まだ転職して8か月なのですが、すでに辞めたくて辞めたくて仕方がないです。
齋藤さんも以前コンサルをしており、コンサルを辞めて人事をしていると思うのですが、長く勤めるべきだと思いますか?
コンサルを辞めたい場合のアドバイスをいただければと思っています。
今回のテーマは「コンサル辞めたい人はすぐ辞めるべきであること及びその理由」である。
結論から申し上げると「コンサルほど、辞めたいならすぐにでも辞めるべき職種もない。その理由を自身の経験や周囲のポストコンサル転職から解説する」という内容の記事になっている。
初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。
筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。
- 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
- 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
- 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
- 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験
この記事を読むことで、コンサルを辞めることに関して自分の中での方向性を固めることができ、次の一歩を踏み出すことが出来るようになるだろう。
結論
本記事の結論は、「コンサルを辞めたいならすぐに辞めた方がいい」である。
その理由は、以下の6つである。
- 心身を壊す可能性が高く、辞めたいと思いながら続けるのは更に危険
- ポテンシャルや汎用性が高いため、転職先が幅広い
- コンサル経験が直接役立つ転職先は多くない。コンサル以外の修行はコンサル以外で
- 後悔しても大丈夫。コンサルは屈指の「出戻りしやすい」職場
- コンサル経験は3年もなくても評価される
- 基礎的なコンサルティングスキルの成長はすぐに止まる
それぞれ解説していく。
【1】心身を壊す可能性が高く、辞めたいと思いながら続けるのは更に危険
この記事の読者には釈迦に説法かもしれないが、コンサルは激務である。
「働き方改革」の波はコンサルにも来ており、昔よりはだいぶマシになったが、それでもクライアントや上司からのプレッシャーが強い職種であることに変わりなく、長時間労働も常態化している。
厚生労働省が出している長時間労働の指針、いわゆる「過労死ライン」からも分かる通り、労働時間と過労死・適応障害・うつ等には明確に関連がある。
ただでさえ心身を壊しやすい長時間労働を、「辞めたい」という気持ちを抱えながら続けることはリスクをさらに高める。
「今コンサルを辞めてしまったら短期離職になってしまう」という方でも、辞めたいのであれば辞めるべきだ。
その根拠は二つ、「辞めないリスクの方が高いから」と「短期離職には挽回方法があるから」である。後者については以下の記事を参考にしてほしい。
>>【後悔】転職してすぐ転職する方法|人事が教える短期離職挽回法
【2】ポテンシャルや汎用性が高いため、転職先が幅広い
コンサルは、学習能力(キャッチアップ力)や論理的思考力、パワポスキル、プレゼンスキルなど、いわゆる「事務系ホワイトカラーの基本スキル」をひたすら磨き込んで戦う職種である。
次項で述べる通り目立った専門性はないが、汎用性は非常に高い。
さらに、(ファームにもよるが)コンサルは入社時にある程度の地頭や学歴、職歴が求められることが多く、ポテンシャルも高めであることが裏付けられている。
この汎用性とポテンシャルの高さから、コンサルの転職先は幅広い。
「異業種転職の教科書」等でも書いた通り、ポストコンサルの転職先の幅広さから、コンサルを「ハブ・キャリア」と呼んで転職テクニックとして紹介している人もいる。
このように、未来の選択肢が広いというのも「コンサルを辞めたいなら早く辞めていい」と背中を押せる根拠の一つである。
【3】コンサル経験が直接役立つ転職先は多くない。コンサル以外の修行はコンサル以外で
前項でも述べたが、コンサルは汎用性は高いが、専門性は高くない職種である。
コンサルティングファームのパートナーや、コンサルティング業での独立起業を目指しているのであれば、コンサルでの修行に耐える意味があるだろう。
しかしながら、それ以外のキャリアプランがあるのであれば、コンサルで修業をする意味はあまりない。
コンサルティング以外の専門性がつかないからである。
しかし、筆者が在籍した外資系戦略コンサルのパートナーは「コンサルを極めてもコンサルのプロになれるだけ。経営者にはなれない」と言っていました。
ディー・エヌ・エー(DeNA)の創設者である南場智子氏は、マッキンゼーでのパートナー経験は、実際の起業にはほとんど役に立たなかったと言っている。
経営者に限らず、なりたいもの・やりたいことがあるなら、それを実際にやる中で修行するのがいいだろう。
【4】後悔しても大丈夫。コンサルは屈指の「出戻りしやすい」職場
コンサルティングファームおよびコンサルティング業界は、一度離れても出戻りしやすいという特徴がある。
そもそもコンサルティングファーム自体が転職してきた中途入社者ばかりで構成されているので、転職への寛容さが他の業界とは全く異なるのである。
辞めても出戻りしやすいという特質も、「コンサルを辞めたいなら辞めていい」につながっている。
コンサルを辞めて後悔したとしても、戻ればいいだけだからである。
【5】コンサル経験は3年もなくても評価される
ビジネスパーソンとしての修行として市場価値を上げるため、数年(その多くは3年前後)だけのつもりでコンサルタントになった人は多い。
そういう方の一部は、「2~3年経つまでは辞められない」と思ってしまっていることがある。
しかしながら、それは誤解である。
次項で話す「基礎的なコンサルティングスキルの成長はすぐに止まる」とも密接に関係するが、コンサルタントとしての経験は、3年なくても評価される。
自分自身を思い出してほしいのだが、最初の数か月でコンサルティングのスキルを(厳しく)叩き込まれ、慣れない中でキャッチアップしなかっただろうか?
それが答えである。
【6】基礎的なコンサルティングスキルの成長はすぐに止まる
前項の続きのような内容だが、コンサルティングファームに長くいることは(コンサルを極める道以外での)成長という意味では疑問符がつく選択である。
なぜなら、基礎的なコンサルティングスキルの成長は、長くても数年程度で止まってしまうからである。
それ以後はマネージャーになり、パートナーになっていくわけだが、コンサルのマネージャーやパートナーで学ぶことは事業会社のマネージャーや役員で学ぶことに近い。
コンサルティングファームでしか身に付かないであろうスキルやマインドセットは、アソシエイト~コンサルタント程度の比較的初期のクラスで身に付くものなのである。
そういう意味でも、コンサルを辞めたい、と思った時は辞め時である。
成長が止まったからこそ辞めたいと感じている可能性もあるし、そうでなくても転職直後のスタートダッシュで既にある程度のコンサルスキルを身に付けている可能性が高い。
まとめ
以下の理由から、コンサルを辞めたいと感じたのであれば、すぐに辞めた方がいい。
- 心身を壊す可能性が高く、辞めたいと思いながら続けるのは更に危険
- ポテンシャルや汎用性が高いため、転職先が幅広い
- コンサル経験が直接役立つ転職先は多くない。コンサル以外の修行はコンサル以外で
- 後悔しても大丈夫。コンサルは屈指の「出戻りしやすい」職場
- コンサル経験は3年もなくても評価される
- 基礎的なコンサルティングスキルの成長はすぐに止まる
なお、ポストコンサルの転職先としては、給与やポジションの関係から外資系に行く方か、もしくはやや安定した環境を求めてグローバルな日系大企業に行く方が多いと思う。
その場合には、まさに「外資系」と「グローバル日系大企業」の2つの領域の求人を強みとするJACリクルートメントを使ってみることをお勧めする。