筆者の知人である看護師の方が保健師に転職した。
先日、ご本人と1対1で詳しくお話を伺うことが出来たので、シェアしたいと思う。
ただし最初に申し上げておくと、この記事は当サイトで常々扱っている、いわゆる「会社員の転職」に役立つ内容ではない。
まず「看護師の方」「看護学生の方」、特に「看護師・保健師に転職したい方」でないとあまり興味のない内容かもしれない。
とはいえ、こんな方には非常に役立つ内容だと考えている。
- 看護師から保健師への転職を考えているが、実態はどうなのか、実際の転職者の本音を知りたい方
- 看護師をやっていて、激務やギスギスした人間関係に耐えられなくなった方
- とにかく夜勤が辛くて、夜勤のない職場を探している方
- 生活リズムが崩れてしまい、肌や体調にトラブルを抱えている方
それでは、早速ご紹介していこう。
なぜ看護師から保健師に転職したのか
まず、ご本人(Aさん)の基本的なステータスから。
Aさんは中部地方出身。
地元の3年制の看護専門学校を卒業し、その後に他県の看護専門学校の「保健学科」を1年で卒業。都内の病院で看護師として3年勤めたのち、保健師に転職している。
参考
これは特殊な例であり、普通は4年制の大学(看護学科)の人が4年間の講義選択の中で「保健師課程の単位をとっていれば」保健師の国家試験を受けられるようになる。
よって、保健師の多くは大卒とのことであった。
(※看護師の資格をもった人が通える、1年制の保健学科がありAさんはそこに通われていたとのことなのだが、全国で10校ほどしかないとのこと)
このようなキャリアのAさんであるが、どうして看護師から保健師に転職したのだろうか。
ご本人に聞いてみた。
保健師は看護師に比べて就職先が少なく、競争率が高い。
その難関を突破するためには、看護師の実務経験がある方が有利になる。
Aさんは、結局看護師の仕事を都内の総合病院で3年続けたのち、今回念願だった保健師への転職に成功されたとのことであった。
誤解を恐れずに言えば、多くの方は「大変すぎる看護師の業務に耐えかね、比較的ラクな保健師を考え始める」というのが現実のようである。
看護師の大変さは(この記事をお読みになっている方はよくご存知かもしれないが、学生の方もご覧になっていると思うので)後で再度触れたいと思う。
そもそも保健師とは何なのか
保健師については、「スタディサプリ」での説明が分かり易かったので、以下に引用しておく。
保健師は、保健所や保健センター、企業、病院、学校に勤務し、健康相談・保健指導などを通して、地域の人々の健康を支える活動をします。看護師の仕事が病気の患者さんの治療・回復をサポートすることである一方、保健師の仕事は、病気になる人を1人でも少なくするための「予防」や「対策」がメインになります。
保健師として働くためには、看護師免許と保健師免許、2つの国家資格の取得が必須条件。卒業と同時に2つの国家試験受験&合格を目指せる4年制の大学や専門学校に入学するほか、看護師免許を取得した後に1年制の保健師養成学校で保健師免許の取得を目指すことでも、保健師としてのキャリアをスタートすることができます。
業務内容や必要資格の違いは上記の通りなのだが、そのほかにも労働の実態や人間関係、給料などが看護師と保健師とでは大きく違って来る。
次項からそのあたりに触れていこう。
【地獄?】看護師の時の業務実態
Aさん自身は、非常に性格が穏やかで仕事ができる方であり、転職理由も前向きなものであった。
しかしながら、多くの方は、看護師の仕事が辛くて(嫌で)保健師に転職するという実態があることは既にお知らせした通りである。
すでに看護師をされている方からすれば「釈迦に説法」であるが、(学生の読者がいらっしゃるかもしれないので)看護師の業務実態についても聞いてみた。
通常の企業からすると異次元の数値ですね。
看護師の辛いところ(デメリット)をまとめると、以下のようになる。
- 命にかかわる責任が大きい
- ストレスの大きい職場なので、性格がきつくなりがち
- 性格がきつい方が多いため、ギスギスして人がすぐに辞めていく
- 夜勤があり、激務となりやすい(生活リズムが乱れる)
- 排泄の世話など、一般的に「汚い」と言われる仕事がある
私の場合は、重度の患者さんが多く、言葉が話せない患者さんも多かったのですが、ご家族には大変感謝されました。
看護師の良いところ(メリット)をまとめると、以下のようになる。
- 給料が高い
- やりがいがある
- 感謝される
【現実】保健師になったらどうなったか
ここまで、看護師の良いところ、辛いところについて書いてきた。
これが、保健師になったらどう変化したのだろうか。
一刻を争う業務ではないからですね。緊張感が看護師の時と比べて激減しました。
前は休日寝てばかりだったのが、昼に活動する習慣が付き、疲れにくくなり、活動的になりました。
100段階で行くと、看護師の時にどのくらい幸せだったのが、保健師になってどのくらい幸せ度が上がりましたか?
これは、慣れてきたら徐々に良くなっていく部分だと思います。
保健師の良いところ(メリット)をまとめると、以下のようになる。
- 「予防」や「対策」に興味がある人にとっては、自分のやりたいことが出来る
- とにかくストレスが少ない(看護師時代より激減した)
- 生活リズムが一定なため、平日の夜や休日に活動的になる
- 総じて(看護師時代より)幸福度は上がった
基本給は看護師と比べても低くないので、減ったのは夜勤の残業分になります。
保健師の辛いところ(デメリット)をまとめると、以下のようになる。
- 常に動いていたい人にとっては、デスクワークが多いことがデメリットとなる可能性がある
- 夜勤がない分、看護師と比較して給与は少なめ
看護師から保健師への転職をおすすめ出来る人、出来ない人
- 給料が減ってでも激務や夜勤、人間関係のストレスを避けたい方
- 看護業務が苦手な人(採血や下の世話など)
- 予防医学に興味がある方
- 土日祝日休みにしたい方(パートナーや友人に合わせるなど)
- 給料を最も重要視する方
- 一人一人の患者さんとじっくり関わりたい方
- 夜勤のようなフレキシブルな働き方をしたい方(昼に別の仕事があるなど)
- デスクワークが苦手な方
以上、今回は看護師から保健師に転職された方にインタビューを行い、そのメリットとデメリットをご紹介した。
まとめ
忙しい看護師の方には、筆者が提唱する「ゆるゆる転職」がおすすめである。
簡単に言うと、転職サイトに登録だけして放置し、良い求人が集まり、自分も転職をやれる時間や気力があるときに活動が出来るよう整えておくという方法である。
看護師で転職を考えている方は、まず看護師専門の転職サイトに登録しておくことから始めるべきだろう。