会社を辞める前の準備として、やっておくべきことはありますか?あるとしたら、それは何でしょうか?
退職前の準備事項について、教えてください。
今回のテーマは「会社を辞める前に準備しておくべきこと」である。
結論から申し上げると「会社を辞める前には転職活動や退職後の資金確保等、いくつかやっておくべきことがあるので、本文中で網羅的に解説していく」という内容になっている。
また、会社を辞めて転職する場合だけでなく独立起業する場合にも対応しています。
初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。
筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。
- 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
- 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
- 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
- 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験
この記事を読むことで、万全な準備をしたうえで会社を辞められるようになり、退職後に後悔することがなくなるだろう。
結論
まず本記事の結論を記載しておく。
箇条書きで記載しているため、詳細は本文中で確認していただきたい。
会社を辞める前にやっておくべき準備は、以下の5つである。
- 転職活動もしくは起業準備
- 退職および転職・起業の資金確保
- 社会的信用が必要となる行動の完了
- 汎用性の高い資料の保存
- 円満退職の演出
会社を辞める準備
本項では、会社を辞める前にやっておくべき5つの準備についてそれぞれ解説していく。
転職活動もしくは起業準備
転職活動は、会社を辞める前にやっておくべき最優先事項である。
転職先を確保する前に退職をしてしまうと、履歴書上・職務経歴書上のブランク期間(空白期間)が空くことになる。
>>転職のブランク期間はヤバい?その真偽と対処法5つを人事プロが教える
このブランク期間は、転職において不利に働く。ブランク期間があると、転職時の中途採用面接において言い訳をしなければならなくなるためである。
- ブランク期間が1~2ヶ月あるだけで「待てない事情でもあったのか?」と思われる
- ブランク期間が3~4か月あると、何らかの理由が必要
- ブランク期間5~6か月以上で明確に不利になってくる
会社を辞める前に転職活動を始めておくことも大切だが、完了させておくことも大切である。
転職活動の完了とは、オファーレターの確保と退職届の提出である。以下の記事に書いたが、オファーレターという名称に限らず、必ず書面で内定の確約をもらってから辞めることが重要だ。
>>退職届(退職願・辞表)はいつ出す?ギリギリに出すべき理由を人事プロが解説
また、転職ではなくフリーランスとして独立したり、会社を起業したりする場合にも、その準備は在職中に進めておくべきである。
週末起業として本業と並行して準備しておく、マーケットリサーチを兼ねて副業として開始しておく等、やれることは多い。
退職および転職・起業の資金確保
転職時にはある程度の出費が必要となることも多いため、資金確保をしておくべきである。
具体的に言えば、転職活動においては以下のような出費(もしくは収入の減少)があり得る。
- 応募書類やその送付費用
- 被服費
- 交通費
- 転職関連の書籍代
- 転職関連のサービス代
- 敷金・礼金・引っ越し代
- その他、残業代の減少など
「転職に費用はどれくらいかかる?人事プロが解説」に詳しく記載した通り、ほぼ全員が必要とする費用は交通費ぐらいであるが、一度は確認しておいて損はない。
特に、転居が必要となる転職をする場合には、敷金・礼金等の大きな金額がかかってくる場合がある。
また、言うまでもないことであるが、独立起業する場合にも一定の資金が必要である。
独立起業する場合、最初から利益で自分自身の給料を賄えることは多くない。初期の生活費は貯金から持ち出しになることが多いため、その資金確保は事業の成功と失敗を分ける重要事項となる。
社会的信用が必要となる行動の完了
独立起業する場合、または現在よりも社格の落ちる会社に転職する場合には、現在よりも社会的信用が低くなってしまう。
そのため、社会的信用の審査が必要な契約や行動については、会社を辞める前の準備として完了させておくことが重要である。
具体的には、以下のような事項がそれに該当する。
- クレジットカードの作成
- 住宅購入やそれに付随するローン契約
- 住宅の賃貸契約
もちろん、上記の各項目がどれも必要ないという人もいる。
すでに上記の行動を行う予定がある(例:転居の予定がある)という方は、退職前にやっておくべきということである。
汎用性の高い資料の保存
機密保持契約上問題があることも多いが、意外とやっている人が多いのが汎用性の高い資料の持ち出しである。
筆者は行っていなかったので驚いたのだが、外資系企業を渡り歩くタイプの人間で、過去に勤務していた会社の資料を使い回している人は多い。
モラル的に、または法的に問題はあるものの、筆者の経験上、少なくとも以下の3点は言える。
- 実態としては多い。転職を繰り返している人が、様々な企業で得た知識やその資料を武器にしているケースはよく見た
- 何らかの企画業務における参考資料や他社ベンチマークとして、実際に役に立つ場面が多い
- 筆者個人として、これが問題になったケースは見たことがない
「法的に問題」という点では、不正競争防止法または労働契約上の違反になるかどうかが問われることになるが、通常、この立証は困難である。
過去の勤務先に損害を与えるレベルのことをすると問題となるが、次の職場で参考資料にした程度でバレることはほぼないし、バレたとしても法や契約に反していると立証できるケースは非常に少ない。
少なくとも、自身がメモしたノートまで含めて退職時に捨てさせる会社は少ないはずである。
自身の専門性に関わる資料は、今後の参考およびベンチマークのため、記録しておく、または記憶しておくと非常に役に立つ。
円満退職の演出
会社を辞めるからには、何らかの不満があった事と思う。
しかしながら、その不満を率直にぶちまけて退職するのは、自身の利益に照らすと賢いとは言えない。円満退職には、以下のようなメリットがあるからである。
- 転職先での退職理由としても活用できる
- 退職までに感じる心的負担が減る
- 前職の人脈(人的ネットワーク)を維持できる
- 今後の転職活動においてリファレンスチェックを受けやすくなる
特に、外資系企業を受ける可能性が今後(わずかでも)あるのであれば、上記の④(リファレンスチェック)の観点から、円満退職しておくことをおすすめする。
>>【実例公開】リファレンスチェックで転職はバレないが別の注意点あり。対策をプロが解説
円満退社のためには「表向きの円満な退職理由」を準備することのほか、以下のようなことが重要になってくる。
- まず直属の上司に伝える
- 全ての上司や同僚に対し、伝える内容を統一する
- 自分の中で退職を決断しておき、条件提示になびかない
円満退社の方法について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてほしい。
まとめ
会社を辞める場合、多くの人は転職することになると思う。
その場合、転職先の確保は最重要である。それに加え、今後ビジネスパーソンとして生きていくのであれば、自身の専門性を補強してくれる資料の記憶または記録もかなりのアドバンテージにつながる。