外資系企業を考えているのですが、書類選考で落ち続けており、あまり相手にされていないような気もします。
第二新卒の転職で外資系を選ぶのはどうなのでしょうか?外資系のご経験も踏まえて、ご教示ください。
今回のテーマは「第二新卒の転職で外資系を選ぶのはどうなのか」である。
結論から申し上げると「第二新卒として転職する際、外資系を選ぶことは一般的には悪手であり、おすすめできない。その理由は①入りづらく評価されづらい、②年収が低めにとどまりがち、③育成に期待ができない、の3つである。本記事内で詳しく解説していく」という内容の記事になっている。
初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。
筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。
- 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
- 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
- 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
- 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験
この記事を読むことで、第二新卒転職で外資は悪手である理由が分かり、外資系志望をやめるのか、それでも外資系を選ぶのか、根拠を持って決断することが出来るようになるだろう。
結論
まず本記事の結論を記載しておく。
箇条書きで端的に記載しているため、詳細は本文中で確認していただきたい。
第二新卒に外資をおすすめしない理由は、主に以下の3つである。
- 外資ではポテンシャルより経験が重要。第二新卒は入りづらいし評価されづらい
- 外資は前職を基にした年収設定であり、昇給が少ない
- 外資は育成が完全にマネージャー次第。育成力の期待値は日系より圧倒的に低い
それでも第二新卒で外資系を選ぶ際に満たすべき条件は、以下の2つである。
- 日本法人単体でも大手と言える外資系に入社する
- 自身が「外資系に向いた人(日系企業に向かない人)」である
第二新卒に外資をおすすめしない3つの理由
第二新卒に外資をおすすめしない理由は、主に以下の3つである。
- 外資ではポテンシャルより経験が重要。第二新卒は入りづらいし評価されづらい
- 外資は前職を基にした年収設定であり、昇給が少ない
- 外資は育成が完全にマネージャー次第。育成力の期待値は日系より圧倒的に低い
日本法人単体でも大手と言える外資系では、上記の3つの特徴を持っていない場合が多いためです。
外資ではポテンシャルより経験が重要。第二新卒は入りづらいし評価されづらい
日系企業は、学歴や社格のようなポテンシャルを重視することが多い。
その一方、外資系企業ではポテンシャル、特に学歴はあまり重視せず、具体的な実績や経験、スキルを重視することが多い。
「今現在どういった経験やスキルがあるのか」を評価するのが外資系なのです。
外資系でのこの特徴は、第二新卒にとって不利に働く。第二新卒にも幅があるが、多くは1~2年の経験しかないため、実績や経験、スキルがあまりないことが多い。
よって第二の「新卒」という形で、学歴を中心に判断されることが多いわけだが、外資系ではそれは通用しない。
これは必ずしも採用選考に受からないということを意味しないが、もし受かったとしても選考の評価および入社時のグレード(等級)は高くないはずである。
外資は前職を基にした年収設定であり、昇給が少ない
外資系には、昇給で給料を上げるのではなく、転職時に年収を上げる文化がある。
転職時、外資系では前職の年収をもとにして、プラスアルファの給与を設定するというのがスタンダードである。
第二新卒で転職する場合、まだあまり昇給できておらず、年収が低い方が多いと思う。
ここで外資系に転職してしまうと、元々の低い年収に若干プラスした年収を入社時に設定され、その後はほとんど上がらないという事態に陥りがちである。
外資は育成が完全にマネージャー次第。育成力の期待値は日系より圧倒的に低い
第二新卒に外資系企業をおすすめしない最大の理由が、これである。
一般的に、外資系企業は若手の育成が非常に弱い。育成に関する制度はあるものの、実態としてはマネージャー任せという会社がほとんどである。
さらに、そのマネージャーも転職を繰り返す人間であるため、長期的な視野で部下を育成する視点を持っていないことが多いのである。
しかしながら、そういったマネージャーを上司に持てる確率は低く、平均的な期待値としては、外資の育成力は壊滅的に低いと言わざるを得ません。
育成の弱さの帰結として、外資系には使い物にならない人間の数が、日本企業とは比べ物にならないほど多い。
直截に言ってしまうと、外資系企業が長く、かつ出世していない人間の多くがこれに当てはまる。
一般的には、「外資系企業は実力主義だから仕事ができない人はいない」と思われがちである。
しかし実際には、ぎりぎりのところで生き延び続けている人や、クビになりながら外資系を渡り歩いている人が多数存在するのである。
【2つの条件】それでも第二新卒で外資を選ぶなら
本記事で解説してきた理由から、第二新卒で外資系に転職することはおすすめしない。
しかし、それでも第二新卒で外資を選びたいという方もいるだろう。その場合、以下の2つの条件のうち、少なくとも1つは満たしておくべきである。
- 日本法人単体でも大手と言える外資系に入社する
- 自身が「外資系に向いた人(日系企業に向かない人)」である
日本法人単体でも大手と言える外資系に入社する
本記事でも少し触れたのだが、「第二新卒に外資をおすすめしない3つの理由」を満たさない外資系も存在する。
それが、日本法人単体でも大手と言える外資系である。
外資系であっても、日本法人が大きくなってくると新卒採用をするようになる。
新卒採用をしていることにより、日系企業と同じように、以下のような「第二新卒が転職するのにプラスの特徴」を持つようになる。
- 新卒採用をしているため、ポテンシャルで人を見ることのメリットを知っている(第二新卒も評価でき、採り得る)
- 新卒採用者をリテンションする(辞めないようにする)ため、毎年の昇給制度が整っている
- 未経験の新卒を採用しているため、若手への教育制度が整っており、人事や上司などの育成リソースも豊富に割かれていることが多い
自身が「外資系に向いた人(日系企業に向かない人)」である
詳しくは「外資転職の教科書」に書いたのだが、外資系には向き不向きがある。
第二新卒であっても外資を選ぶという場合には、以下のような「外資系に向いた人(日系企業に向かない人)」であることが望ましい。
- 年功序列が嫌いな人
- 若くして裁量が欲しい人
- ほどほどの成果主義がいい人
まとめ
第二新卒の転職先として、外資系企業は基本的におすすめしない。
外資系企業は、すでに十分なキャリアを積んだ人間が年収を上げに行くところであって、若手が育つ場ではないのである。