ランキング