いわゆる「逆質問」ですが、私はこれが本当に苦手です。
対策するため、「逆質問で聞いてはいけないこと」をネットで検索したのですが、人事の面接官の方が書いた記事が出て来ません。
実際に何百もの面接をされている中でのNG質問を教えてください。
今回のテーマは「逆質問で聞いてはいけない質問(NG質問)」である。
つまり、検索上位の記事には「本当はNGなのに聞くべきとされている質問」もあれば、「本当はOKなのにNGとされている質問」もあった。
よって本記事では、以下の3種類に分類して読者の疑問を解決していく。
- 【実際にNG】逆質問で聞いてはいけない質問
- 【NGではない】一般的にはダメだとされているが実務上は問題ない質問
- 【実はNG】一般的には良いとされているが実務上は問題のある質問
初めて訪れた方のためにお伝えしておくと、当サイト「人事参謀」は以下の経験を持つ人事・転職のプロフェッショナルが執筆している。
筆者の専門性や実務経験に基づき、机上の空論を一切除いて本音で執筆しているので、安心してお読みいただきたい。
- 4回の転職を経て、30代前半で東証一部上場企業(現・東証プライム上場企業)の人事執行役員/年収1,800万に至った経験
- 難関企業における勤務経験(外資/日系、大企業/ベンチャー、戦略コンサル)
- 人事面接官として多数の候補者の面接を行った経験
- 人事マネージャーとして転職エージェントや転職サイトを活用し、採用を実施した経験
この記事を読むことで、逆質問での本当のNGラインが明確に分かり、逆質問に自信を持って臨めるようになるだろう。
なお、「聞いてはいけない質問」に限らず逆質問を完璧にマスターし、得意項目に変えたい場合には、逆質問の全てを網羅した以下の記事を参考にしてほしい。
>>逆質問の教科書|転職面接でのおすすめ質問の具体例、一次面接から最終面接まで全網羅
【前提】面接における逆質問の目的
本記事では、逆質問の中でも「NG質問(してはいけない質問)」について扱う。
とはいえ、説明の前提として最初に逆質問の目的について記載しておく。
通常、逆質問は面接の最後に行われる。プロとして断言するが、この時点で合否はほぼ決まっている。
よって、一般的に言われる目的である、「熱意を測る」「相性を見る」などはすべて嘘である。
それでは、逆質問は何のためにあるのか。それは以下の2つである。
- (合格にする場合)不安や疑問を解消し、候補者が内定オファーを受諾してくれる確率を上げるため
- (不合格にする場合)その場で不合格を悟らせず、採用ブランディングの観点から自社の印象を極力維持するため
合格にする場合であれば「不安や疑問の解消」以外の目的はないので、基本的には何でも聞いてよいが、一つだけ転職者が気にしておくべきことがある。
それは、「ほぼ決まっている合格に懸念を持たれるような質問はしない」ということである。
合否ラインの当落線上にある(ぎりぎりの合格)という場合には、逆質問の失敗で不採用になることも稀にあるからである。
結論
本記事の結論をまず記載し、次項およびそれ以降で理由を説明していく形をとる。
- すでに面接の中で回答済の質問
- 事前に少し調べれば分かる質問
- 自身の専門性が疑われる質問
- 意図が分からない質問/抽象的すぎる質問
- YES/NOで答えられる質問
- 自身が採用されることを前提とした質問
- 自信のなさを表す質問(程度による)
- 労働条件に関する質問(程度による)
- 面接のフィードバック(評価)を求める質問
- 熱意をアピールしすぎて質問要素が薄い質問
【実際にNG】逆質問で聞いてはいけない質問
まず、逆質問において聞いてはいけないと一般的に言われており、かつ実務上も聞いてはいけない質問から説明する。
- 面接の中で回答済の質問
- 事前に少し調べれば分かる質問
- 自身の専門性が疑われる質問
- 意図が分からない質問/抽象的すぎる質問
それぞれ簡単に解説していく。
【1】面接の中で回答済の質問
この項目は説明不要だろう。
緊張しているのは分かるが、「それ、さっき説明しましたよね?」とならないようにしよう。
【2】事前に少し調べれば分かる質問
転職エージェントに言われて、あまり有名でない会社を受けることもあるかもしれない。
しかし礼儀として、企業の公式Webサイトや採用ページを見ればすぐに分かるような質問は避けよう。
例として、売上高、企業理念、主要製品/主要サービス、等はNGである。
【3】自身の専門性が疑われる質問
この項目は一般的に言われてはいないが、ここで引っかかった人を何度か見ているので挙げておく。
一例を紹介しよう。
筆者がある企業の面接官をしていた際、財務系の候補者からの逆質問で、以下のような質問を受けた。
偶然だが、その「○○の導入」という業務は、筆者が別の企業で経営企画室長をしていた際に管掌しており、その業務はまったく大変ではないということを筆者は知っていた。
もともと合否ライン上ぎりぎりの方だったが、それを機に筆者が深掘りをした結果、不合格となった。
人事面接官が相手なら大丈夫だろうが、念のため専門領域に関わる逆質問は避けておいたほうが良いだろう。
【4】意図が分からない質問/抽象的すぎる質問
以前、以下のような逆質問を受けたことがある。
筆者に何かしらの感銘を受けて言ってくれたのだと思うが、これはNGである。
この質問に答えてみようとすれば分かるが、いくつかの前提を置かないと答えられない曖昧さ/抽象度であり、かつ意図が分からないからである。
例えば「人事面接官の方は、面接時に何を見極めるためにどのような順序で質問をしているのですか?」なら答えられます。
【NGではない】一般的にはダメだとされているが問題ない質問
次に、一般的にはダメだとされているが問題ない質問をご紹介しよう。
これらは、質問しても大丈夫だ。
- YES/NOで答えられる質問
- 自身が採用されることを前提とした質問
- 自信のなさを表す質問(程度による)
- 労働条件に関する質問(程度による)
それぞれ簡単に解説していく。
【1】YES/NOで答えられる質問
「YES/NOで答えられる質問は、会話が続かないのでNG」という転職情報サイトもあったが、全く問題ない。
会話を続けるために時間を取っているのではなく、不安や疑問を解消するために時間を取っているのである。
YES/NOという回答でそれらが解消されるのであれば、大いに結構である。
【2】自身が採用されることを前提とした質問
「自身が採用されることを前提とした質問は、自信過剰に見えるのでNG」という転職情報サイトもあったが、全く問題ない。
そもそも採用されるためにわざわざ面接を受けているのだし、内定後のことに不安や疑問を抱き、その解消のために質問するのは自然なことである。
「もし採用いただくとしたら」と仮定の話であるということを強調しておけば、さらに安心だろう。
【3】自信のなさを表す質問(程度による)
「未経験の業務もあるのだが、研修はあるか」「異業種からでも大丈夫か」等の自信のなさを表す質問も、1問程度であれば全く問題ない。
既に合否はほぼ決まっているので、逆質問で弱点が分かったからと言って落とされることはほぼない。
ただし、ごく稀ではあるが、例外もある。それは、そのポジションに必須であり、すぐには身に付かない要素への自信のなさを表した場合である。
分かりやすいのは英語である。
外国人ばかりの企業で、「私は英会話が全くできないのですが、御社でやっていけるでしょうか?」と逆質問した場合には、落とされるかもしれない。
キャリアとしては、「むしろ、落とされてよかった」と言えるケースでしょう。
「○○に自信がない」と言った程度で落とされるとしたら、「○○が必須であり、○○が得意な人でないと、入社後に不幸になる」会社だったということである。
やり過ぎは禁物とはいえ、自信がない点を明らかにし、それでも大丈夫なのか聞いておくことは、逆質問を行う目的である「不安や疑問の解消」そのものである。
【4】労働条件に関する質問(程度による)
年収や労働時間、福利厚生などの労働条件は重要である。
ただし、労働条件について聞きすぎるのは品が良くないし、それしか見ていないと思われてしまう。
信頼できる転職エージェントが間に入っているのであれば、エージェントに聞いてもらうのが一番良い。
それが出来ない場合には、1問程度であれば聞いても良いだろう。
>>転職エージェントの選び方の教科書|出会い方、絞り込み方、付き合い方まで
【実はNG】一般的には良いとされているが実務上は問題のある質問
最後である。
一般的には良い質問だとされているが、本当は問題のある(NGな)質問をご紹介しよう。
- 面接のフィードバック(評価)を求める質問
- 熱意をアピールしすぎて質問要素が薄い質問
それぞれ簡単に解説していく。
【1】面接のフィードバック(評価)を求める質問
面接のフィードバック(評価)を求める方が結構いる。
これは外面では快く応じるだろうが、内心では嫌う面接官が多い。それはなぜなのか、率直に記載しよう。
- 合否はその場では伝えられないので、良い点と改善点を相手が受け入れやすい塩梅で伝える必要があり、わりと大変
- 不採用の方に誠実にフィードバックしようとすると、本当のダメ出しが混じる。実際には不採用の方から求められることが大半なので、精神的につらい
- 不採用と判断した時から「自社の印象を極力維持しようとしてきた努力」が、改善点のフィードバックにより水の泡になりがち
上記の通りである。
通常、一定以上の知名度のある企業では面接で不採用になる方のほうが多い。
不採用の方に今後の参考になるように誠実にフィードバックすると、上記のような弊害が生じるのである。
【2】熱意をアピールしすぎて質問要素が薄い質問
熱意をアピールするため、逆質問で自己PRを始める人がいる。
何度も言うが、合否はほぼ決まっている。その自己PRで不採用が採用になることはない。
ただし、逆は絶対にないとは言えない。
「何か質問はありますか?」に対し「質問になっていない、ただの自己PR」を始めてしまった場合、論理的思考力を疑われてしまいかねないからである。
ただし、そのPRを受けて評価をプラスにしたことも、マイナスにしたこともありません。
まとめ
逆質問を苦手とする人は多いが、本記事にて「本当のNG質問」が分かったのではないだろうか。
それ以外は基本的に何でも聞いて大丈夫なので、あまり気負わず逆質問に臨んでもらいたい。