人事からの転職

人事からの転職の難易度や方法について人事から他職種に2回転職したプロが解説

悩めるビジネスウーマン
齋藤さんと同じく、人事をしています。
ただ、以前からずっと「人事の仕事はあまり向いていない」と感じており、人事からの転職を考えています。
齋藤さんは人事以外にも戦略コンサルや経営企画をしていると思うのですが、人事からの転職って出来るのでしょうか?
転職エージェントに相談したところ、「○○さんは人事が長いので…(難しい)」というようなニュアンスのことを言われました。
人事からの転職の難易度や方法について、ご経験を踏まえて教えてください。

 

今回のテーマは「人事からの転職(人事から他職種への転職)の難易度や方法について」である。

結論から申し上げると「人事からの転職の難易度は高いが、筆者自身が人事から他職種に2回転職しており、方法はいくつかある。それらについて網羅的に解説する」という内容の記事になっている。

 

初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。

筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。

  • 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
  • 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
  • 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
  • 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験

 

この記事を読むことで、人事から他職種に転職する効果的な方法が分かり、より自分らしいキャリアに踏み出すことが出来るようになるだろう。

 

結論

結論からいこう。

人事からの転職の難易度は高いが、方法は(以下のように)いくつかある。

  1. 20代のうちに転職する
  2. ハブ・キャリアに転職する
  3. まずは社内異動でやらせてもらい、必要ならその後転職する
  4. 人事と近い職種に転職する
  5. 未経験可をうたう人手不足の職場に転職する

 

上記の方法について、次項でそれぞれ解説していく。

なお、上記の方法はすべて、「筆者自身が人事からの転職に用いた」か「筆者の周りの人事パーソンが、人事からの転職を果たした」実際の方法であり、全て現実的な方法であると最初に申し上げておく。

 

齋藤
筆者自身、「人事→戦略コンサル→人事→経営企画→人事」と人事からの転職を複数回経験しています。

 

人事からの転職の難易度は?

最初に、人事からの転職の難易度について触れておこう。

 

人事からの転職の難易度は、率直に申し上げて高い

 

まず、以下の記事にも書いた通り、(異業種への転職は簡単だが)異職種への転職のハードル自体が高い。

>>異業種転職の教科書|成功率やメリット、失敗しないための対策、おすすめの業界まで

 

さらに、以下の理由から、人事という職種も「他職種への転職」という観点ではあまり良くない。

  1. ビジネスの戦略やオペレーションの深い理解が出来ている人事は非常に少なく、ビジネス系職種への転職は難しい
  2. 人事の専門性には、他のコーポレート系(バックオフィス系)職種で役に立つものが少なく、コーポレート系職種への転職も難しい
  3. 人事経験を通して積み上げた要素(社内制度の知識や現場のマネージャーからの信頼等)は、転職して会社が変わるとリセットされる

 

ベンチャーの人事であれば上記の①が全く当てはまらないケースもあり、その場合はビジネス側に転職することが出来ることもある。

しかしながら、多くの場合は上記の①②③ともに当てはまるため、人事からの転職のハードルは高めである。

 

人事からの転職を成功させる、具体的な5つの方法

ここまで、人事からの転職が難しいということについて述べてきたが、筆者が人事からの転職を複数回果たしていることからも分かるとおり、やり方によっては可能である。

ここからはその具体的なやり方について、それぞれ解説していく。

  1. 20代のうちに転職する
  2. ハブ・キャリアに転職する
  3. まずは社内異動でやらせてもらい、必要ならその後転職する
  4. 人事と近い職種に転職する
  5. 未経験可をうたう人手不足の職場に転職する

 

【1】20代のうちに転職する

可能であれば「第二新卒」と呼ばれる年齢のうち、遅くとも20代のうちであれば、人事からの転職は容易である。

30代での未経験職種の転職で絶対におさえておきたいことを人事プロが解説」にも一部記載したが、20代での未経験職種への転職には以下のようなメリットがある。

  1. 現在の職種のやり方が染みついておらず、新しいやり方を受け入れやすい
  2. 社会人の中で、最も適応力(ラーニングアジリティ)が高い年代である
  3. 転職先においても、「若手としてベテランに教えてもらう」という日本社会において自然な関係の構築が期待できる

 

要は「仕事の進め方」が硬直化しておらず、「適応力」が高くて新しいやり方になじみやすいということである。

加えて、20代であれば転職先の30代・40代の実務リーダー級から自然と(ぎくしゃくせずに)指導を受けることが出来るというメリットもある。

 

そして、上記のメリットがもたらす結果として、20代であれば未経験職種でも中途面接に通りやすいのである。

この方法の欠点は、当然ながら20代以外には実行不可能なことである。

 

【2】ハブ・キャリアに転職する

どうしてもなりたい職種があるが、人事からの転職が困難である場合には、ハブ・キャリアを経由するのがよい。

ハブ・キャリアとは、転職エージェント企業の社長である渡辺 秀和氏が提唱した考え方で、その業界を経ることでその後の転職の選択肢が一気に広くなる業界のことである。

 

具体的には、インターネット業界(のビジネス系企画職)コンサルティング業界の2つが典型である。

実際に筆者も、人事から戦略コンサルタントに転職した経験があったために、東証一部上場企業で経営企画の執行役員に転職することが出来た。

 

齋藤
この転職は、人事だけのキャリアでは無理だったと思います。

 

どうしてもなりたい職種がある人事の方は、「人事→ハブ・キャリア→なりたい職種」という順番で転職するのが良いだろう。

この方法の欠点は、インターネット業界もコンサルティング業界も、未経験でポテンシャル採用をしてもらうには、相応の学歴や社格が必要なことである。

 

【3】まずは社内異動でやらせてもらい、必要ならその後転職する

本サイト「転職参謀」においては至る所で言っているのだが、転職より先に異動を検討することにはメリットがある。

>>【転職はハイリスク】人事プロが教える、転職より前に検討すべき3つの選択肢

 

一般に、人事からの社内異動は、人事からの転職よりも簡単である。

社内異動であれば、「本人の希望」や「育成の観点」、「人員不足」等の理由により、未経験でも異動させることは多いからだ。

 

この方法の欠点は、人によっては異動できない事情があることである。

例としては、「自分が上司に囲い込まれており、異動が許されない状況である」「異動の人事制度がなく、過去に異動した例もない」「人員削減中であり、他の部署に行先がない」等である。

 

齋藤
可能であれば、一度「異動」を検討するのはおすすめです。

 

【4】人事と近い職種に転職する

率直に申し上げて、人事は「専門性が低め」の「バックオフィス系職種」である。

 

齋藤
人事は専門性が低め、ということに異論のある人事パーソンもいると思いますが、「専門性が高め」の法務や経理に比べると低いです。
人事や広報、総務に未経験で入って早めに戦力になる人はいますが、法務や経理では稀です。

 

だから、人事からの転職をしたい場合には、同じ「専門性が低め」の「バックオフィス系職種」を狙うのが良い。

具体的には、以下の職種がそれにあたる。

  • 広報
  • 総務
  • 秘書・庶務
  • その他(CSR・ダイバーシティなど)

 

上記の他、高い基礎能力・ソフトスキルが求められるものの「専門性が中程度」である経営企画等もあり得るかもしれない。

 

齋藤
どうしても経理や法務、エンジニア等になりたい場合は、関連資格をとって挑戦するというのが良いと思います。

 

【5】未経験可をうたう人不足の職場に転職する

最後はあまりおすすめできない方法だが、人手不足の会社は「未経験でも可」という求人を出すため、採ってもらいやすい

 

齋藤
この典型的なものが「未経験からエンジニア」「文系でもエンジニア」という広告を出しているような企業です。
本来は専門性の高いはずの職業を、(採用できないので)未経験で採用し、現場で付いてこられた人だけが残ればいい、というやり方です。

 

「自社の外から、未経験で30代以上を採用する」という時点で、大手優良企業ではあり得ない。

それが専門性の高い職種であれば、なおさらである。

 

よって、この方法をとる場合、良くて「大手だけど万年募集中の、労働環境の良くない企業」、悪いと「ブラック企業」に転職してしまうリスクがある。

 

まとめ

本記事では、人事からの転職の現実とやり方について解説した。

  1. 20代のうちに転職する
  2. ハブ・キャリアに転職する
  3. まずは社内異動でやらせてもらい、必要ならその後転職する
  4. 人事と近い職種に転職する
  5. 未経験可をうたう人手不足の職場に転職する

 

筆者自身は上記の①と②を主に用いたが、上記はどれも有効である。

自分に合った方法を選んでもらえばいいと思うが、⑤を用いる際には、会社の評判等について「OpenWork(旧・Vorkers)」等で事前に調べてみることをおすすめする。

 

転職サイトや転職エージェントは無数にあるが、それらを紹介するランキングやおすすめサイトの信憑性は低く、どのサイトに登録すべきか悩む方は多い。

迷ったら、年代でも性別でもなく、シンプルに年収で決めるのがおすすめである。

  • リクナビNEXT年収800万円未満の場合。日本最大級の公開求人を掲載、エージェントも豊富
  • JACリクルートメント 年収800万円以上の場合。大手および外資系を中心に、日本最大級の非公開求人を保持

 

人材企業の最大手リクルートが運営するリクナビNEXTは、年収が800万を超えるまでは万能の転職サイトだと言える。(それ以上の年収帯では案件が減る)

掲載求人が豊富なだけではなく、リクナビNEXTには多数の転職エージェントが参加しているため、網羅的に求人を探すことが出来る。

 

JACリクルートメントは、筆者が最も信頼している転職エージェントである。転職エージェントとしては日本最大の売上高を誇り、求人の多さ、エージェントの質ともにダントツである。

ただしJACはハイクラス・ミドルクラス向けのため、そのスペックをフル活用するには年収800万円程度が必要だ。

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