転職の面接で落ちました。
転職エージェント経由で面接の評価(フィードバック)を聞いたところ、「正直に言って、先方の第一印象があまり良くなかったようだ」と言われました。
身だしなみには気をつけていたつもりですが、確かに見た目には自信がありません。
面接における第一印象とは何なのでしょうか?第一印象の影響は大きいですか?また、その対策についても教えてください。
今回のテーマは「面接における第一印象とは何か、その影響と対策」である。
結論から申し上げると「面接における第一印象とは見た目だけではなく、職務経歴書の段階から考える必要がある。メラビアンの法則等の研究結果ほどではないが、第一印象の持つ影響が大きいことは事実なので、第一印象の構成要素ごとにその対策を解説していく」という内容になっている。
初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。
筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。
- 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
- 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
- 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
- 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験
この記事を読むことで、第一印象とは何なのか、またその影響の大きさと改善する方法が網羅的に分かり、今後「面接の第一印象」というあいまいなものについて悩むことがなくなるだろう。
面接は第一印象で決まるのか?研究によればYES
面接における第一印象とは何なのか。
実際の人事面接官からすると、第一印象とは見た目だけではないのだが、第一印象の大きな要素として見た目があることは確かである。
よって「面接は第一印象で決まるのか」という問いは、「面接は見た目で決まるのか」と似た問いであると言える。
そして、「面接は見た目で決まるのか」についてはすでに以下の記事を書いた。
>>面接は見た目で決まる?容姿は関係あるかを人事面接官が本音で回答
メラビアンの法則によれば見た目が5割
上記の記事に書いてあるのだが、面接における見た目を語る際によく出てくるのが、「メラビアンの法則」である。
感情や態度について矛盾したメッセージが発せられたときの人の受けとめ方について、人の行動が他人にどのように影響を及ぼすかというと、話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%の割合であった。
Wikipedia「メラビアンの法則」より
メラビアンの法則によれば、人の受け止め方は内容が7%、声が38%、見た目が55%という割合で影響を受けている。
つまり、「見た目が9割」は言い過ぎだとしても、5割程度は視覚情報、つまり「見た目」に影響されるというのが科学的な話である、と一旦は言えそうだ。
ハロー効果からも、人は第一印象に引きずられがち
メラビアンの法則だけではなく、ハロー効果というものからも、人は第一印象に引きずられがちであるといえる。
ハロー効果とは「ある対象物を評価する際、目立つ特徴に引きずられるように、他の特徴についての評価までが歪められる現象」のことである。
ハロー効果の「目立つ特徴」とは第一印象に限らないのだが、第一印象が「初期に最も目立つ特徴(見た目など)」であることは疑いない事実である。
仕事ができそうな第一印象、逆にやる気がなさそうな第一印象、こういった「目立つ特徴」に引きずられて、能力や専門性などの中身の評価がゆがむことはある。
面接官は第一印象に引きずられない訓練を受けている。しかし
ここまで書いた通り、様々な研究結果によれば、面接は第一印象で決まる部分が大きそうである。
ただし、面接官は第一印象が良い人を採用したいわけではない。見た目が良い人を採りたいわけでもない。ただ、仕事ができる人を採りたいのである。
よって、企業の面接官は第一印象に引きずられない訓練を受けている。
本記事内で解説したメラビアンの法則もハロー効果も、間違いなくその訓練の中で習う。
とはいえ、面接官の習熟度合いには差がある。面接に慣れた人事面接官もいれば、職場からの面接官もいる。
10人くらいしか見ていない面接官と1,000人以上を見てきた面接官では場数が違うし、後者は自分の採用の成功・失敗という結果まで見てきている。第一印象で採用して、失敗した経験をしている可能性も高い。
ここで何が言いたいかと言うと、面接官は第一印象に引きずられない訓練を受けているが、本当に第一印象に引きずられない面接官は多くないということである。
つまり、第一印象の対策はしておいて損はないと言える。
面接における第一印象とは何なのか、およびその対策
本項では、本題である面接における第一印象の対策について解説する。
対策に進む前提として、面接における第一印象とは何なのかについても合わせて考えていきたい。
本当の「第一印象」は職務経歴書で決まる
まず、面接が始まってから数分で第一印象が決まる、というのは完全に誤りである。
面接官からすると自明のことであるが、第一印象は面接の前から決まっているからだ。
面接官が候補者に何の印象も持たないまま、面接の場に臨んでいるということはまずない。
それはなぜかというと、職務経歴書を読んでいるからである。
どのような書き方なのか、経歴はどのようなものか、キャリアや実績から見える性格はどのようなものなのか、この仕事をする自信はあるのかないのか、さまざまなことを読み取ろうとしている。
単に「出来る人間に見せかければ良い」というわけではないのだが、職務経歴書の評価が良ければ、面接においてもそのハロー効果が期待できることは間違いない。
本当の第一印象は、候補者と面接官との最初のタッチポイントである職務経歴書(および履歴書)で形成されるということを覚えておいてほしい。
なお、職務経歴書に自信がない方は、以下の記事を参考にしていただきたい。
>>【職務経歴書・履歴書】日系最大手の面接官が見ているたった4つのポイント
面接における第一印象の構成要素およびその対策
ここからは、一般的に言われる「面接における第一印象の構成要素」に触れていく。
顔、服装(身だしなみ)、表情、態度の4つである。
顔
自分がイケメンだとか、美女だとか思っている人は少ないだろう。
だからこそ「見た目が9割」などと言われると「顔なのか」と身構える人が出てくる。
結論から言うと、顔は面接における第一印象の構成要素として大きくない。
誰でもいいのでビジネスにおける著名な成功者を何人か思い浮かべて欲しいのだが、特に顔が整っていない人も多い。
第一印象とは言っても、モデルのオーディションではないので、美醜よりも仕事ができそうかどうかが重要である。
さらに、この項目は変えようがないということもあり、掘り下げる必要性もあまりない。
服装(身だしなみ)
服装(身だしなみ)の重要性は以前は高かったが、最近では低くなっていると言える。
コロナ禍によりリモートでの面接も増えてきたし、スーツを強制する会社が少なくなったため、スーツで面接に来ることが難しくなったという事情もある。
多くの人が知っており、出来ているのであまり言うことではないが、スーツでない場合にはビジネスカジュアルで行くのが良い、という程度である。
表情
表情は重要である。仕事ができる人は表情に余裕があることを、面接官は知っている。
では余裕はどう出すのかといえば、「軽い笑顔」である。
面接において、表情が変わらない人の第一印象は良くない。と言うか、率直に言うとかなり悪い。
面接官は仕事ができる人を選んでいるという面もあるが、自分たちとうまくやれる、気持ちの良い人を選んでいるという面もまたある。
初対面で仏頂面だからといって、仕事ができないとは限らない(営業職や人事職は厳しそうだが)。また、初対面では無表情でも、慣れてくれば良い人なのかもしれない。
しかし、多くの選択肢からあえてその人を選びたい人はあまりいないのではないだろうか。
態度
面接における態度とはいったい何なのか。一般的に「態度が悪い」とされるマナー違反を面接の場でする人はあまりいないだろう。
筆者の考えによれば、面接における態度とは自信とやる気の二つである。
面接における第一印象が良く、実際に合格する人は、受かるつもりで面接に来ている。
経歴や実績に自信を持って話せており、さりげなくアピールも出来ている。
また、やる気があり、受験企業で仕事をするつもりで来ているため、逆質問の時間にならなくても質問をはさんでくる。
さらに、面接官が述べたことのうち、興味があることは(候補者の方から)掘り下げようとしてくるのも特徴である。
ここで述べたことを全てできる必要はないし、する必要もない。自信とやる気がどういう形で出てくるのかは人によって違うからだ。
ただし、自信ややる気がある人間ならどう振舞うのかという軸で、自分の面接を振り返ってみることは有意義である。
まとめ
実務的観点からすると、面接における第一印象で重要なのは、顔や服装(身だしなみ)ではない。
実際には職務経歴書の時点から第一印象は形成されているため、その対策から始めるべきであり、面接時点では顔や服装よりも表情や態度の方がより重要である。