転職理由 本音

会社を辞める本音の理由と面接での転職理由は別!本音18個を人事プロが解説

悩めるビジネスウーマン
齋藤さんの別の記事(面接の転職理由、面接官に言ってもいいのはこの3つだけ)に、転職理由は本音を話すべきではないと書かれていました。
それはその通りだと思ったのですが、実際に皆さんの「会社を辞める本音の理由」はどのようになっているのでしょうか?
「自分は自分、他人は他人」とも思いますが、私自身の退職理由が陳腐でないか不安なため、知りたいです。
プロの人事として見てきた本音の転職理由にはどんなものがあるのか、教えて頂けませんか?

 

今回のテーマは「ビジネスパーソンが会社を辞める本音の理由」である。

結論から申し上げると「(別の記事でも書いたが)面接等で言ってもいい転職理由は限られ、本音は言うべきでない。一方、本音の転職理由は多岐に渡るため、それぞれ解説していく」という内容の記事になっている。

 

齋藤
面接で言うべき(建前の)転職理由についても次項で解説しているので、どういう転職理由なら言っても良いのか迷っている方にも役に立つと思います。

 

初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。

筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。

  • 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
  • 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
  • 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
  • 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験

 

この記事を読むことで、周囲のビジネスパーソンがどんな理由で会社を辞めるのかの「本音」が分かり、自分自身の内省や、周囲ですでに転職した人の転職理由の推測に役立つだろう。

 

結論

面接の転職理由、面接官に言ってもいいのはこの3つだけ【裏技あり】」に記載したとおり、好感を持たれる転職理由は限られているため、面接では本音を言うべきではない。

面接で使うべき転職理由は、大きく以下の3パターンに分類できる。

  1. ライフプラン系(「ライフプランと合わない」ということ)
  2. キャリアプラン系(「キャリアプランと合わない」ということ)
  3. 本当にヤバい系(ハラスメントや過度な長時間労働など)

 

上記の3つについて、詳しくは以下の記事で解説しているので参考にしてほしい。これらに分類される転職理由であれば、まともな面接官は「なるほど、それは転職に踏み切るのも理解できる」と思うはずだ。

>>面接の転職理由、面接官に言ってもいいのはこの3つだけ【裏技あり】

 

一方で、本音の転職理由は多岐に渡り、大きく分類すると以下のようになるだろう。

  1. 年収や肩書、市場価値を上げたい
  2. やりたい仕事がある
  3. 人間関係が悪い
  4. 会社の将来性に不安がある
  5. 職種の将来性に不安がある
  6. 社風が合わない
  7. ブラック企業である、ハラスメントがある
  8. 幅広い、もしくは深いスキルや経験を積みたい
  9. ローテーションにより専門性が身に付かない
  10. 単純作業やムダな業務が多く、つまらない
  11. ヒエラルキーがあり、若手である自分の意見が受け入れられない
  12. 働かない人間や無能な人間がおり、腹立たしい
  13. 飲み会やイベントがくだらない
  14. 評価や人事制度に不満がある(年功序列等を含む)
  15. 勤務地や転勤制度に不満がある
  16. 著しくヒマである
  17. 著しく忙しい(残業が多い/休日が少ない)
  18. 介護や子供の教育などの個人的な事情がある

 

本記事では、上記の「会社を辞める本音の理由」についてそれぞれ簡単に解説していく。

 

【1】年収や肩書、市場価値を上げたい

年収や肩書、市場価値を上げたい」という、いわゆるキャリアアップ志向から転職する方は多い。

実際、「【給与公開】出世で給与を上げるのは本当に大変か」にも書いたが、転職は年収やポジションを一気に上げる有効な手段である。

 

大っぴらに「年収を上げるために転職する」と言ってしまうのは、現職の周囲にも転職先にも好まれない。

しかし、転職理由としては非常にポピュラーであり、比較的前向きな理由といえるだろう。

 

【2】やりたい仕事がある

やりたい仕事がある」というのもよく聞く転職理由である。

現在の会社には存在しない業務、または自分には回ってこない業務がある場合に、転職でやりたい仕事を取りに行くことが出来る。

 

なお、(いつも言っていることではあるが)やりたい仕事が現在の会社にもある場合には、まずは社内異動を試みた方が低リスクである。

>>【転職はハイリスク】人事プロが教える、転職より前に検討すべき3つの選択肢

 

この「やりたい仕事がある」という理由は角が立ちにくく、建前としても使える。

 

【3】人間関係が悪い

人事として断言するが、本音の転職理由の多くは「人間関係が悪い」に集約される。

特に上司との人間関係が悪い場合、仕事は苦痛でしかなくなる。

 

とはいえ実態としては、「人間関係が悪い」だけで転職をするケースは多くなく、これに他の要素も組み合わさって辞める方が多い印象である。

「人間関係が職場の全員と最高」ということはあまりないため、人間関係だけが悪いケースであれば「相手の異動を待つ」「自分が異動する」等の別の手段を検討してみてもいいだろう。

>>人間関係に疲れて転職する際に必要な全知識【人事面接官が教える】

 

【4】会社の将来性に不安がある

各社の退職理由の分析をしていると「会社の将来性に不安がある」という理由が頻出する。

 

会社が倒産してしまえば、そこで培った業務知識や信用、人間関係を失い、最悪のケースでは専門性までもが価値を失うことさえある。

倒産まで行かずとも、長期的に低迷する業界や会社はあり、当然ながらそこに属する社員のキャリアも会社に引きずられて低迷する。

 

「自分のキャリアは自分の責任」という考えが一般的になった現在では、会社は社員を守ってくれない。

よって、社員も会社を守る義理はない。沈みゆく船からは早めに逃げ出すことだ。

 

【5】職種の将来性に不安がある

昔、女性の花形職種だった電話交換手(電話局で電話線を繋ぐ仕事)は、今では存在しない職種になった。

昨今の情勢から今後の衰退が見えている職種や、衰退業種にしか存在しないニッチな職種では、「職種の将来性に不安がある」という理由で辞める方も多い。

 

筆者がよく見るケースで言えば、具体的には以下である。

  • 医薬品業界のMR
  • 航空業界のフライトアテンダント
  • 出版業界に特有の職種
  • マスメディア業界に特有の職種

 

筆者の印象を率直に言うと、待遇はやや高め(高給や高ステータス)ではあったものの、その生み出していた付加価値が待遇と見合っていなかった職種が多い印象である。

 

【6】社風が合わない

社風が合わない」というのも本音の転職理由では多い。

人間にはタイプというものがあり、会社にもタイプというものがある。例えば「大学のサークルのようなノリ」の社風などは、合う人も合わない人もいる典型例だろう。

 

とはいえ、「多くの人に合わない社風を持つ会社」は予め避けておくべきであるので、必要に応じて以下を参考にしてほしい。

>>人がどんどん辞めていく会社にありがちな「7つの社風」とは

 

【7】ブラック企業である、ハラスメントがある

ブラック企業である、ハラスメントがある」というのも、本音の転職理由に含まれる。

程度にもよるが、ブラック企業やハラスメントは、そもそも違法であるため、他の項目とは一線を画す。

 

よって、転職というよりは、まずは退職することである。

一般的には転職先を探してから辞めた方がいいが、この場合にはブラック企業やハラスメントから逃れるほうが優先である。

 

本サイトの至るところで言っているのだが、心身の健康より重要なものはない。心身を一度壊すと、完全に復調するのは難しい。

 

齋藤
可能であれば、ハラスメントを内部通報窓口等を用いて解決するのも手です。
そういった真っ当な手段でつつがなく解決されるような会社であれば、そもそもハラスメントは起きにくいですが。

 

【8】幅広い、もしくは深いスキルや経験を積みたい

幅広い、もしくは深いスキルや経験を積みたい」という理由で辞めていく人もいる。

この理由で辞めやすいのは、自分を客観視できる優秀な人間や、向上心の強い人間、社外とのつながりを持つ視野の広い人間である。

 

こういう人間がイマイチな職場にいた場合、「今の職場はぬるいのでは?このままだと使えない人間になってしまうのでは?」と気づいてしまう。

その結果として、この理由で転職に踏み切ることになるのである。

 

齋藤
正しい判断だと思います。

 

【9】ローテーションにより専門性が身に付かない

旧態依然とした日本企業の若手の中には、「ローテーションにより専門性が身に付かない」という理由で辞める方もいる。

 

転職が一般化した現在では、「人事→経理→広報」などと定期ローテーションをされてしまい、専門性が身に付かないのはキャリア上の大きなリスクである。

筆者は過去に三菱商事の方を部下として採用したことがあるが、転職理由はまさにこれであった。

 

【10】単純作業やムダな業務が多く、つまらない

単純作業やムダな業務が多く、つまらない」という環境は、人によっては地獄である。

 

考えることが好きな人間、合理的な人間、飽きっぽい人間は特に、こういった環境に耐えられない。

最終的には転職で環境を変えるしかないが、まずは「単純作業は嫌いである」「業務のムダをなくしたい」などと上司に発信し、異動や改善を試みるという手もある。

 

齋藤
上司がまともであれば、何かしら検討すると思います。

 

【11】ヒエラルキーがあり、若手である自分の意見が受け入れられない

さて、ここからは若手、特に有能な若手が抱くことが多い本音の転職理由が続く。

まずは「ヒエラルキーがあり、若手である自分の意見が受け入れられない」というものである。

 

職場のヒエラルキーは、必ずしも優秀な順になっているわけではない。

あなたが将来その会社の社長になる人間であり、社長になるだけの決断力や論理的思考力を新人の時から持っているとしても、最初はバカな上司や無能な先輩未満の発言力しかないのである。

 

ヒエラルキーのある硬直的な組織では、出来る若手、やる気のある若手から辞めていく。

 

【12】働かない人間や無能な人間がおり、腹立たしい

働かない人間や無能な人間がおり、腹立たしい」というのもデキる若手が抱きやすい転職理由である。

いわゆる「働かないおじさん問題」である。

 

ただ、人事として断言するが、働かない、もしくは無能なおじさん・おばさんはどこにでもいる

マッキンゼーやボストンコンサルティンググループにもいる。グーグルやマイクロソフトにもいる。

 

そして、往々にしてこういう人間に相応の処分が下ることは少ない。

「早くクビにしろよ」と多くの若者に思われているおじさん・おばさんは、しぶとく残り続けるのである。

 

優秀な人間であればあるほど、この事象に憤慨する。気持ちは非常に良く分かるが、怒りのエネルギーの無駄である。

あなたが上司となってそれらの人間に引導を渡せるようになるまでは、あまり気にしすぎない方が吉である。

 

齋藤
こういう人間にストレスを感じることすらもったいないです。

 

【13】飲み会やイベントがくだらない

たまに「飲み会やイベントがくだらない」という理由で辞める若手もいる。

 

気持ちはわかるが、この理由だけで辞めるのはもったいないだろう。

飲み会やイベントは労働ではなく必須ではないので、まずは断ってみて、それに失敗してから辞めても遅くない。可能であれば「飲み会に出ないキャラ」を確立するのもおすすめである。

 

齋藤
ただし、「くだらない飲み会やイベントが多発する会社」では、他の転職理由も満たしていることが多いです。

 

【14】評価や人事制度に不満がある(年功序列等を含む)

評価や人事制度に不満がある」という理由で辞める方は多い。

中高年は純粋な「自分への低評価への不満」で辞めることが多いが、若手は「年功序列的な制度への不満」で辞めることが多い。

 

企業が合理的に利益を追求すれば実力主義の評価・登用になるはずなのだが、そうなっていない日本企業は(古い業界を中心に)まだ多い。

こういった企業では、年功序列で不利益を受ける人間、つまり能力のある若手から辞めていく。

>>日本製鉄を辞めたい方の教科書|退職理由や後悔、市場価値や転職方向性まで

 

【15】勤務地や転勤制度に不満がある

各都道府県に支店や営業所、工場等があるような業種では、「勤務地や転勤制度に不満がある」という理由で辞める方も多い。

 

大きく分けると3パターンほどあり、「転勤生活に疲れた・嫌気がさした」「年齢的に難しくなった」「家庭の事情で難しくなった」というものである。

独身の際は転勤に抵抗がなかったが、家族が出来てから転勤ができなくなり、転職を考えるようになった方が多い印象である。

 

【16】著しくヒマである

著しくヒマである」というのも本音の転職理由になり得る。

 

仕事をしなくても給与がもらえる、というのは一見良さそうだ。

しかしながら、人間は何もしないことが苦手な動物である。会社にいなければならないのに仕事がない、というのは多くの人にとってかなり辛いことである。

 

【17】著しく忙しい(残業が多い/休日が少ない)

人間はヒマすぎるのは嫌いだが、忙しすぎるのも嫌いである。

忙しいと心身を壊すリスクが上がるし、そこまでいかずともプライベートが圧迫される。

 

著しく忙しい(残業が多い/休日が少ない)」というのは、人間関係に次いで多い退職理由だと言える。

コンサルなどの激務職で多い理由だが、そうでなくても「若手に仕事が集中」「出来る人に仕事が集中」する職場では(不公平感もあり)起こりやすい。

>>アクセンチュアを辞めたい方の教科書|退職理由や後悔、市場価値や転職方向性まで

 

【18】介護や子供の教育などの個人的な事情がある

最後は、「介護や子供の教育などの個人的な事情がある」というものである。

「勤務地や転勤制度への不満」や「著しく忙しい」という転職理由と同じように、現在の働き方ではプライベートを保つことが困難になった場合に転職理由となってくる。

 

この理由は面接官にも受け入れられやすく、したがって転職面接でも言えることが多い。

 

まとめ

本記事では18個の「会社を辞める理由」を紹介してきたが、実際には辞める理由が複数積み重なって辞める方が多い

 

すでに1つ以上の該当項目がある方がまずやるべきことは、ゆるゆる転職(=とりあえず転職サイトに登録し、あとはほぼ放置する転職手法)の開始である。

これさえしておけば、許容範囲を超え、会社で「もう嫌だ」と叫んだ日に自分の準備不足を後悔しなくて済む。

 

転職サイトや転職エージェントは無数にあるが、それらを紹介するランキングやおすすめサイトの信憑性は低く、どのサイトに登録すべきか悩む方は多い。

迷ったら、年代でも性別でもなく、シンプルに年収で決めるのがおすすめである。

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