私は20代で転職を3回経験しているのですが、また転職をしたくなってきています。
転職は癖になると聞いたことがあるのですが、本当でしょうか?私は、このままジョブホッパーになってしまうのでしょうか?
転職が癖になる理由と転職癖を直したい場合の対処法を教えて頂きたいです。
今回のテーマは「転職が癖になる理由と、転職癖を治したい場合の対処法」である。
結論から申し上げると「転職が癖になってしまう人は多い。一度転職をすると転職のハードルが下がるということを含め、その理由は4つほどある。本記事では、理由と対処法を合わせて解説していく」という内容になっている。
初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。
筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。
- 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
- 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
- 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
- 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験
この記事を読むことで、自分がなぜ転職を繰り返したくなってしまうのかについて理由が分かり、転職癖を適切なレベルに抑制しておく対処(工夫)が出来るようになるだろう。
結論
まず本記事の結論を記載しておく。
箇条書きで記載しているため、詳細は本文中で確認していただきたい。
転職が癖になる主な理由は、以下の通りである。
- 会社に勤めていると、転職をしたくなる出来事が多いから
- 転職を経験したことで、転職するという行為のハードルが下がっているから
- 転職にはメリットが大きいから
- 転職を重ねることのデメリットはすぐには感じられないから
転職癖を治したい場合の対処法は、以下の通りである。
- 転職以外の選択肢も知っておく
- 転職回数が多いと転職が不利になることを知っておく
- レベルが高い職場・低い職場のメリットを知っておく
- 労働条件(主に年収)が向上するときにのみ転職すると決めておく
転職が癖になる理由
転職が癖になる主な理由は、以下の通りである。
- 会社に勤めていると、転職をしたくなる出来事が多いから
- 転職を経験したことで、転職するという行為のハードルが下がっているから
- 転職にはメリットが大きいから
- 転職を重ねることのデメリットはすぐには感じられないから
会社に勤めていると、転職をしたくなる出来事が多いから
当サイトの読者には言うまでもないかもしれないが、会社員生活を送る上で、嫌な出来事に遭遇することは多い。
パワーハラスメントやセクシャルハラスメントのようなわかりやすいものから、上司や社風との相性の悪さ、通勤時間の長さ、同僚の無能さまで、転職したくなる理由を挙げれば枚挙にいとまがない。
このような、現在の勤務先で起こる嫌な出来事から逃れるための、確実な方法の一つが転職である。
転職が癖になりやすいのはビジネスパーソンとしての宿命であるとも言えるだろう。
しかしながら、これは当然だとも言えます。むしろ、転職をあまり考えないビジネスパーソンの方が少ないでしょう。
転職を経験したことで、転職するという行為のハードルが下がっているから
転職を一度も経験していない場合には、嫌なことが起こったとしても転職以外のストレス解消方法を取る人も多いだろう。
初めての転職は、多くの人にとって初めての「人生を左右する、自発的な決断」であり、そのプレッシャーは大きい。
進学の際にも迷っただろうし、就職の際にも迷ったと思うが、転職は進学や就職と違って「必ずしも必要なものではない」ため、初めての自発的な決断だと言えるのである。
しかし、一度でも転職を経験してしまうと話は別である。
転職を経験したことで次の転職のハードルは下がり、会社や仕事で嫌なことがあるたびに転職の二文字が頭をかすめるようになる。
転職にはメリットが大きいから
当サイト「転職参謀」では何度もお話ししてきているが、転職にはメリットが大きい。
転職という手段を用いれば、以下のような事由のほぼ全てを解決することが出来るのである。
- 年収や肩書、市場価値を上げたい
- やりたい仕事がある
- 人間関係が悪い
- 会社の将来性に不安がある
- 職種の将来性に不安がある
- 社風が合わない
- ブラック企業である、ハラスメントがある
- 幅広い、もしくは深いスキルや経験を積みたい
- ローテーションにより専門性が身に付かない
- 単純作業やムダな業務が多く、つまらない
- ヒエラルキーがあり、若手である自分の意見が受け入れられない
- 働かない人間や無能な人間がおり、腹立たしい
- 飲み会やイベントがくだらない
- 評価や人事制度に不満がある(年功序列等を含む)
- 勤務地や転勤制度に不満がある
- 著しくヒマである
- 著しく忙しい(残業が多い/休日が少ない)
- 介護や子供の教育などの個人的な事情がある
実際に、転職は人生を変えうる手段である。
仕事の幸福度を上げることができ、波及効果として人生そのものも大きくプラスに変え得る。よって、転職の持つ大きなメリットに頼りたくなるというのはある意味で当然のことなのである。
転職を重ねることのデメリットはすぐには感じられないから
転職にはメリットだけでなくデメリットもある。
「転職の4つのデメリットとその対処方法を人事プロが本音で解説」という記事に書いた通り、転職のデメリットは大きく分けて以下の4つである。
- 失敗があり得る
- 情報の非対称性を受け入れざるを得ない
- 転職直後の変化に弱くなる
- リセットされる要素が多い
ただし上記は一度の転職で生じるデメリットであって、転職を重ねることでのデメリットは別にある。
転職を重ねることでのデメリットとは、転職回数が多いと「人格的に問題がある」または「忍耐力がない」ものと判断され、転職がしにくくなることである。
このデメリットは、何度か転職を繰り返してしまった後に生じるものである。
すぐに感じられるデメリットではないため、転職癖を止めるための歯止めにはならないことが多いのである。
転職癖を治したい場合の対処法
転職癖を治したい場合の対処法は、以下の通りである。
- 転職以外の選択肢も知っておく
- 転職回数が多いと転職が不利になることを知っておく
- レベルが高い職場・低い職場のメリットを知っておく
- 労働条件(主に年収)が向上するときにのみ転職すると決めておく
転職以外の選択肢も知っておく
嫌なことがあるたびに転職という選択肢に飛びついていては、転職癖がついてしまうことになる。
転職を考えるような嫌なことが起きた場合には、転職以外にも使える手段がいくつかある。
当サイト「転職参謀」では何度か申し上げているのだが、その手段とは以下の3つである。
- 改善する
- 我慢する
- 異動する
>>【転職はハイリスク】人事プロが教える、転職より前に検討すべき3つの選択肢
上記の中でも、特に「異動(配置転換)」は転職と同じぐらい多くの問題を解決できる有用な手段である。
転職とは異なり、人事や上司に掛け合う必要があるのでハードルを感じるかもしれないが、「辞められてしまうくらいなら希望の部署に異動させる」という考えの会社も多い。
転職回数が多いと転職が不利になることを知っておく
転職を重ね過ぎると「転職がしにくくなる」というデメリットがあることは、すでに述べた通りである。
転職癖がつく前にこのことを知っておけば、ある程度の転職回数で歯止めがかかる可能性は高い。
具体的には、「少し転職のペースが速いから、次の転職先には2~3年は在籍し続けないといけない」等と、ある程度覚悟を固めることができるのである。
>>20代の転職回数は何回までOK?最大手の人事面接官が本音で回答
レベルが高い職場・低い職場のメリットを知っておく
転職したくなる理由の一つとして、職場のレベルがあまりにも高かったり、逆にあまりにも低かったりすることがあるだろう。
この場合には、レベルが高い職場では「自然と高いレベルの仕事の基準(スタンダード)が備わる」といったようなメリットがあることを認識しておくことが対策になる。
逆にレベルの低い職場では、以下の記事に書いたように「高い評価をされやすく、出世しやすい」というメリットがある。
レベルの高い・低い以外の原因だったとしても、デメリットの中に何かしらのメリットが隠されているケースは多い。
メリットを再発見することが職場における在籍期間の延命処置になることもあるので、覚えておくといいだろう。
労働条件(主に年収)が向上するときにのみ転職すると決めておく
最後に、労働条件(主に年収)が向上する時にのみ転職すると決めておくのも、転職癖がつくのを防ぐのに有効な方法である。
労働条件が向上し続ける限り、転職し続けても問題はないと言える。
今より良い労働条件であなたを雇おうとする雇い主がいるということは、「転職を重ね過ぎると転職がしにくくなる」という状態にまだ至っていないということだからである。
転職癖がついてしまった人の末路
最後に、転職癖がついてしまった人の末路(≒転職を繰り返す人の末路)について補足しておこう。
逃げの転職を繰り返してしまうとひどい末路(転職先がなくなる等)になることもあり得るが、時代の趨勢を考えると、転職を繰り返す人の末路は割と明るい。
その理由については別の記事で解説しているため、そちらをご覧になっていただきたい。
まとめ
転職は癖になりやすい。
その対処法はいくつかあるのだが、今後転職が当たり前になっていく世の中では、ある程度の転職癖は当然のものとして許容することも必要だと思う。