高圧的な上司

高圧的な上司のトリセツ|特徴、心理、対処法まで人事プロが解説

悩めるビジネスパーソン

現在の上司が嫌いです。
その理由はたくさんあるのですが、一番嫌なのが、ムダに「高圧的」な点です。
パワハラだったら人事に通報するのですが、ワンマン上司やマウンティング上司ではあっても「パワハラ上司」とまでは行かない程度に高圧的なのが厄介です。
こういう上司をどのように扱えばよいのでしょうか?やはり、私が転職するしかないのでしょうか?
人事のプロとして、アドバイス頂けますと幸いです。

 

今回のテーマは「高圧的な上司(マウンティング上司、ワンマン上司を含む)への対処法」である。

結論から申し上げると「高圧的上司にまつわる諸問題(パワハラや組織崩壊、退職者続出等)を多数見てきた人事のプロとして、正攻法を含めた4つの具体的かつ実践的な方法を解説」する内容の記事になっている。

 

齋藤
精神論やタテマエではなく、職場における具体的な解決策を全て解説しています。
高圧的な上司(マウンティング上司、ワンマン上司)に関する日本語で書かれた記事の中で、最も網羅的で実践的なものになっているかと思います。

 

初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。

筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。

  • 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
  • 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
  • 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
  • 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験

 

この記事を読むことで、高圧的な上司に対する正しい対処法が分かり、今後ビジネスパーソンとして快適に過ごしていくための第一歩が踏み出せるだろう。

 

【前提】高圧的な上司の特徴(高圧的であること以外)

そもそも高圧的とは、以下のような意味である。

人を威圧するさま、権力を笠に着て偉そうに接するさま、等を指す意味で用いられる表現。 「高圧的態度」のような表現で用いられることが多い。
出典:Weblio辞書

 

このような高圧的な言動を繰り返す上司に100%共通する特徴は、「高圧的であること」のみである。

一言で言えば、「部下に対して偉そう」な振る舞いをする人間であることだ。

 

とはいえ、こういった上司によって起こった問題のトラブルシューティングをすることが多い人事からすると、それ以外にも併せ持つことが多い特徴が存在する。

高圧的な上司が「高圧的なこと」以外に持つことが多い特徴を挙げておこう。

  • 自分の間違いを認めない
  • ムダに命令口調である
  • 上(上司の上司)には丁寧で、意外と好かれている
  • 上(上司の上司)や本社(人事等)に書くメール文と、下(部下)に書くメール文が別物
  • 部下の話に対し、反論から入る
  • 間違ったことを言いたくないので、部下に先に意見を述べさせる
  • プライドが高い
  • 視野が狭い
  • 仕事以外に何もない
  • 自慢とする経歴や実績があり、それにすがって生きている
  • 人を馬鹿にする、悪口が多い
  • 実務が良く分かっていない

 

上記の全てを満たす「高圧的な上司」はいないかもしれないが、いくつかを持ち合わせているパターンは非常に多い。

コンプレックスが多く、仕事の場で権力を維持することに腐心する、人間的に小さな人物」であることが共通する特徴である。

 

【理由】上司の高圧的な言動の背景にある心理

高圧的な言動を繰り返す上司の背景にある理由や心理は、どうなっているのだろうか。

人事として見る限り、以下の4つのパターンに分けられるように思う。

  1. 自分は正しい、優秀であると思っている
  2. 外資系やブラック企業、体育会系カルチャーの出身である
  3. 成り上がりである
  4. 実務が分かっておらず虚勢を張るしかない

 

【1】自分は正しい、優秀であると思っている

実際に仕事ができる高圧的上司の場合、このパターンが多い。

仕事ができ、かつ「仕事が出来る=人間として重要である」「ポジションが高い=人間として偉い」という価値観を持っている。

 

権力志向でワンマン気質、「偉い自分が命令するのは当たり前」と思っているため、高圧的であることに罪悪感がないのが特徴である。

 

【2】外資系やブラック企業、体育会系カルチャーの出身である

外資系やブラック企業、体育会系カルチャーで育った人間は、高圧的な上司になり易い。

 

ブラック企業や体育会系カルチャー出身者が高圧的なのは、イメージしやすいはずだ。

こういった会社においては、トップダウンで上下関係が厳しいことが多い。「上司にペコペコ、部下には何を言っても良い」という環境なので、高圧的な上司ばかりになっていく。

 

外資系は自由だと思っている人も多いので、意外かもしれない。

しかしながら、「外資転職の教科書」に記載したとおり、外資系は上司の意向次第ですぐクビになる世界である。つまり、日系企業よりもよほど「上司にペコペコ、部下には何を言っても良い」になり易い世界なのだ。

 

外資系企業で「フラット」や「心理的安全性」などが重視されるのも、放っておくとそうならないからである。上司部下どころか、同僚同士でも「マウントしあう文化」がある企業も多い。

さらに、外資では気が強いことがプラスに働きやすく、そういった意味でも高圧的な上司を量産しやすい。

 

以上より、外資系、ブラック企業、体育会系カルチャー出身の上司は、「部下に対して高圧的にふるまっても許される文化」を引きずり、実際に高圧的であることが多い

 

齋藤
ただし、外資系に関しては、会社次第で全く事情が異なります。
徹底した相互尊重の風土を持つ一部の外資系企業においては、「部下に対するリスペクトが重要」という真逆の低姿勢・サポーティブ上司ばかりのこともあります。

 

【3】成り上がりである

成り上がった人間、いわゆる苦労人には、他人に厳しい人が多い。

ビジネスパーソンとしての成り上がりとは、職歴ロンダリング経験者、特に学歴コンプレックス持ちや、派遣や契約社員から外資系やベンチャーをはさんで正社員のマネージャー等に上り詰めた人間を指す。

>>キャリアアップの裏技!職歴ロンダリングの教科書

 

こういった苦労により「人格が磨かれ、素晴らしい人間性を持つようになった」方もいる一方、「厳しい環境で、下に見られながらも、自分はこれだけ努力をしてきた」という自負心が強すぎるタイプもいる。

そして、後者のタイプは、自分と同じ苦労を部下にも求めることが多い。

 

齋藤
高圧的になる理由としては、ブラック企業・体育会系カルチャー等と似ています。
「下っ端の時代には自分が上からキツい仕打ちを受けて生きてきたので、自分より下の人間にはキツくあたってよい」と思ってしまっているのです。

 

【4】実務が分かっておらず虚勢を張るしかない

高圧的な上司には、「実務が分かっていないため、虚勢を張るしかない」という哀れなタイプも存在する。

筆者の見る限り、このタイプの上司は、以下のようなサイクルによって出来上がっている。

  • 実務が分からない(転職や異動で来た上司である場合が多い)
  • プライドが高いので、部下から学ぶことが出来ず、実務が分かるようにならない
  • 仕事のことで上司らしいことができないので、態度だけでもプライドを保とうと「上から」になる

 

【対応】高圧的な上司への対処法

高圧的だという理由にせよ、別の理由にせよ、上司に不満があるときの対処法は共通であり、大きく分けて以下の4つの対処法がある。

  1. 正攻法(改善、我慢、異動、転職)で対処する
  2. 自身のマインドセットを修正する
  3. 目の前の仕事とは別の方面にフォーカスする
  4. 上司と戦う

 

本記事においても、それぞれ簡潔に解説していく。

この4つにプラスして、もう一点、対・高圧的な上司で覚えておいてもらいたいこと(メモを取ること)について解説する。

 

【0】記録をとっておく

高圧的な上司は、いつパワハラ上司に変わるか分からない。

 

齋藤
そもそも、「高圧的」と「パワハラ」はかなり近い概念です。

 

よって、あなたが高圧的だと思った言動、法的に問題ないかもしれないが嫌だった言動があれば、ノートに記録しておくのが重要である。

これは、この後解説する「上司と戦う」場合の有力な武器になる。

 

「あなたがうつ等のメンタル疾患になる」「上司と戦う」等が発生する可能性が1%でもあるのなら、メモを取る癖をつけよう。

 

齋藤
つまり、基本的に不快な出来事があったらメモを取っておいたほうが良いということです。

 

【1】正攻法(改善、我慢、異動、転職)で対処する

上司への対処における「正攻法」とは、以下の4つを指す。

  1. 我慢する
  2. 改善する
  3. 異動する
  4. 転職する

 

上記の4つの要素は本サイト「転職参謀」ではよく出て来るのだが、重要なので再掲しておく。

 

「高圧的な上司がいるから転職」というのは、もしかしたら早計かもしれない。

転職にはリスクが伴うので、まずは「我慢している間に上司が異動しないか」「上司に近づく、逆に離れるなど、改善の余地はないか」「異動では解決しないのか」を検討してみたほうが良い。

>>【転職はハイリスク】人事プロが教える、転職より前に検討すべき3つの選択肢

 

【2】自身のマインドセットを修正する

本質的な解決策ではないが、自身のマインドセットを修正することで、前項で述べた「我慢」や「改善」がしやすくなることがある。

「自身のマインドセットを修正する」の具体的な内容は以下の4つである。

  1. 上司は哀れな人間だという認識を持つ
  2. 上司を所与のマイナス条件として諦める
  3. 上司をムカつく客(得意先)だとみなす
  4. 上司が、上層部から「部下をクビにする仕事」を与えられている可能性について考える

 

齋藤
これらはいわゆる精神論であり、「高圧的な上司」という問題を直接解決するものではありません。
「上司の異動まで耐える」「対応を改善するモチベーションにつなげる」など、正攻法と組み合わせて使うことをおすすめします。

 

上記の詳しい内容、「上司に耐えるためのマインドセットの整え方」については、以下の記事に記載している。必要に応じて参考にしてほしい。

>>厳しい上司に耐えるための、マインドセットの整え方

 

【3】目の前の仕事とは別の方面にフォーカスする

一度「上司への不満」からフォーカス(集中)を外して別のことに集中することで、上司に感じている不満を相対的に下げるのも有効である。

仕事以外のフォーカス先の例としては、以下のようなものがあるだろう。

  • 副業に集中する
  • 趣味に集中する
  • 転職活動を行う(「転職する」ではない)

 

【4】上司と戦う

様々な理由から、どうしても「現職場から上司を排除したい」という場合もあるだろう。

この場合には、上司と戦うという選択肢もあり得る。上司と戦う場合、そのやり方は以下の8つである。

  1. 業務を抱え込み、職場における重要性を高める
  2. 上司の上司を味方に付ける
  3. 徒党を組み、エンプロイーサーベイ等で対抗する
  4. 人事に訴える
  5. 法務等のコンプライアンス部署、社外取締役・監査役等に訴える
  6. 労働組合を利用する(内部/外部)
  7. 傷病休職する(退職する)
  8. 訴訟を起こす・外部メディアに訴える

 

基本的に、あなたより上司の方が会社での立場が強い場合が多いはずだ。

そのため、上司と戦うのはいばらの道となり、異動や転職を選んだほうが労力が少ない場合も多い。

 

しかし、それでもやりたいという場合もあると思う。

その場合には、同僚、上司の上司、人事、別部署、労組などの味方を増やして対抗する「社内政治的な活動」が不可欠となる。

 

このような上司との戦い方については、詳しくは以下の記事にまとめているので、参考にしてほしい。

>>嫌な上司を潰す方法(上司と戦う方法)を人事プロが解説

 

まとめ

高圧的な上司は「確固たる自信」「コンプレックス(無能さを含む)」「過去の経験」のいずれかの原因で出来上がってしまっていることが多い。

どの原因にせよ、今さら上司の人格を変えることは難しいため、本記事で解説した上司に不満がある際の対処法を知っておくことが重要だ。

 

本記事で解説した対処法を用いても、高圧的な上司に耐え続けられない可能性を感じているのであれば、まず転職サイト・エージェントへの登録を始めておこう。

良い求人やエージェントには、転職活動を始めてすぐに出会えるわけではないからだ。それが将来の自分を救う。

>>転職がめんどくさいという方へ。ゆるゆる転職のススメ。

 

転職サイトや転職エージェントは無数にあるが、それらを紹介するランキングやおすすめサイトの信憑性は低く、どのサイトに登録すべきか悩む方は多い。

迷ったら、年代でも性別でもなく、シンプルに年収で決めるのがおすすめである。

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JACリクルートメントは、筆者が最も信頼している転職エージェントである。転職エージェントとしては日本最大の売上高を誇り、求人の多さ、エージェントの質ともにダントツである。

ただしJACはハイクラス・ミドルクラス向けのため、そのスペックをフル活用するには年収800万円程度が必要だ。

高圧的な上司
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