転職 英語力

転職に英語力は必要?必要TOEICスコア、メリット、業種・職種別の必要性を人事プロが解説

悩めるビジネスパーソン

転職に英語力は必要なのでしょうか?また、英語力があればどれほど有利になるのでしょうか?
現在、転職活動をしており、TOEICスコアは800程度あります。
外資系企業への転職を目指しているため、英語力のTOEICスコアでの基準やメリットについて知りたいと思っています。

 

今回のテーマは「転職における英語力の必要性とそれによるメリット」である。

結論から申し上げると「英語力があれば転職をしてもしなくても年収にして100万円~200万円程度のポジティブ・インパクトはあり、特に外資系のマネージャー以上になるのであればTOEIC800程度は必須となってくる」という記事になっている。

 

齋藤
本記事では、英語力の必要性やメリット、必要TOEIC スコアや業種・職種別の必要レベル等、転職における英語力について多岐にわたる観点から解説しています。

 

初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。

筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。

  • 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
  • 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
  • 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
  • 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験

 

この記事を読むことで、転職における英語力の必要レベルが正確にわかり、英語学習へのモチベーション上昇、英語のための無駄な努力の回避、外資系転職の成功率アップをはかることが出来るだろう。

 

結論

本記事の結論は以下である。

  • 2022年現在でも、転職において英語力が必須とまでは行かず、必須なのは外資系などの一部
  • 転職は、外資系でも基礎能力(コンピテンシー)と専門性が基本で、英語力はプラス加点。英語専門家は不要
  • 実践的な英語力は、海外赴任やグローバルプロジェクトへの参加確率を上げ、外資系企業へのパスポートとなる。年収インパクトに換算して+100~200万円は固い
  • 業種・職種別の必要英語力は目安程度。Businessレベルがあればなんとかなるのでまずはそこを目指す
  • 英語を活かす外資系企業への転職であれば、筆者もお世話になったJACリクルートメントをおすすめする

>>JACリクルートメントの評判・口コミを人事プロが解説

 

【前提】実践的英語力は一部の転職以外では必須ではないが、TOEIC700点くらいは出世に必要

2022年現在でも、転職において英語力が必須とまでは行かない。

 

多くの企業ではマネージャー昇格等にTOEIC スコアの基準を設けているが、その基準は650~700点程度であることが多く、実践的な英語力には全く満たない水準である。

実践的な英語力という意味では、一部の転職以外では必須となっていないというのが実情である。

 

齋藤

なお、外資系企業でさえ英語力が本当に必要なポジションというのは少ないです。
スタッフレベルで英語力が必要な職種は人事等のコーポレートファンクション(本社系)等でわずか。本国の外国人上司と話すようなマネージャーレベル以上でようやく必須となってきます。

 

逆に言えば、TOEIC で650~700点程度の英語力は、(日本企業かつ英語に全く関係ない部署でさえ)出世していくために必要ということも言える。

実際、筆者が以前勤務していた企業では、TOEIC スコアが足りないために課長に昇進できず、日夜必死に英語の勉強をしている人もいた。

 

基礎能力+専門性+英語力で勝負。英語専門家は不要

英語力が重要、グローバル社会、等と言われると、英語力があれば転職の成功確率が飛躍的に上昇する気がしてきてしまう。

しかしそれは誤解であり、英語力は外資系企業であってもプラスアルファに過ぎない。

 

まず重要なのは、基礎能力(コンピテンシーである。

問題解決能力や、周囲を巻き込む力、新しい業務について迅速に学習して成果を出す力等、ビジネスパーソンとしての基礎力が最も重要である。

 

次に重要なのが、専門性である。

中途採用の場合、ある程度の専門性により転職後の早いタイミングからプロフェッショナルとして活躍するということが求められる。

専門性とは、その職種において経験してきた仕事の「深さ」と「幅」とも言えるので、 実績を積めば積むほど有利になる。

 

この基礎能力と専門性があってこそ、プラスアルファとしての英語力が活きてくる。

昔であれば英語力だけの英語専門家というのもある程度ニーズがあったらしいが、今はそういった人間を抱えている余裕はなく、「基礎能力+専門性+英語力」がセットで必要になっている。

 

転職では実践的な英語力が重要。TOEICスコアだと800、強みにするなら950

転職で必要なのは、実践的な英語力である。

すでに述べたとおり、日系企業では昇進の基準にTOEICスコア700点等としている場合が多いが、これは全く実践的な水準ではないので参考にならない。

 

テストを受けるために英語力を測っているのではなく、仕事を円滑に遂行するために英語力を測っているのであるから、重要なのは実践的な英会話力および資料作成能力である。

筆者の経験によると、実践的な英会話力や資料作成能力がある場合、自然とTOEICスコア800点以上は満たす

 

外資系企業等で通用する最低水準も、TOEICスコア800点程度である。

もちろんこれは入社時に必ず満たさなければいけないというものではないが、800点付近のスコアがないと、入社できたとしても相当苦労することになってしまう。

 

また、「英語力が強み」という方であれば、TOEIC920~950点程度が必要になってくる。

TOEIC900点程度であれば、実践的英語力がなくても、ペーパーテストに強い人間であればお勉強の範囲内で取れてしまう。

 

しかし、900点を明確に越える950点前後の水準まで行くと、日本人にありがちな「TOEICの点数は高いがしゃべれない」という人間は途端に減ってくる。

この経験則は外資系の人事や外資系の転職エージェントも知っているので、TOEICで950点あれば、英語が強みと言ってもよいだろう。

 

英語力はどう活きるか?転職に限らない、具体的な2つのメリット

英語力の具体的な(≒年収アップにつながる)メリットは以下の2つである。

  • 海外赴任やグローバルプロジェクト等のチャンスを得られる確率の上昇
  • 外資系企業への転職成功確率の上昇

 

上記の2つのメリットは、双方年収換算で少なくともプラス100~200万円程度のインパクトを持つ。

それぞれ簡単に説明していこう。

 

海外赴任やグローバルプロジェクト等のチャンスを得られる確率の上昇

英語力がキャリアにもたらすメリットは、外資系企業への転職だけではない。

日本企業であっても、ある程度のグローバル企業であれば、海外赴任のチャンスグローバル横断のプロジェクトに参加するチャンスなどが巡ってくることが多い。

 

このチャンスにより、英語を話せないメンバーと比べて成果をあげるチャンスが増え、結果として(実力主義になりつつある今の人事制度では)年収でも同僚に差をつけられるようになっている。

英語力があれば、転職せずとも出世や赴任者手当等により、100~200万円のポジティブ・インパクトを受けることが出来るのである。

 

外資系企業への転職成功確率の上昇

もう一つのメリットは、当然ながら外資系企業への転職である。

何度も繰り返しになって恐縮だが、外資系企業にはある程度の英語力が必要とされるポジションも多く、本国の外国人上司と話さなければいけないようなマネージャーレベル以上だと必須になってくる。

 

同レベルのポジションであれば、外資系企業は日系企業より年収が高めであることが多い。

以上のことから、転職であっても、英語力により年収100~200万円程度のポジティブ・インパクトが受けられる

 

業種・職種別の必要英語力(ロバート・ウォルターズより)

必要な英語力は業種や職種によって異なる。

究極的には以下のように、どういった企業の、どういったポジションに入るかによって必要な英語力は全く違う。

  • 英語力の必要性はポジションによって違い、一概に語れない。例えば同じ「外資系製薬企業」でも、会社によって、ポジションによって英語の必要性は全く違う
  • とはいえ一般的に、外資系のマネージャー以上では、上に行けば行くほど英語力が必要だとは言える

 

とはいえ、目安が欲しいという方も多いと思うので、外資系の人材大手ロバート・ウォルターズが出している「業種・職種別の必要英語力の目安」を引用しておく。

まず、レベルとしては以下の5レベルで表しており、下に行くほど高レベルである。

  • Basic (基礎レベル)
  • Conversational (会話レベル)
  • Business (ビジネスレベル)
  • Fluent (流暢レベル)
  • Native (母国語レベル)

 

齋藤
ちなみに、上記はロバートウォルターズの尺度ではなく、一般的な尺度なので覚えておくと良いかもしれません。
英語力はTOEICでは測れませんが、無理やりTOEICに換算すると、Fluentが920点以上、Businessが800~920点、Conversationalが700~800点、700点以下はBasic、というイメージです。

 

以下が、「業種職種別の必要英語力の目安」である。

  • 金融:Fluent ~ Native
  • 経理・財務:Business ~ Fluent
  • 人事:Business ~ Fluent
  • IT
    • 事業会社IT部門:Conversational ~ Fluent
    • IT企業:Business
  • 製造
    • 自動車:Conversational ~ Business
    • メーカー(電気/電子/機械):Conversational ~ Business
    • エネルギー・インフラ:Conversational ~ Fluent
    • 化学:Conversational ~ Business
  • 営業&マーケティング
    • ヘルスケア(製薬&医療機器):Business ~ Fluent
    • 消費財:Conversational ~ Business
    • 小売:Business
    • ホスピタリティ:Business ~ Fluent
    • IT – ソフトウェア/ インフラ/サービス:Business
    • IT – デジタル・オンライン:Business ~ Fluent

出典:ロバート・ウォルターズ「業界・職種別:外資系で求められる本当の英語力」

 

齋藤

見ていただければ分かりますが、大きな括りが「金融」「経理」「人事」「IT」「製造」「営業&マーケティング」となっており、モレがなくダブりがない分類とはとても言えません。
あくまで参考程度に捉えていただきたいと思います。

 

些か乱暴な言い方をすると、ほぼ全ての業種・職種でBusinessレベルの英語力があれば入社に求められるレベルは満たす

よって、まずはBusinessレベルを目指し、入社してから磨き上げる方針を採るのが良いだろう。

 

英語力を活かす転職におすすめの転職エージェント

英語力を活かす転職と言えば、外資系企業である。

外資系企業への転職に関しては、以下の記事に詳しく書いたので必要に応じて参考にしてほしい。

>>外資転職の教科書

 

筆者がおすすめする、外資系企業に強い転職エージェントは以下の3つである。

  • JACリクルートメント
  • エンワールド
  • ヘイズジャパン(Hays Japan)

 

上記について詳しく説明はしないが、筆者は全て登録している。

特にJACリクルートメントは、外資系企業のみならず英語力が必要な日系グローバル企業も併せて紹介してくれるため、登録していなければぜひ登録をおすすめしたい。

>>JACリクルートメントの評判・口コミを人事プロが解説

 

まとめ

英語力は出世や転職に必須とまでは言えないが、年収インパクトにして100~200万円程度は固いという意味で、非常に優秀なツールであり、費用対効果の高い学習である。

英語が苦手なものの、海外赴任やグローバルプロジェクト、外資系に興味がある人はTOEIC800まで頑張ってほしい。

 

転職サイトや転職エージェントは無数にあるが、それらを紹介するランキングやおすすめサイトの信憑性は低く、どのサイトに登録すべきか悩む方は多い。

迷ったら、年代でも性別でもなく、シンプルに年収で決めるのがおすすめである。

  • リクナビNEXT年収800万円未満の場合。日本最大級の公開求人を掲載、エージェントも豊富
  • JACリクルートメント 年収800万円以上の場合。大手および外資系を中心に、日本最大級の非公開求人を保持

 

人材企業の最大手リクルートが運営するリクナビNEXTは、年収が800万を超えるまでは万能の転職サイトだと言える。(それ以上の年収帯では案件が減る)

掲載求人が豊富なだけではなく、リクナビNEXTには多数の転職エージェントが参加しているため、網羅的に求人を探すことが出来る。

 

JACリクルートメントは、筆者が最も信頼している転職エージェントである。転職エージェントとしては日本最大の売上高を誇り、求人の多さ、エージェントの質ともにダントツである。

ただしJACはハイクラス・ミドルクラス向けのため、そのスペックをフル活用するには年収800万円程度が必要だ。

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